25 新しく埋める頁は
そうやって顔の近くを飛び回る
「今っ!」
ソフィーの声とともに、
痛みからか、
いなないて体の向きを変えた
傷は浅い。ソフィーは唇を噛んだ。
「ささやかな抵抗ね。その程度の攻撃、
「セティエムも諦めて、わたしと一緒に行きましょう?」
「嫌だ! 俺は知識を集めて頁を埋めるんだ!」
セティはシジエムを睨み上げる。
ソフィーは戻ってきた
「あまり効いてない……この程度の傷じゃ、どうにもならない」
でも諦めてはいなかった。そのときにはもう、ソフィーは覚悟を決めていた。
「リオン、もうしばらく時間を稼げる?」
「なんとかするよ」
リオンは鋭く口笛を吹いた。その音とリオンの意思に従って、
ドラゴンの顔が下りてきて、炎を吐き出した。
「
セティが氷色の兎を操り、氷の壁を作り出して炎を防ぐ。防ぎきれない熱気が、三人に押し寄せてくる。
その熱気の中で、
「直接行くつもり?」
そうとわかってはいても、ソフィーは心配そうな視線をリオンに向けた。
「まあね。ちゃんとかわしてみせるさ」
リオンは明るく言って、ソフィーにウィンクして見せた。ソフィーの心配そうな顔が、呆れたものに変わる。リオンはその変化にほっとして、
長い尻尾が振り回されて、その衝撃をセティが氷の壁で受け止める。その隙に、
「邪魔ね」
リオンを見送ったソフィーは、
(それでも、
あの
「セティ」
セティははっとしたように振り返った。ぼんやりしていた表情が、ぎゅっと引き締まる。こんなの全然どうってことないと言いたげに、唇が引き結ばれる。いつもの生意気な顔をする。
その表情を見て、ソフィーは微笑んだ。
「セティに、
ソフィーが
セティは何も言わなかった。言わなくても、聞かなくても、ソフィーの意思を受け取ったと思った。目の前にいる美しい
自分の前で頭を下げる
「お前の知識、食らってやる。俺の一頁になれ」
光を飲み込んだセティの体も淡く光る。
シジエムがその光を見下ろして、哀れむような顔をした。
「セティエム、あなたはまた、せっかくの白い頁を汚したのね」
セティはシジエムを睨み上げた。
「汚れじゃない! 知識だ! 俺は知識を手に入れて、成長してるんだ!」
隣で、ソフィーもシジエムを見上げる。
「勝ちましょう、セティ!」
「当たり前だ!
セティの前に、真っ白に輝く
「こい!」
セティが手を差し伸べると、
強くなる光が
セティが強い意思とともに光を握りしめる。セティの手の中で
光が収まったとき、セティの手には、その身長よりも長い白銀に輝く槍が握られていた。
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