第3話 ダンジョン大勝利!

「さてと、この前稼いだ分は全部口から出てしまったのでまた1からダンジョン始めるぞー! 今回は前回とは一味違うのだ! 何が違うのかと言いますと、なんとトラップが完成したのだ! これで私もなんとかダンジョンを経営していけるぞ!」

 もちろん今のダンジョンにはスライムさんすら1匹もいないので、私1人で自作自演しなければならないのだ。そんなことを言ってたら早速冒険者様の御一行がお出ましだ!


「ここが噂のクソダンジョンかー」

「クソダンジョンとは失礼な!!!!」

「え? 」

「あっやべ」

「今なんかどこから声しなかったか?」

「チュー! チュー! あはっ… 」

「まあネズミだろ。こんなところに人なんていねぇーよ」

「だな 」


 なんとかごまかすことができたー。さてと、ここからだ! ダンジョンに入ってきたからには絶対に獲物は逃がさない!

 テリトリーに入ってきたものは 潰されるのみなのだ。さてと、様子見であいつを投入しますか!


「ギギギギギギ」

「なんか変な音しねぇ?」

「おい、前からスライムがやってくるぞ! 」

「ギギギギギギ!」

「え、なんかこのスライム変じゃね」

「たしかに」


 実はこれ、ただのラジコンなのだ。私が上手く操縦している。


「何はともあれ倒すぞ! 」

「だな! 敵がいたらとりあえず倒すのは基本だからな!」


 私の操縦技術をなめるな! 剣の攻撃をかわした。これが大学卒業の力じゃ! なめるなぁ!


「なんかこのスライム、やっぱりおかしくねえか? スライムってこんな動きするのか?」

「これってもしかしてあれじゃねえの?」


ギクッ! もしやバレたか…!?


「これって変な動きで素早いレアなスライム的なやつ。ほら、倒すと経験値めちゃくちゃもらえるやつじゃね?」

「まじかよ! だったら倒すしかねえだろう!」


 冒険者たちの目の色が変わった。


「うわーなんだなんだ!? めちゃくちゃ攻撃してくるんですけどぉ!?」


 急に攻撃が早くなる。


「逃げるんじゃねー!」

「さっさと当たりやがれ!」

「経験値を寄越しやがれスライム野郎!」


やばいやばい! このままだとラジコンを野蛮なあいつらに壊されちゃう! このラジコンだって安くないんだから!

 冒険者たちから必死に逃げる。でもこれはチャンスだ。このまま逃げ切れば冒険者たちのスタミナをかなり奪えるはずだ。

 なによりこのまま逃げ続けてトラップの地点に誘い込めるかもしれない。私はラジコンの操作に集中をする。私はダンジョンの地形ぐらい覚えている。

 だから見なくてもスライムさんラジコンがどこを走っているかぐらい分かる。


オラァ! 絶対に逃がさない!

お前ら、あれを狩れば俺たちは一気にレベルアップだ!

ひゃっほーい!  捕まえるぞー!


 スピードが急に上がる。


うわはやっ! このままだと追い付かれる! えーい、使いたくなかったけど、使わざるを得ないか!

 ラジコンが急に止まる。


「チャンスだ! あのスライム疲れたのか急に動かなくなったぞ!」

「これで俺たちは最強冒険者様だ!」


引っ掛かったわね。

 ラジコンから煙が出てくる。冒険者御一行に向けて発射された。


「うわー! なんも見えねぇ!」

「お前ら大丈夫か!?」

「うわーなんかいるぞー! 攻撃してくる!」

「うわっ切られた!」


えっえっ嘘! ラッキー!

 冒険者たちは煙幕で目が見えないので焦っててきとうに周囲を攻撃する。そして同士討ちが行われていた。


「やめろ! 俺さっきからなんかめっちゃ攻撃食らってるぞ! お前ら攻撃をやめろ!」

「でもモンスターが紛れ込んでるかもしれないっすよ!」

「ぐはっ!」

「大丈夫か!? 誰だ!? やられたのは誰だ!?」

「うわっ!こいつ倒れてる! しっかりしろ!」

「うぎゃー! 」

「なんだやばいぞ!?」


 煙幕が晴れた頃には1人しか残っていなかった。


「嘘だろ、俺だけかよ!!! みんなくたばりやがったのかよぉ!!!」


ラッキー! トラップ節約出来た! まあ煙幕使っちゃったからまたお金がかけて補充しないとね…。


「クソ、俺の体力も残りわずかだ」


これはチャンス!  私自らが攻撃をするっきゃない!

 死角から少しずつ冒険者に近づいていく。


「俺はどうすればいいんだ。このままじゃ死んぢまう」

「とりゃー!!!」 

「なんだ!?」

「私の必殺技! ミラクルスーパーサイレントキック!!!」

「ぐへぇー! やられたー!」


 私渾身のキックで1ダメージ食らわせた。


やっぱり私の読み通り、相手の残り体力は1だったみたい。まあ私も元の体力少ないから反撃にあったらやばいんだけどね。体力3ぐらいしかないからね」


 体力があんまりないのでかなり疲れた。


「こうして今日も何とか生き残ったわー。さてと、パーティーを壊滅させたらやることはただ一つ! そう、身ぐるみを剥いじゃいまーす!」


 冒険者の人間をひとまとめに集めて置く。


「さてと、まずはこの人たちの服を全てもらっていきますからね! 服だって立派な装備で売れるんだから! ダンジョンで倒れて負けるということはそういうことなのでーす! 前回は何もできませんでしたが今回は全部もらっていきまーす!」


 身ぐるみを剥ぐ準備が整ったようだ。


「いきますねー。まあ身ぐるみを剥ぐといっても命までは取りませんよ。身ぐるみを全部剥いだらダンジョンの外に全裸で捨てます!」


 私は目にも止まらぬ早業で全てのアイテムを強奪したのだった。


「さてさてー、この人たちはもう用済みなのでお外に捨てまーす!」


 ポイ捨てするみたいに4人の冒険者を外に捨ててきた。


「ある程度お金を稼いで装備を整えてアイテムをたくさん持ってきたら、また身ぐるみを剥がされに来てくださいねー!」


 今日はかなり儲かったのであった。「勝って兜のを締めよ! 」ということで貯金箱することになった。


「パーティーを壊滅させるとそこそこの金額が一気に入ってくるこの調子でどんどんやったりますかー」


 ダンジョンの経営も上手いこといくとかなり稼げるのであった。

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ダンジョン経営は辛す 夢日記ノベリスト @supesuzu

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