終ノ章

『これが、私、十返舎一九が一年を通して体験した、ちょっと不思議な妖怪たちの一年行事である。この本を手に取ってくれた方々も、行事を重んじる彼らと一緒に、一年行事を楽しんでみたらいかがだろうか』


 終ノ章まで読み終えた蔦屋は、ぱたんっと満足そうに本を閉じた。


「今までの妖怪ものとは違う、とてもいい本ができたわ」

「おかげさまで、私にとっても、満足のいくものができました」

「ところで、本の題名は決めてあるの?」

「はい。前から決めてあります」


 一九は半紙に筆を滑らせ、蔦屋に見せた。


妖怪一年草ばけものひととせぐさです」

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妖怪一年草 岡本梨紅 @3958west

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