木の実ふる 🪇

上月くるを

木の実ふる 🪇



公園の投手は少女木の実降る

ななかまど泉滾々湧きてをり


湧き水の美術館なり水引草

鍵束に委ねる暮らし秋深し


とちの実や祖母たんせいの和人形

シャカシャカと振るマラカスや茨の実


どんぐりのぶつかり合ふて笑ひけり

蓮の実やピアノレッスンスタカート


ひよんの笛愉快な音を出しにけり

桐の実をとほくへとばす夕まぐれ


垣添ひに音符ならべてあふちの実

かやの実の降る小道行くふたりかな


青みかん始発電車に客まばら

銀輪の眩き野辺に茱萸ぐみの赤


山ぶだう眼下の街にジャム工場

諧謔も味のうちなり木通あけびの実


箸を持つ手のふつくりと栗ごはん

パソコンの猫の手まるし銀杏の実


有の実や犬に抱かれて眠るやや

柿の秋ラップのやうに詠む俳句


ランナーの虹色めがね実南天

七色のポケットチーフなつめの実




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