年上の幼馴染と結婚した -おぱんつせんき 旦那が可愛くて食べたいちゃい-
――高校生3年
「うふふ、今日は記念日だね、直人。
「ああ、嬉しいよ。こんな可愛い真白がお嫁さんになってくれるなんて夢みたいだよ」
「夢じゃないよ。現実だよ。
「
チュッ♡
思わず照れながら直人の頬っぺたにキスをする。いつもは塩対応だったのに突然の変化にびっくりしてしまう。
直人は7歳年上の旦那様だ。今日入籍した私たちは新婚ほやほやにほかならない。
私たち二人は結婚の約束はしていたけれど、所詮は小さかった頃の子供の約束。直人には本気の素振りはなかったのだけど、気付かないふりを続けてきた。
それは認めたくないというよりも、認めたと直人に知られたくなかったからだ。
可能性がない、直人には私に対する気持ちがないと、認め
将来、直人を振り向かせる可能性も残されてる筈だ。それを原動力として行動をしてきた。
直人を振り向かせるのだ!
「今日はせっかくの記念日なのに外食しなくて良かったのか、真白?」
「記念日だからこそ、真白の作った料理を直人に食べて欲しかったんだよ。全部手作りだよ。動けなくなるくらいまで食べて。お腹いっぱいにね。嫌だった? 外食の方がいい? 真白の料理嫌い?」
「馬鹿な事言わないでくれ。俺が真白の料理を嫌うわけないだろう? 小さな頃から一生懸命に俺の為に作ってくれてたのは知ってるよ。こんな年上のくたびれた大人なんて捨てて置いて、同年代の格好いい男の子でも見つければ良かったのに」
「直人! 真白の一番は今も昔も直人だし、一番の幸せは直人の側にいる事なんだからね。知らないとは言わせないよ。もう夫婦になったんだから隠し事は無しだよ。真白の事どう思っているのか正直に言いなさい? 男でしょう! 真白の旦那様?」
わざとらしいと思うけれども、首をコテンと横に傾げる。
年下の可愛らしさをアピールするのに
「真白は今も昔も可愛いらしいお隣に住む年下の従姉妹で、今はとっても大好きな俺のお嫁さんだよ。真白の事を意識しだしたのは真白が中学3年の時かな? 彼氏が出来たと知った時に少しショックを受けたよ。真白の高校受験も近かったので俺からは何も出来なくて、逢えない時は少し寂さを感じたのを覚えてる」
物凄く意外だった。少しお酒が入っているせいかな? 直人から直接好意を口にされるのは初めてかもしれない。
あの時はきちんと彼氏じゃなくてボーイフレンドだと訂正した筈。本当はデートじゃなくて学園祭のクラス打ち上げだったけど、直人には内緒。高校入学後に少し脈があるかな? って感じられたんだけど、思ってたより早かったのに驚いた。
ふふふ、直人ったら
「もっと早く直人から好意を口に出してくれてもよかったんじゃないかな? けちん坊なの? 結局真白から告白したよね。真白、女の子だよ。女の子から告白させるなんてどうだろうね? しかも年下だしね」
いつものように憎まれ口が止まらない。それでも自分から本音で話そうと言ったのだから訂正する気は
ついつい素の甘え癖が出るのも直人の前だからだ。ありのままの真白を知っていて受け入れてくれる年上の優しい旦那様、それが直人だもの。
「正直言うと怖かった。真白の好意を勘違いしているのじゃないかと。ただの幼馴染のお兄さんとしか思われていなかった場合、二度と真白の笑顔が俺に向けられなくなるんじゃないかと。毎日
今にも泣き出しそうな直人の顔に胸がキュンと締め付けられる。今まで散々困った顔はさせて来たがこんな直人の一面を見た事がない。
「真白が離れていくと思ったから何も出来なかったの? 意気地無しだったんだね、直人。がっかりだよ。もっと頑張らないと。ね、旦那様」
チュッ♡
今度は反対側の頬っぺたにキスをした。
驚いたように顔を上にあげた直人に抱きついて顔を押し付けてぐりぐりとグリグリと
「真白は直人の事がとっても大好きだよ。小さい頃からずっと今でも。捨てられたら死んじゃうからね。幽霊になって
***
――その夜
「えへへ」
「この部屋は狭いから隣の真白の部屋でも寝ても良いんだよ」
「ここがいい。直人の横で寝る。やっと横で一緒に寝れるんだよ。えへへ」
二階のひと部屋は自由に使っていいと、おばさんとおじさんが気を利かせてくれて空けてくれていた。もう三年以上も前からだ。
『いつ移って来てもいいからね。隣だからいつでも帰れるけれど、将来娘になるんだから今から準備してても同じだよね。真白ちゃん?直人の事よろしくね。あの子、鈍感だから大変だと思うけど、大丈夫だから頑張って』
おばさんは優しく応援してくれた。もちろんおじさんもそうだ。
『いつ娘に来てもいいよ』と『今も娘みたいなものだから』と笑っていた。
今晩も記念日は二人で過ごす方がいいだろうと隣の真白の実家で二家族で過ごしてくれた。とてもいい家族に恵まれている。
「隣は子供部屋に使う予定だよ。だからまだ出番はないね。直人との子供、最初はどっちがいい? 男の子がいい? 女の子がいい? 真白はどちらでもいいよ。直人そっくりな可愛い子がいいな」
「女の子だと可哀想な気がするな」
「酷いよ、直人。子供は可愛いの。特に直人との子供だからずっとずっと可愛いの。それは確定なの」
「そうだな。真白の子供だからきっと可愛いだろうね。小さい頃の真白もとっても可愛かったよ、食べちゃいたいくらいに。今は可愛いというより綺麗だよ。俺には勿体無いくらいに」
不意打ちの直人の甘い言葉に思わず顔が赤くなった。いつもの直人なら棒読み気味の決まった褒め言葉しか使わない。
『真白一筋だ』『幸せ者だ』『大好きだ』とローテーションの様に使う棒読み大魔神、それが直人。
気付いていない振りをするのが大変だった。
「じゃあ今夜、真白は美味しく食べられちゃうの? 旦那様に? ねえ、直人、そうなの?」
あっ、直人の顔が微かに曇った。左目の眉がピクリと動いた。ちょっと考えてる。直人の口から出て来る答えは何となく予想が付いてしまった。
「そうだよ。と言いたいところだけど、残念だけどお預けなんだ。真白が高校卒業まではそういう事は無しだよ」
「真白、聞いていないよ。抗議するよ。詐欺だよ。絶対に食べてもらうもん。なんなら真白から襲っちゃうぞ」
「駄目だよ。世の中に絶対っていうのはないんだから。避妊に失敗して子供が出来たら真白が大変な事になる。学校の許可がおりても、お腹大きい状態で学校に通うのは負担が大きい。友達からも色々言われる。体育祭だって学園祭だってまともに参加できなくて見学に回らないといけなくなるぞ」
「それくらい平気だよ。直人との子供の方が大事。とっても大事。学校ならやめても――」
「――やめてどうするんだ?」
普段は始終にこやかなで笑顔の絶えない直人の顔が険しい表情に変わった。
「それを将来生まれてくる俺達の子供たちの前で堂々と言えるのか、真白? 子供たちに勉強しろって言って『結婚するから勉強なんてどうでも良いわ』って答えさせていいのか? 違うだろう? わかるよね、真白」
「――そうだね、直人の言う通りだよ。直人も勉強も学校も大事だね。それでも真白は直人を優先したいよ」
「ありがとう、真白。そこまで想ってくれて嬉しいよ。だけど俺だって真白に負けないくらい真白の事が大好きで大事なんだ。俺の為に青春を犠牲にして欲しくない。わかるよね? これからずっと二人で、子供が出来るまでは二人で過ごすんだから、少しぐらいその時間が長くなってもいいだろう? それとも俺と二人で居たくないのかな?」
「そんな事ないよ。ずっと二人でもいいけど――やっぱり直人との赤ちゃんは抱っこしたいよ」
全力で首を振って否定した。直人の愛を独り占めできるならずっと二人でもいい――
「おいで、真白」
両手を広げて直人が待っている。もちろんその胸に飛び込んだ。
「うん。旦那様!」
「今日はずっと抱きしめてたい。いいだろう?」
「寝ぼけて蹴飛ばさない? 大丈夫? 真白、蹴り返すよ」
「約束は出来ないけど、そうならないように頑張ってみる」
直人が優しく髪を撫でてくれる。本当に珍しい。
普段の直人は一言掛けずに真白に触る事は絶対にない。幼いながら真白が好き好きアピールを始めた直後から一人の女の子として尊重してくれている。そして必ず一言掛けてから身体に触るのだ。
転んで泣いている時ですら
『起こすから泣き止んで』
と声を掛けてくる。
テストで良い点を取った時は
『頑張ったな、頭撫でてあげる』
と必ず身体に触る許可を求めた。
そういう些細な気遣いに真白は直人を惚れ直したのだ。
「えへへ、今日から独り占めだね。この場所は真白のものだよ。絶対に、絶対に誰にも渡さないんだからね」
「残念だけど逆だよ。俺が真白を離さないんだ。逃げたいならそう言えばいい。でも、言わないんなら黙って抱かれていて。やっと真白をゆっくりと味わえる。柔らかいし、いい匂いだ。どれだけ我慢したか」
誰? 完全に別人になってるよ! 直人の口からこんなに甘い言葉が溢れるなんて、真白が耳おかしくなったのかな? もしかして幻聴かな?
「我慢なんてしなくて良かったんだよ。いつでも真白はOKだったよ。直人だし、当然だよ」
「俺も男なんだよ。そんなのになったら我慢できる筈がないだろう?」
「おかしいよ、直人? 今なら違うの? 今なら我慢できるの?」
「当然だろう。どこに行っちゃうか不安だった時に真白を抱きしめてたらきっと無茶苦茶にしてたよ。危なかった。今は俺の大事な大事なお嫁さんだ。そうだろう、真白?」
「うん、そうだよ、旦那様!」
「だったら心配要らない。こうして抱きしめているだけで我慢できる」
"我慢できる事にしておいてくれ"そう囁く直人が可愛いくて、とても可愛いくて、悪戯したくなる程可愛かった。
大事な所が真白に当たらない様に腰を引いている所も可愛かった。
真白で興奮してくれるならとても嬉しい。追求するのはいつでも出来るので今日は見逃してあげる。
立場が少し変わった感じがしてとても嬉しかった。
***
「ねえ、ママ。どうしたら直人に好かれると思う?」
いつも側に居てお世話をしてくれるお兄さん。それが直人だった。
幼心にも、とても好きで大好きで、直人からも好かれたらもっと嬉しいだろうなと思いママに尋ねた。
いつも直人と何をして遊んだのか全部報告しているし、直人の事を聞くならママしかいなかった。
「あら、真白は直人の事が好きなの?」
「うん、大好きだよ。優しくて、いつも遊んでくれるよ。いつもニコニコしてるし、大好き!」
「まあそうなの? ママ知らなくてごめんなさいね。きっと直人も真白の事は好きだと思うわよ。嫌いな子と一緒に遊んだりしないでしょう? だから直人も真白の事が好きなのよ」
「そうかな? えへへ、嬉しい。じゃあ、直人のお嫁さんにしてくれるかな? 好き同士は結婚して一緒に暮らすのでしょう? ママとパパみたいに。真白も直人と一緒に暮らせるかな?」
「もうお嫁さんに行っちゃうの? ママ寂しいわ。もう少し真白が大きくなってからでも良くないかしら?」
「お隣さんだから、毎日帰って来るよ。直人の側に居たいの。どうすればいいかな? 真白、どうすればいい?」
「そうね。男の子は女の子のパンツが好きだから直人に見せるのはどうかしら? 真白、園で男の子からスカートめくりされて嫌だって言ってるじゃない? あれは真白の事が好きで真白のパンツが見たいからなのよ。だから真白みたいな可愛いの子のパンツ見たら直人も一発でコロリと落とせるわよ」
「うん、真白やってみる。一番のお気に入りのクマさんパンツなら直人も気に入ってくれるかな? どうかな? ママ、どう思う?」
「可愛くてとってもいいとママは思うわよ。でもね、真白、よく聞いてちょうだい。直人が真白を抱き締めてきたり、真白の身体のあちこちを触って来たら逃げるのよ。それは真白の事が好きなのとは違うの。直人がそんな事するようならママは反対だわ」
「そうなの? よくわからないけど、さわってくるのは違うんだね。直人はどうなんだろう? さわってくるかな?」
「ふふふ、直人なら大丈夫よ。もしもの話しをして怖がらせちゃったみたいだけど、直人なら大丈夫よ。信じてあげて」
「うん! 真白、直人にパンツ見せてお嫁さんにしてもらうね。真白、頑張る」
そうして頑張った結果は撃沈だった。直人にスカートを下ろされて終わった。
意外な事にママにそう報告したら『良かったわね』と言われて戸惑った。
「直人は真白の事を大事にしてくれるのね。ママもパパも幸子おばちゃんも真白を応援してるわよ。一度で諦めなくていいのよ。直人はお隣さんだから逃げも隠れもしないわ。今日がダメなら明日があるわよ。違うかしら、真白?」
「今日がダメなら明日?」
「そうよ今日がダメなら明日。明日がダメなら明後日。そうやってみんな夢に向かって頑張るのよ。真白は夢を諦められるの? それならそれでいいわ。諦めちゃえばいいのよ」
「嫌だよ。真白、直人のお嫁さんになる。絶対になる。直人に嫌われたくない」
「じゃあ、明日も頑張るの? みんなで応援するわね」
「うん!真白、諦めない。頑張る」
そうして直人捕獲計画は発動したのだった。
直人の母親の幸子おばさんが味方についていた事は直人の行動、計画を知る上でも、また、直人の動きを牽制するのにも大きな影響を与えた。
『真白に諦めさせるにのはどうしたらいいかな?彼女でも作れば俺の事を諦めるかな?』
『あら? 昨日、失敗したって聞いてるけど、違ったのかしら? 彼女のふりを頼んだ女性と真白ちゃんが部屋でやり合ったって聞いたわよ。もちろん真白ちゃんの勝ちだって』
『それが一番真白を傷付けない方法だと思ったんだよ』
『あら? 母さん、そんな不誠実な事をする子に直人を育てた覚えはないけど? 真白ちゃんからの好意には気付いてるのでしょう? ならそれをきちんと対処する事ね。そんな正面から向き合わない卑怯な手は許さないわ。他の子と付き合うならその前にきちんと真白ちゃんと話しなさい。真白ちゃんの事が嫌いだから付き合えないって、きちんと』
『いや、嫌いだなんて言ってないだろ。嫌いなわけないじゃないか。真白の好意を受け入れるには歳の差が有りすぎるだけで』
『たった7歳差でしょう? それのどこが問題なのかしら? 問題のない年齢になるまで適切なお付き合いをしていれば問題ないでしょう? 出来ないの? そんな節操のない子に育てた覚えはないけれど、それなら真白ちゃんも他の男の子に逃げた方がいいわね』
『手なんて出さないよ。出す気もないよ。そりゃあ、将来的にはわからないけどさ。歳の差が有り過ぎて、話題も考え方も違うのなら、同世代の男の子の方がいいんじゃないかな? とか、同世代の男の子を好きになった時に邪魔にならないかな? って思うんだ。だったら最初から距離は変えずに、関係性も変えない方が良いだろう?』
『そう? そんなに真白ちゃんの事を真剣に考えているなら悪者になってあげたら? 真白ちゃんをしっかりと振りなさい! きちんと徹底的に残酷な程に振るのよ。そうすれば真白ちゃんも直人の事諦めるわよ。そうして同い年の子達と付き合うようになるわ、直人の希望通りにね』
幸子おばさんの言葉にとどめを刺された直人は机に顔をうつ伏せたまま二時間ほど動かなかったそうだ。
口に出さないけれど直人も真白の事が――
『そろそろ安売りはやめて出し惜しみしなさい』
そう、ママとおばさんからのアドバイス貰った。アドバイスに従って、少しずつスカートを持ち上げる位置を変えた。
直人の少し残念そうな顔を見るのが楽しくなった。真白のパンツを見て喜んでくれていたんだと実感できた。真白の事も好きだよね?
料理は中学に進学後しばらくしてから毎日夕食を作りに通っていた。幸子おばさんから許可も貰っている。
『真白ちゃんが娘に来てくれるなら、今から好きに使ってくれて良いわよ。台所の配置も好きに変えてくれていいからね。食材費も全部出すから好きにしてくれればいいわ。なんならアルバイト代も出すわよ』
直人に手料理を食べさせたい。将来の事を考えたら、ずっと食べさせたい。お弁当は作る時間が難しいと相談したら、夕食作りを任せたい。自由にして良いと返事をもらった。
夕食を作り、食べた後はそのお礼に直人から勉強を教わる。それがルーティンになった。
『これだけ胃袋を掴まれたら他の子に行くのは無理だろうな。情け無い所のある息子だが見捨てないでよろしくお願いするよ、真白ちゃん』
『そうよ、既に家庭の味になってるから自信持っていいわよ。直人の事よろしくね、真白ちゃん。直人が真白ちゃんにメロメロ、でれでれなのは確実だから自信持っていいわよ』
幸子おばさんから太鼓判を押されたけれど、直人の真白に対する態度に違いはなくて自信を無くてしょんぼりしていると、それを見兼ねたのかおばさんがコソッと真白に耳打ちした。
『直人の部屋の机の引き出しの奥にとっておきの写真を隠してあるから見つけたらびっくりするわよ』
と幸子おばさんがくすくす笑いながら教えてくれた。
その日、直人が帰ってくる前にコソッと机の引き出しを探した。出て来たのは真白と直人の二人で写っている入学式の写真や、体育祭のリレーで走ってる真白の写真、文化祭で出し物をしてる真白の写真などをまとめたアルバムだった。決して隠し撮りとかじゃなくて、パパやママが撮った写真だったので公認で両親から渡された物なのだろう。そんな話は聞いてないよ?
しかも肌の露出が高い写真ほど後ろの方に貼られてたのはなぜだろう? 真白のパンツなら毎日見てるのに変な直人だ。
バレないようにコソッと戻して部屋を出て素知らぬ顔をしている。多分今でも隠してるアルバムを見られた事、直人は知らないだろう。バラしたらどんな顔するかな? 恥ずかしそうな顔をする直人の顔が浮かんでくる。
言えば直人の好きなポーズを目の前で取ってあげるのに。
幸子おばさんの言う通りに自信を持つ事にした。
行動あるのみ。直人相手に待っていては駄目。真白から動く。絶対に逃がさない。もう逃げれないんだから。
***
「まさかキス以外全く進展ないと思わないよ、普通。真白じゃないと逃げられてたんだからね。感謝しないといけないよ、直人。今日から解禁なんだから、ムードたっぷりにお願いするね、直人」
「それ以上だと自制出来る自信がなかったんだ。ごめんよ、真白。それより、高校卒業おめでとう。次は大学生だね」
「ありがとう。直人に教えてもらって勉強頑張った甲斐あったよ。4月から真白も大学生!大学生もママさんも両立させるつもりだから遠慮しなくていいよ、旦那様!」
入籍の報告を学校にして以来、人前で真白と直人、二人の関係を隠すような事はしていない。
当然、卒業式の今日も同じである。
卒業式後の正門前での記念写真を撮影する為に二人で列に並んでいた。熱々カップル(夫婦)の会話を聞かされると、列に並んでいる他の卒業生たちは思ってもいなかっただろう。気の毒だが、運が悪かったと諦めてもらいたい。
『くそう!大学では彼女作るんだ!』
『私だって――』
『俺だって!』
あちらこちらから恋人捕獲宣言が飛び出していた。
「どれだけ甘いムードにしてくれるのか楽しみだよ、直人。甘すぎて蕩けちゃったらどうしよう?デロデロに蕩けちゃうんだよ。夏場のチョコレートの様に」
「全部舐めとってしまうよ。隅から隅まで真白全部を。真白が嫌だって言ってもね。絶対にやめないよ。我慢してたのは真白だけじゃないんだからね」
「うーん、楽しみのような。怖いような、変な気持ちだよ。直人のせいだよ。責任取ってもらうからね、旦那様!」
『リア充、もげろ!』
正門前で卒業写真を撮る為に並んでいるみんなの気持ちは一つであった。
年下の幼馴染に迫られて -おぱんつせんき 当然負けたのは俺でした- 青空のら @aozoranora
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