7章

娘のために

 娘のために何ができただろうか。娘が苦しんだ元凶は何だったのだろうか。


 これは自殺した我が娘に捧げる私の人生の1頁だ。


 ☆☆☆


 私が38歳になった年に娘はこの世に生誕した。かわいい顔の天使のような存在だった。私は甘やかすなと言われても甘やかし続けた。我が娘は天使なのだから仕方ないと周りを言い聞かせたのだ。

 そんな娘が小学生に上がった頃、私の甘やかしに対して冷たくあしらうようになった。


「ダメ娘になりたくないから、甘やかさないで」

「え、でもパパはお前が心配で」

「うん。うれしいよ。でも周りのみんなはこんなに玩具を買ってもらったりしてない」

「周りと比べる必要なんか」

「パパ。私は私なの」


 そう言われ私は目が覚めた。そこから娘に過剰な愛を注ぐことはせず、欲しいと言われたものは買う程度に留まった。

 そんな娘が高校に上がった頃、年月が経つのは早いなと思いながら入学祝いにご飯に連れて行こうと娘に話をした時だった。


「ウザ。近寄んなよ」


 初めて言われた娘からのウザイの一言。これが成長かと思い、静かに立ち去った。私は良い親になろうとしていたのだ。


 そこから娘がどんどん荒れていった。どこからでた金なのか。私も母親も渡していないのに新しい化粧品がズラっと机の上に並んでいる。更に知らない財布にブランド物のバッグ。私は良からぬ事をしているのでは無いかと問い詰めた。すると娘は言い放った。


「じゃあ何? 買ってくれんの?」

「あ、あぁ。買うとも」

「へぇー。あっそ」


 冷たく私をあしらった。そんな娘でも私は大好きだった。


 そんな娘が亡くなった。自殺だった。


 亡くなった時、酷く凄惨な姿で見つかっていた。服はボロボロ、顔は傷だらけ。そして何よりも酷かったのは下半身、特に女性の大事な部位である股がぐちゃぐちゃだったのだ。


 襲われ苦しくなり自殺したとされ処理された。


 そんな私が娘にできることはこの元凶を探ることだけだった。警察に協力を仰いでも頷きもしなかったため、探偵を雇った。


 そして見つけた元凶。


 私が娘にしてやれることはただ一つだった。

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命を天秤に 徳田雄一 @kumosaki

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