42:スキル『聖性付与』

『えーと、新しくスキルが手に入りましたので。試させてもらってもいいかな?』


 一応、リリーさんたちにおうかがいを立てさせてもらう。

 よく分からないといった様子だけど、2匹はこくりと頷きを見せてくれた。

 ちなみに、そんな2匹を眺めつつ、女の子さんは不思議そうに首をかしげていたのでした。

 うーむ、意思疎通なぁ?

 出来た方が良いかなぁってちょっと思うけど、まぁ、仕方ないか。

 蚊帳かやの外にしちゃって申し訳ないけど、とにかく先に進めさせてもらいましょうか。


 まずはリリーさんにさせてもらおうかな。

 聖性付与。

 促成栽培と同じであれば、願うだけで良いのかな?

 ということで、聖性よ。

 我が愛しきリリーさんに与えられたまえー……はい。

 リリーさんは首をかしげていました。

 ヘタレが見つめてくるけど、何?

 そんな感じでした。

 何か変化があった実感は特に無いみたいだね。

 

 では、ステータス的には?

 俺は早速確認に入る。

 

 ───────《ステータス》───────

【種族】ツリードラゴン[聖獣]


レベル:102 

神性:0[+100]

体力:167/156[+11]

魔力:150/139[+11]

膂力:132[+4]

敏捷:127[+3]

魔攻:133[+3]

魔防:145[+5]


【スキル】[スキルポイント:60]

・光合成Lv30

・耐火Lv32

・魔力変換(膂力)Lv30

 ──────────────────────


 リリーさん、聖獣デビュー。

 なにそれカッコいいではあるけど……なるほど。


 プラスの値がそのまま、リリーさんに加算されている能力値なんだろうね。

 俺の能力値の1/10らしいけど、そりゃあ実感は無いでしょうとも。

 もはや微差どころでは無く誤差レベルだし。

 

 ただ、神性だ。

 これが与える影響は大きいんじゃないか?


 試しにどんなスキルが獲得できるようになったのか確認してみるけど……ふむふむ。

 ちょっと面白いかも。

 萌芽生成なんてスキルがある。 

 多分だけど、種子生成の親戚かな?

 戦闘系のスキルばっかのリリーさんだけど、神性によって色々と出来るようになりそうだね。

 俺の存在意義もそろそろ無?


 しかし、あまりすごそうなスキルは無いな。

 やはり1000か?

 神格相当の神性を得ることが出来れば、俺みたいに色々ゲットかな?

 まぁ、いつになるのやらである。

 今は気にする必要は無いかな。


 んじゃ、次。

 リンドウさん。

 聖性を付与ー……って、うん。

 リンドウさんはにへぇとしたままだった。

 特に実感は無いらしい。

 この子も能力値高いしねー。

 そらまぁ、こんなもんか。


 ただ、この子にも聖獣と称号らしきものがついて、神性も与えられたわけで。

 確認する。

 どうやら戦闘系のスキルが追加されたのかな?

 硬化とか耐火とか。 

 これは獲得しておこうかな。

 土壌吸収改良の結果だろうけど、リンドウさんのレベルは上がっていてスキルポイントも少しだけど入手出来ていたからね。

 ここがポイントの使いどころだろう。

 来たるべき一戦できっと役に立ってくれるでしょう。


 んで……どうしような。


 俺は首をかしげ続ける女の子さんを見つめることになる。

 聖性付与の対象数は3。

 この子にも付与出来るんだよね。

 ただ、良いのか?

 勝手に付与しても?

 リリーさんやリンドウさんとはちょっと勝手が違うと言うか、気がとがめる部分が確かにあると言うか。


 でも、デメリットは無いみたいだし?

 せっかく手伝ってくれたわけで、お礼も出来ていないわけで。

 他に付与する相手も無いし……まぁ、うーん。


 えーい、ままよ。

 というわけで、ほい。

 付与しちゃいました。

 そして……今回の反応は今までのお二方とは違った。


 女の子さんは青い瞳のお目々をまん丸に見開いたのだ。

 んで、いきなりぴょん。

 一度ジャンプして、「うわぁ」みたいな声を漏らしていた。

 体が軽いって感じかな?

 ふーむ、なるほど。

 人間さんは能力値的にはあまり優れていないのではないか?

 そんな疑惑を抱いていたけど、やっぱりそうらしい。

 少なくとも、女の子さんはそうなのだろう。

 雀の涙みたいな能力値の追加であっても劇的に感じるぐらいにはおそらく。

 

 しかし、実際はどんなもん?

 そこが気になるところだけど……あら?


───────《ステータス》───────

【種族】エディア[聖女]


レベル:1

神性:0[+100]

体力:17/8[+11]

魔力:16/6[+11]

膂力:3[+4]

敏捷:2[+3]

魔攻:2[+3]

魔防:3[+5]


【スキル】[スキルポイント:0]

 ──────────────────────


 なんか見えてしまいました。

 んで、エディアとか聖女とか、気になるところは多いけど……へぇ。


 俺はちょっと納得だった。

 やっぱり、この世界ってそういう感じなのかね。

 俺たちと同様と言うべきか。

 どんな存在でもステータスを持ち合わせているのだろうか。

 長所、欠点が一目瞭然りょうぜんなわけで、生き辛そうな世界だと思わざるを得ないけど……いや?


 女の子さんのステータスを眺めている内に、俺は疑問を抱くことになった。

 レベルが1ってところが気になったのだ。

 この子はもちろん生まれたてでは無いし、さらには温室育ちってわけではまったくあり得ないのだ。

 レベルが1のまんまなんてことある? あり得る?


 聖性が付与された結果である。

 そう理解するのが妥当だろうか。

 聖女の称号と共にステータスを得て、レベルというシステムもまた得たと。

 となると、これからレベルが上がっていくのだろうか。

 今はスキルポイントが無いからダメだけど、スキルも得られる?

 聖女なんて称号がついているから、うーむ。

 すぐにでも俺をゴミクズ扱い出来るようになりそうだね。たのしみ。


 ともあれ、良い贈り物になったかな?

 これで彼女は多少は死から遠ざかっただろうし。

 そして、これからのがんばり次第では、死の影なんて自ら蹴散らせるようになるだろう。


『がんばってねー』


 思わず声援を送らせてもらう。

 女の子は「うん」って感じだった。

 この変化を喜んでくれているようで、明るい笑顔での頷きを見せ……って、はい?

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