41:スキル『神格解放』

 女神様への謝罪を終えた俺は、次はリリーさんたちに感謝だった。


 本当、君たちのおかげだからねー。

 ありがとう。

 心の底からありがとう。

 女の子さんには意思が伝えられないため、今回も土下座だった。

 ベタリとして謝意を伝えさせてもらう。

 まぁ、「なんだコイツ?」って顔をされてしまったけど、うん。

 仕方ないね。

 この辺りは今後に期待だね。


 ということで、彼らには好きに遊んでいただくとしまして……俺は1人スキルに向き合うことになった。


 ────────《ログ》─────────

※スキルポイントが52あります。


・『候補』意思疎通Lv1[必要:50ポイント]

・『候補』神格解放Lv1[必要:25ポイント]

・『候補』聖性付与Lv1[必要:25ポイント]

──────────────────────


 これが俺のおニューなスキルたちだ。

 パッと見で分かるがくっそお高い。

 選択が必要なことは明らかだった。

 そして、明らかに諦めるべきは……意思疎通だろうかねぇ?


 名前通りであるなら、人間さんたちとの交流を可能にしてくれるのだろう。

 ただ、その必要は現状では非常に薄い。

 スライムがボソボソ話し始めるという珍事にみまわれても、今の彼らはきっと一瞥いちべつだってしてこないだろうし。

 

 女の子さんと会話が出来るっていうのは利点かもしれなかった。

 ただ、彼女は賢い子であって、色々察してもらえている感じがあるからね。

 意思疎通を選ぶ理由はさほど無いかなぁ。


 となると、うん。

 話はグッと簡単になるよね。

 

『よっと』


 適当なかけ声を上げまして、はい。


 ───────《ステータス》───────

【種族】グリーンスライム

【神格】地母神[第12級]


レベル:111

神性:1003

体力:116/116

魔力:113/115

膂力:47

敏捷:43

魔攻:45

魔防:47


【スキル】[スキルポイント:2]

・光合成Lv35

・種子生成Lv25

・土壌改良Lv15

・木獣使役Lv2

・形状変化Lv5

・硬化Lv10

・促成栽培Lv4

・神格解放Lv1

・聖性付与Lv1

 ──────────────────────


 大枚たいまいをはたくことになりまして、無事獲得と相成あいなりました。

 

 さーて、どうだ?

 これらはちゃんと役に立ってくれるのか?

 ワクワク感よりは緊張感の方が強かった。

 俺は喉がひりつくような心地を味わいつつにスキルの確認に入る。


 ───────《神格解放》────────

・神格による現世への影響を一時的に深化、拡大させる[300秒を限界とし、再動には120時間を必要とする]

・解放中において魔力は減少しない。

・解放中において特殊なスキルの行使が可能となる。

・レベルの上昇により、解放可能時間は増加、再動までの時間は短縮される。

※レベルは神格の等級に制限される。

 ──────────────────────


(……ふーむ)


 俺は何度も説明に目を通すのだけど……印象としては、えーと必殺技? あるいは火事場の馬鹿力?


 けっこう魅力的な文言が踊っているよね。

 魔力は減少しないとか、特殊なスキルが使えるとか。

 地母神だっけか?

 俺の神格とやらにはそうあったけど、そんな感じ?

 大地の母親っぽい何かしらのスキルが使えたりするのかな?

 正直、よくは分からない。

 期待できるのかも、本当正直分からない。


 まぁ、試してみれば分かる話ではあった。

 ただ……クールダウンがあるみたいなんだよなぁ。

 5分発動して、えーと5日?

 無いよなぁ。

 闇ゴリラがいつ襲ってくるのか分からない現状じゃあ、ちょっと発動しにくい。


 ちなみに、スキルのレベルを上げるためにはまた神性を稼ぐ必要があるっぽい。

 まぁ、これについては考える必要は無いか。

 問題はスキルポイントだ。

 獲得のために25ポイントが必要だったわけで、レベルアップにはおそらく同量が必要なのだ。

 この量が貯まるのは、闇ゴリラを無事に撃退した暁になるだろうね。


 ということで、はい。

 評価は先送りということで、俺は獲得出来たもうひとつのスキルに意識を向けることにした。


 ───────《聖性付与》────────

・対象に対し、聖性を付与する[付与対象数:3]

・付与された対象は神性及び能力値に加算を得る。

※対象者の得られる神性への加算は、付与者の神性の1/10。

※対象者の得られる能力値への加算は、付与者の能力値の1/10。

・レベルの上昇により、付与対象数は増加する。

・レベルの上昇により、神性及び能力値に対する加算の割合が増加する。

※レベル2において、付与者の2/10が加算となる。

※レベルは神格の等級に制限される。

 ─────────────────────

 

 神性とか神格とか。

 謎ワードに触れ合うことを強要される今日この頃だけど、また新顔ですね。

 

 聖性。


 まぁ、単語の意味合いはどうでもいいか。

 大事なのはスキルの中身だ。

 説明は長いけど、書いてあることはつまりバフかな?

 永続的なバフを、3人だか3匹まで与えることが出来るって感じ?


 レベルアップ関連については、神格解放と同じで考えても仕方ないかな。

 気になるのは、神性も対象に加算出来るってところか。

 俺が耐火やらを獲得出来たように、聖性を付与した対象……リリーさんやリンドウさんも色んなスキルを獲得出来るようになるのかな?


 じゃあ、うん。

 デメリットは無いみたいだし、早速試してみるとしましょうか。


『ごめーん。ちょっといいー?』


 ちょっと申し訳ないけど、お呼び立てさせていただくのでした。

 あの子たちはよく分からないことをしていた。

 リリーさんが「キュー」と鳴けば女の子が「キュー」と返し、リンドウさんが「ぎぃー」と鳴けば女の子が「ぎぃー」と返す。

 

 そんなことを延々と繰り返していたわけで、うーん?

 楽しい……のかな?

 まぁ、楽しいのでしょう。

 箸が転げてもって年頃の彼らだろうし。

 俺のれた感性では推し量れないものがあるのでしょう。多分。


 ともあれ、あの子たちは俺の声に気づいてくれた。

 遊びを止めて、俺の元に集まってくれた。

 さてさて。

 早速だけど、聖性付与。

 試させていただくとしましょうかね。

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