7:選べる木獣(3種)

 俺は早速、木獣の生成と念じた。

 すると、


 ────────《生成候補》───────

・ツリースライム

・ツリーワーム

・ツリードラゴン

 ─────────────────────


 こんなのが現れたのだが、へぇ?

 ちょっと意外だった。

 てっきり木獣なんて生き物がいるのかと思ったけど、そういうわけじゃないのか。

 ある種、哺乳類、爬虫類みたいな?

 ジャンルの名前としての木獣っぽいね、うん。


 なんにせよ、選択肢があるなら悩まないといけなかった。

 

・ツリースライム


 これは推測が楽だった。

 多分、俺と似たような存在なのかな?

 役割と言うか、出来ることも多分一緒だ。

 一緒に種を作って、土壌を改良してって貢献してくれそうな感じがする。

 戦闘力に関しては……うーん。

 期待しない方が無難な気がするよね、正直。


・ツリーワーム


 これはちょっと想像出来ない。

 ワーム。

 えーと、虫?

 幼虫? 毛虫とかの仲間?

 広げた緑をむしゃむしゃと食べて下さる?

 そんな存在だとしたら、害虫以外の何者でも無いけど……ミミズみたいな感じなのか?

  

 確か、ミミズもそんな呼ばれ方をしていたような。 

 土をパクパクしてくれて、土壌の改良に大きな貢献をしてくれる。

 そんな存在だろうか?

 そんな存在だと良いなぁ。


 戦闘力は、うん。

 虫であれ、ミミズであれ期待しない方が良い気がするかな。


・ツリードラゴン


 期待せざるを得ない。

 だって、ね?

 ドラゴン。

 そう、ドラゴンなのだ。

 東洋のヘビさん式か、西洋の四足型かは分からない。

 だが、ドラゴン。

 少なくとも、スライム、毛虫、ミミズなんかよりは強くあってしかるべきだろう。


 まぁ、代わりに緑地化への貢献は少なさそうではある。

 ただ、俺の目下もっかの課題は何か?

 それを考えれば、答えは決まっていた。


 ────────《ログ》─────────

・ツリードラゴンを生成中[所要:60分]

 ─────────────────────


 迷いなく選ぶと、早速生成が始まった。

 60分か。

 初期のドクダミ程度で、木なんかと比べると格段に短い。

 もっとかかるかと思ってたけど、これは嬉しい誤算だ。

 これなら、次の灰色の襲撃の前にお目見えすることが出来るかな?


 そうして灰色に怯えつつに50分ちょっとが過ぎた。


(……まだかなぁ?)


 俺は何もせずにログをじーっと見つめていた。

 本当は待ち時間を無駄にせず、麦畑のための作業でも進めようと思っていたんだけどね。

 無理でした。

 脅威にさらされつつに作業するというのがどうにもこうにも。

 俺の精神力じゃあちょっとね。

 これはちょっと無理だね、怖い。


 ということで、ツリードラゴンへの期待はうなぎのぼりだった。


 是非とも予想の通りであって欲しいところだ。

 あの灰色をグバー! と焼き払うぐらいの力があってですね、是非とも俺に安心安全を届けていただきたいと言うか。


(……き、きたっ!)

 

 ────────《ログ》─────────

・ツリードラゴンの生成を完了

 ─────────────────────


 俺は急いで木の洞から飛び出し、そしてぐにょんぐにょん。

 今まで通りであれば、ツリードラゴンは俺の体内で生成されているわけで、俺はそれを慌てて取り出そうとしているのだった。

 

 今までにない異物感であり、ちょっと手間取ることになったけど……よ、よーし。


 今までにない慎重さで、目の前にぐぽっと取り出す。

 俺はまじまじと見つめることになる。

 どうやら、これがそうであるようだった。

 これが……念願のツリードラゴン。


(……きゃー)


 俺は胸中で歓声だった。

 きゃー、うわー、にぎゃー。

 だって、うん。

 感動したもん。

 なにこれ?

 こんなんアレじゃん。

 テディベアじゃん、きゃー。


  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る