脳内殺人1

無名乃(活動停止)

落とし物

駅近くの横断歩道で立ち止まっていると妙な独り言を呟く一人の青年。耳を澄ませると「アレで人殺せそうだな」「こうしたら死ぬか」と騒がしい街の音をBGMに妄想が膨らむか妙なことを呟いていた。やけに周囲を見渡し、目を閉じ俯きながら笑みを浮かべると近くにいた女性に話しかける。


「ねぇ、お姉さん。 してますよ」


 青年は笑いながら上を指差し、釣られるよう女性が見上げると黒い影が女性を包み押し潰す。鈍い音と共に飛び交う悲鳴、衝撃で腕が千切れ、マネキンのようにアスファルトに転がり、赤い血溜まりがジワリジワリと広がった。


「アハハっゴメンゴメン。ちゃった」


 楽しそうに手を叩き笑い、サイレンが聞こえると人ごみに紛れ消える。

 それは、大きな落とし物だった。看板――いや、『命』という名の

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脳内殺人1 無名乃(活動停止) @yagen-h

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