第50話合宿終了
「お疲れ様。合宿どうだった?」
俺は顔が死んでいる面々に向かってそう言う。
「も、もう嫌です」
「ドラゴンが一体、ドラゴンが二体、ドラゴンが三体」
「ひっ。もうドラゴンは見たくない…」
各々トラウマを植え付けてしまったか?と思いつつ俺は言う。
「今日で合宿終了とする」
「本当!?この地獄がついに終わるの?」
「えぇ…そうですわ。戦争イベントがあと3日に迫っていますから各自、合宿で溜まった疲れを癒してくださいまし」
「そういえばクマは戦争のために地獄合宿に参加したような…」
「…そうだったわ」
選手たちはなぜか合宿参加の目的を忘れていた。
「合宿終了ご褒美」
そう言い、俺は白い布で隠していた物を引っ張ってみんなに見せる。
「おぉぉぉ!」
そこにはバーベキューコンロが3台、炊飯器や調味料、下処理をされた野菜や肉がずらりと並んでいた。
「おいしそうだね!」
「まだ、調理してないのに美味しそうっていう感想が出てくるの信じらんないんだけど…眼科行けば?」
「あははは…デビデビやる?」
と、こりない奴らはまた喧嘩を始める。まぁ大体はデビが原因だ。
「まぁまぁ、デビさんもミナトさんも合宿終了したばかりですよ。休みましょう」
「そう聞くとやる気失せるわね」
そう言い、海賊眼帯はチームメイトが肉や野菜を焼こうとしている所に行き、デビは…
「帰るの?」
「あたりまえだろう。貴重な休みをこいつらと過ご…」
「プリン用意してある」
「!?」
そうなのだ。デビは合宿で食したプリンを甚く気に入っているのだ。
「飲み物も飲み放題」
「…プリンは同じだろうな」
俺は頷く。
「プリンアラモード、クッキー、マカロンある」
「ふん!」
デビは離れたところにある白い丸テーブルに陣取り俺に言う。
「早く持ってこい。勿論紅茶付きだぞ!」
この暴君は…と思いつつ今日ぐらいは従ってやろう。合宿で俺に折れることなく何度も立ち向かってきた精神に免じて。
俺はクーラーボックスに入れていた、俺が作ったプリンや高級フルーツを出し最後にフルーツをカットしてトッピングする。
紅茶は陰キャから貰ったディンブラの茶葉を使う。生クリームやフルーツが乗ったプリンアラモードには、濃厚さにも果物にも合うディンブラがいい。
「はい」
「まずかったらただじゃおかない」
そう言いプリンをスプーンですくって口に運ぶと、美味しかったのか味わいながらゆっくりと食べ始めるではないか。これでしばらくは静かだ。そう思いながらクッキーやマカロンもこのテーブルに運ぶ。
「はちみつを使ったデザートはないクマ…ね」
クマは、はちみつをかけた焼肉と焼き野菜の皿を持ってこちらにやってくる。
「かけて食べればいい」
「かけて食べてもうまいクマけど、生地に練りこんだほんのりと感じるはちみつ味も好きクマ」
「はちみつ紅茶ある」
「はちみつ紅茶もうまいクマね。アイスのハニーレモンティーにして飲むクマ」
そう言い、クマはお湯が入ったケトル、茶葉コーナーに行った。
「監督ーー!そんなところにいないでこっちで一緒に食べようよ!」
「そうですわ。みなさんお肉ばかりしか食べなくってお肉が無くなりそうですの!」
「だってこの肉、マジ美味しんだから仕方ないじゃん」
「残りの肉は右のクーラーボックスに入ってる」
そう言い、俺はバーベキューを堪能しているメンツに近づく。
「はい。これ監督の分よ」
テレサが俺の分も確保しといたおかげで食べられたが…なんか野菜多くない?
「ふぅーー。食べったすっね。あれ?まだ肉少し残って…」
俺はニット帽が焼こうとした肉を止める。
「もしかして、監督も食べたいとかっすか」
「違う。焼きそばに入れる」
「しめっすね!」
俺の言葉を聞き、ニット帽はすんなり俺に生肉が入った皿を渡してくる。
俺は残っていた玉ねぎ、キャベツ、もやし、ピーマン、肉を鉄板で炒める。そして、火が通ったら軽く塩コショウをふり、鉄板の端側にもっていく。
次に鉄板の中央で油を指しき、焼きそばの麺を投入し動かさず、表面に焼き色を付ける。次にひっくり返して少々油を投入し反対側もパリパリに焼く。そして麺をほぐし、野菜と加え味付け粉を入れてよく混ぜて焼きそばの完成だ。
後は皿に焼きそばを盛り付け、お好みで事前に作っといた目玉焼きと青のりをのせる。
「ゴクリ…監督って料理上手すっよね」
「分かります。合宿のご飯美味しかったですし」
「普通」
俺はそう言い、ずるずると焼きそばを食べる。
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「みなさん。そろそろ食べ終わりましたと思いますので、3日後の予定についてお話しますわ」
そう言い、リリーはここにいるメンツを見る。
「合宿は終了としましたが、皆さんにはここに残ってもらいます」
「えーー。マジっすか。家に帰れると思ったんすっけど…」
「えぇ。戦争イベントが終わるまでここにいてもらうつもりです。ですが、合宿が終わったということでここでの過ごし方は自由です。訓練所で鍛錬に励むのもよし、いつの時間でも食堂の台所を使っていただいても結構ですわ。一応各自の部屋にはテレビなどありますからそれを見ていただいてもいいですけど…」
そこでリリー話を句切る。
「チームメイトが嫌がることしないこと、マナーを守って生活するように協力をお願いします。もし争いごとがあった場合は監督のライアンが仲裁しますのでそこを忘れないように」
「うぇ。こいつらと戦争中、ずっといるっていうのに戦争外でも一緒にいないといけないわけ?」
「そうですわね」
転生した剣聖は現代社会を生きる ネロ偽者 @haserin323
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