『スランプの詩』

ヒニヨル

『スランプの詩』

詩が書けなくなった

僕は

窓辺に腰掛けて


この左の手首に近いところに

拳銃で穴を開けてもらえれば

と、

静かな夜空に向かって

左手を伸ばしてみる。


これが陽の光ならば

透けて

血潮でものぞけそうだが


君は優しいから

僕に気遣っているんだね。


かたわらのベッドでは

歳上の恋人が寝そべっている。


僕はそっと

「良い詩が浮かんだ」

口遊くちずさんだ。



     Fin.

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『スランプの詩』 ヒニヨル @hiniyoru

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