練兵場にて

 遠くにうっすらと白い雲のかかった青空。春の空気は、冬ほど澄み切ってはいない。その代わり、土の匂い、草花の吐息をいっぱいに吸い込んでいる。

 頭上を見上げる限りにおいては、まったくもって快適そのものだった。


「どっち見てるの? 着いたわよ」


 ファシエが彼女の兄、王太子ルターフの居場所を告げると、マリータ王女は俺についてくるよう命令した。

 辿り着いたのは、広い空を拝めるグラウンドだった。そして現在、まさに使用中だった。


「剣を捧げよ!」


 壇上の指揮官らしき男が声を張り上げると、兵士達は手にした剣を胸の前で真上に向けて、直立した。


 ここは練兵場だ。

 エスタ=フォレスティア王国のそれと同じように、王宮内に兵営がある。つまり彼らは、あちらでいうところの近衛兵団第一軍と同じ。王家にとっての最終防衛線を引き受ける存在だ。

 但し、彼らを「近衛兵」と呼ぶのは、事実ではあるが、適切ではない。なぜなら、ここの王家の兵はみんな近衛兵だからだ。


 これは、国の歴史が関係している。


 例えばエスタ=フォレスティア王国は、西方大陸の他の国々からすれば「新興国」だ。ゆえに、軍隊の構成にもそれが反映されている。

 例えば、聖林兵団が緑色の軍装に革の鎧を採用しているのは、ただのファッションではない。もともとフォレスティア東部は深い森林の広がる地域で、ピュリス王国との抗争に明け暮れていた頃は、その森の奥でゲリラ的な戦いを繰り広げていた。つまり、目立たず動ける装備が実用的だった。

 そうして功をたてた先人の武威と名誉にあやかる形で、今もその装備や呼び名が残っているのだ。


 ところがここ、シモール=フォレスティア王国はというと。

 諸国戦争の際、何人もの王が乱立したが、その中でも、いわば「勝ち組」だった連中が居残ったのが、この国だ。つまり、遡れば遠く、セリパシア神聖帝国に服属する前からの長い長い歴史を引き継いでいる。

 ウォドス帝に膝を屈した際、この国の王は形式上だけだが、信徒の一員となった。それで帝国のために援軍を派遣するようになったのだが、それは王家直属の兵でなければならなかった。王は信徒であることを強調するために、セリパス教のイメージカラーを使った。つまり、白と黒だ。この国でもっとも権威ある軍団の軍装が、この時から、この色合いで統一されたのだ。

 その後の諸国戦争後、弱体化した王家は、軍の支持を取り付けるためにも、名誉を乱発せねばならなかった。というわけで、どの軍団も白と黒の近衛軍団となったのだ。


 今、こうして居並ぶ兵士達も、みんな白一色だ。マントは真っ黒だが。

 近衛兵というのはカッコよさが重要なのだろう。兜の形状を見ると、頭の形よりずっと高い位置に頂点がある。銀色に輝く装飾のようなそれを目深くかぶり、体格の良さを誇示するような胸当てをつけて。その下に白い皮革が覗いている。

 盾も白い。縁を丸くした鏃型で、扱いやすい大きさだ。さすがに全体が木だけだと強度に不安があるのだろう、真ん中は王家の紋章を刻んだ金属板になっている。


「どうかしら?」

「はぁ」


 自国の軍隊を目に、マリータは自慢げだった。


「大変美しく、勇ましい様子だと思います」


 気のない答えが自然と出てきた。興味がなかったからだ。


「ふうん」


 その反応で、余計に彼女の気分を害したのだと気付いた。


 この手の人間は、変な自尊心が強い。

 近衛兵が強かろうと弱かろうと、それは兵士達自身の努力の結果であって、彼女には関係ないはずだ。しかし、彼らを所有物と看做すマリータにとっては、自分自身をけなされたように感じられる。例えば、女性とデートした時に「君は美人だけど、身につけているアクセサリーはダサいね」なんて言ったらどうなるか。それと同じだ。

 俺は別に、兵士達を見下すようなことは口にしていないが、彼女がそう受け取ったのだから、どうしようもない。


「じゃあ、あなたもここの一員にしてあげようかしら」

「せっかくですが」

「なに? 逆賊の手下に戻りたいってこと?」

「そうではなく、とてもではありませんが、僕などには務まりませんので」


 そうやって卑下して回避する。

 こんな奴と張り合っても仕方がないし。


 指揮官の横にいた男が、こちらに気付いた。

 そして振り返り、近寄ってくる。


 武装はしていない。それだけでも彼の身分の高さがわかる。

 白い上着に金の縁取り。亜麻色の髪はきれいに撫で付けられている。ヒゲも鼻の下で控えめにしている。父親のモジャモジャとは似ても似つかない。


「部外者は立ち入り禁止だぞ、マリータ」


 彼がルターフ王子だ。

 三十代前半の美男子で、細身で背が高く、清潔感がある。一見して、顔が小さい。威厳があるというよりは、上品さが勝っている。ガツガツした印象の父王とは大違いだ。


「私は部外者じゃないわ」


 悪びれずに彼女は言い放つ。


「兵を率いるのでなければ、部外者だ」

「近衛兵は王家を守るためにいるんでしょ? 近くにいなくちゃ、守ってもらえないじゃない」


 彼は首を軽く振って溜息をついた。

 普段から、彼女の我儘には手を焼いているのだろう。それが見て取れた。


 彼と彼女の関係性はわからない。だが、想像ならつく。

 ルターフ王子の母親は先の王妃殿下で、既に世を去っている。今のイングリッドは後妻だ。そして、その娘がマリータなのだ。国王の横で権勢を振るう継母を、次代の国王陛下がどんな目で見ているか。考えるまでもない。

 だが、一つにはマリータの割り切りが安全弁となっているのかもしれない。彼女には王になるつもりがないからだ。素行の悪さだって知られていないはずもない。それが皮肉にも、辛うじて兄妹間の関係を取り持っている。


「そちらは」

「逆賊よ」


 彼女の言葉を無視して、王子は俺に視線を向け、発言を促した。俺は一礼した。


「ファルス・リンガと申します。先日、黒竜を討伐するのに功ありまして、かたじけなくも陛下にお招きいただきました」

「それは勇ましいことだ」


 作った笑顔だが、彼は言葉の上では褒めてくれた。


「だが、ここは軍の」

「ねぇねぇお兄様、ひどいのよ」

「なんだ、マリータ」

「このファルスが、我が国が誇る近衛兵を侮辱したの。だから私はここまで連れてきたのよ」


 このガキ……

 なんか、前にも似たような経験があったな。そうだ、これもアナーニアだ。


 あることないこと言いやがって。しかしそうなると、名誉の問題となる。

 王子の視線を受けて、俺は身を伏せた。


「滅相もございません。誰が獅子を嘲りましょうか」

「ほら、お兄様」


 一歩身を引いた俺を、あくまで逃すまいと彼女は進み出た。


「竜にも勝る我が国の兵士達を、たかだか獅子などと。こんな言い草を許しておけるのかしら?」

「マリータ」


 言いがかりもほどほどにして欲しい。

 困惑する俺に、ルターフ王子は歩み寄った。


「話は聞いている。君があの、タンディラールの騎士だそうだな」


 これも返答に困る。

 はい、そうですと言いたいところだが……


「どうした? 正直に言いたまえ」

「まだ金の腕輪をいただいてはおりません」

「あー!」


 横でマリータが騒いだ。


「やっぱり逆賊じゃない!」

「マリータ、少し黙っていろ」


 だが、王子は俺を庇った。

 それでふてくされたのか、彼女はあらぬ方向へと走り去っていった。


「従士ということか。しかし、伝え聞いた武勇の噂は、信じがたいほどなのだが」

「あくまで噂です」

「だが、今度は黒竜を討ったと」

「大勢の仲間と一緒にです」

「それでも大したものだ。剣は誰に」


 少し考えて、言った。


「サウアーブ・イフロースに」


 彼がこの国にとってどんな存在か、俺はよく知らない。

 マルカーズ連合国では、昔は有名な傭兵だったらしいが。どちらにせよ、あまりポジティブなイメージはないと思う。かなり前の話とはいえ、同盟関係にあるマイア伯の領都を気まぐれで攻め落とした男なのだから。


「ほう」


 だが、彼は表情には何も出さなかった。


「やはりあちらには、優れた戦士が多いのか」

「僕などは、物の数にも入りません。ですが、この国にも獅子が大勢いるのではないかと」

「ふむ」


 俺のお世辞に、彼は顎に手をやり、考え込んだ。


「竜を討つほどの腕前、一度見せて欲しいものだな」

「ご冗談を」


 そう言いながら、俺も作り笑いをして、一歩下がった。

 ところが、気付くと周囲は静まり返っていた。


 指揮官が兵士達に「待て」の号令をかけたまま、マリータと共に戻ってきたのだ。


「フォニック、なんだ、何をしている。訓練の途中だろう」


 ルターフがそう言うと、指揮官の男は首を振った。


「殿下を無視するなど、許されませんよ」


 ややくだけた口調。なんだか遊び慣れた大学生のような。

 見れば、随分と若い。まだ二十代前半だ。長めの髪が、少しだらしなく見えた。体格はルターフより一回り大きく、背も高いが、肩幅もある。

 だが、政治というものがちゃんと頭の中にあるのだろう。マリータ自身が王位に就く可能性は限りなく低い。しかし、現在権力を掌握している王妃の不興をかいたくもない。


「何の話をしていたの?」


 構わずマリータは割り込んだ。


「軍規を乱すな」

「私が軍規じゃない」

「いいからお前は」

「聞こえたわよ。ねぇ、黒竜を倒すくらいなら、強いんでしょ? 戦ってみせてよ」


 面倒臭いことを、また……


「そんな言い方があるか。礼儀を弁えろ」

「逆賊や平民に礼儀なんていらないでしょ」

「賓客だ。間違えるな」

「どっちでもいいわ。ねぇ、フォニック、いいでしょ?」

「は、はぁ」


 王子と王女の板挟みになった彼は、難しい顔をしていた。


「マリータ、そういうことはな」

「さっき自分で言ってたじゃない。だったら多数決ね。はい、三人は賛成。ファルス、あとはあなただけよ?」


 喚きたてる我儘王女に立ち向かえる人など、結局いなかった。


「二本勝負とする」


 親善試合、という名目で、俺は指揮官のフォニックと戦うことになってしまった。

 左右には、兵士達が休めの姿勢で立ち並んでいる。白い防具に黒いマントなので、それがずらっと並んでいると、圧迫感がすごい。


「兵士達の模範となるような試合を見せて欲しい」


 ルターフが審判代わりになってそう言う。


「では、位置について……はじめ」


 やる気なさそうに、低い声でそう言うと、彼は後ろに下がった。

 だが、やる気がないのは俺のほうだ。どうやって負けようか。


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 フォニック・ポレミス・プライジュエ (24)


・マテリアル ヒューマン・フォーム

 (ランク5、男性、24歳)

・スキル フォレス語  6レベル

・スキル ルイン語   3レベル

・スキル サハリア語  3レベル

・スキル 指揮     3レベル

・スキル 管理     3レベル

・スキル 政治     5レベル

・スキル 風魔術    3レベル

・スキル 騎乗     4レベル

・スキル 剣術     4レベル

・スキル 格闘術    3レベル


 空き(14)

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 ほんの三ヶ月前には、あの魔宮にいたのだ。あそこにいた雑魚でさえ、彼よりは強い。

 だが、王子がわざわざ二本勝負としたのは、これはもう、意味なら明白だ。一回勝って、一回負けろと。痛み分けにして、遺恨なく終わりにしたいのだ。もちろん、それは俺にではなく、フォニックに対するメッセージなのだが。


 じゃあ、まず負けよう。

 どうせ木剣だし、当たり所が悪くなければ、死んだりもしない。


 彼の獲物は長かった。両手で引き寄せ、まっすぐに肩の上に突き立てている。

 どれ、ではまずは様子見……


「ん?」


 耳に聞こえた詠唱。

 魔術か?


 放置するのは不自然だし、近寄って攻撃するべきか。動き出す気配がないのなら、こちらから接近して妨害しないと。

 そう思って一歩を踏み出す。


 斜め上から、横薙ぎに剣が振り下ろされた。

 避けるのは難しくない。それで、振り切ったところを狙ってまた懐に入り込もうとして……また横薙ぎ。


 相手の間合いが広すぎる。後ろに下がらざるを得ない。俺は淡々とそうしていた。

 だが、兵士達の囁きが耳に触れた。


「すげぇ」

「本気出してるな、隊長は」


 ……えっ?


「えげつない。あれじゃ近寄れない」

「で、あのまま魔法だろ?」

「いきなり必殺の構えとか、大人気なくないか?」


 嘘だろ?

 なに、この剣。この戦い方。


「殿下の前だからなぁ」


 どうでもいいけど、見学中に私語とか。ゆるい軍隊だこと。


 詠唱が終わった。

 砂利の上に、小さく砂塵が舞う。


 これは見たことがある。空気の拳だ。

 ピュリスの官邸の中庭で、イフロースと初めて戦った時、これで吹っ飛ばされた。


「っと」


 思わず避けてしまった。


「えっ!?」

「見えない一撃を避けただと?」

「たまたまだろ」


 兵士達がざわめく。

 いやいや、よく見れば足下の砂とか塵とかを巻き込んでるから、見えるし。そうでなくても、詠唱が終わったんだから、俺に向かってまっすぐ飛んでくるに決まってるし。


 さて、フォニックはどう出るか? 必殺の構えというくらいだから、まだ何か隠している技が……

 するとまた、同じ構えをして、詠唱を始める。


 俺はポカーンと口を開けて、立ち尽くした。


 なんだ? なんだこれ?

 アホか? 俺はアホに付き合わされているのか? それとも、わざとやってる?

 誰が教えた? こんな戦法を。


 自分の中の常識が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちていくのがわかった。


 彼の考えていることも、かろうじて理解はできる。

 まず、長い獲物で間合いを遠く取る。横薙ぎは避けきれない。だから、受けるか下がるかするしかない。受けている間は反撃できないし、下がったらもっと攻撃が届かない。そもそも重量もある一撃だから、受けるのも大変だ。その横薙ぎに、横薙ぎを重ねる。これで相手は近寄れない。

 その離れた間合いから、更に不可視の魔法で攻撃する。避けるのは難しいが、避けられても次を仕掛ければいい。そうして自分の身を守りつつ、着実に相手にダメージを与える、と。

 待っていれば、そのうち勝てる。無敵の戦法というわけだ。


 だが、これはアホだ。

 誰がこんな道場剣法を教えたのか。実戦じゃ使い物になるまいに。


 例えば、俺が石礫を持っていたらどうする?

 同じく魔法を使えるとしたら?

 それ以前に、複数の敵がいたら? 戦場で乱戦になったら? 何人もの兵士が矢で狙っているかもしれないのに。


 何か前提条件が崩れたら、すぐに役に立たなくなるやり方だ。イフロースが最も嫌ったのが、こういう硬直した剣だった。

 戦いとは、そういうものではない。常に状況は変化する。だから同じ技は使わないし、見せもしない。情報を与えないためにも、時間をかけずに決着をつけるべきなのだ。それをこいつは。

 俺の強さは、ピアシング・ハンドありきだ。そういう意味では、何も自慢などできない。だが、素人の立場からしても、こんなやり方はない。


 宮本武蔵の五輪書にも、こういう戦い方は説明されていた記憶がある。臆病者の剣だったっけ?

 一説には、山伏の剣がこういうものだったとか。でもそれが成り立つのは、見通しも足場も悪い山道、飛び道具の射線も通りにくく、逃げ場のないところで長物を振り回すからであって。


 俺は、周囲の兵士達を見回した。

 ピアシング・ハンドで能力を判定するためだ。そして、一様にみんな低い熟練度しか有していないのを確認した。


「きゃはは! 見て! 逃げ道探してるわよ!」

「マリータ」


 どうしよう、これ。

 もう、いいか。次の詠唱が終わったら、きれいにもらっちゃえば。


「一本! それまで!」


 砂利の上に倒れ伏した俺の横に、ルターフが歩み寄った。


「あと一回、やれるか」

「はい」


 やってもらわねば困るのだろう。

 彼はもう少し現実的だった。王妃のやり方は何も産まない。ファルスにも恥をかかせない形で決着させたほうがいいのだ。


「フォニック! 次も勝ちなさいよ!」


 だが、そんな事情など知ったこっちゃないのだろう。マリータはあくまで俺に思い知らせるつもりでいるらしい。


「では、はじめ」


 するとフォニックは、さっきと同じ構えを取った。

 無敵の戦法だから、いくらでも見せていいと。そう思っているわけだ。


 また、彼は詠唱を始めた。

 じゃあ、とりあえずこれを破ってあげようか。


 俺は剣を構えたまま、少し待った。

 そしてもうすぐ詠唱が終わる……


「ブッ!」


 いきなり蹴り上げられた砂に、フォニックは視界を潰された。

 ドン、と足を踏み鳴らすと、彼は慌てて剣を振り抜いてしまった。普段、目だけに頼っているから、足音一つで動揺してしまったのだ。

 振り抜いた剣は脅威にならない。その切っ先を、軽く木剣の先で揺らした。

 身を翻して、発動した空気の拳を避けると、俺は剣を滑らせて一気に間合いを詰めた。刀身を寝かせて、相手の剣を根元から押さえたまま。


「ガッ!?」


 そのまま、鋭く股間に一撃、蹴りを見舞ってやった。もちろん、手加減はした上で。

 崩れ落ちた彼の肩に、軽く木剣を添えた。


「それまで!」


 構えが汚い。アルディニアで戦ったイリシットと同じで、膝が開いてしまっていた。だからこういう一発をもらってしまう。


 どちらにせよ、それ以前の問題か。カチコチの型に嵌った剣術なんて、何の意味もない。

 こんなものを勝利と呼ぶ気も起こらない。


 ここもそうだが、どこもそうだった。

 エスタ=フォレスティアの近衛兵団は半分以上が役立たずだったし、ミール王も自国の兵士達の弱さを嘆いていた。既得権益に守られている連中というのは、できるように見えて、実力はなかったりする。

 そういえば、前世でもそうだったっけ。中小企業ほど必死に仕事をしている一方、大企業は少なからず、ただのブローカーだった。自社のことしか知らないから、いきなり外に放り出されても何もできないようなのが結構いた気がする。


「なっ……卑怯! 卑怯者! 目潰しなんて!」


 向こうでマリータが騒ぐ。

 ああ、そういえば。そういう価値観もある、か。今までの戦いが真剣すぎたから、そういう視点は忘れていた。


「最低じゃない! それでよく騎士を名乗れるわね? あなた、いくらなんでも」

「マリータ。それでも一本だ」

「納得なんてしないわよ! なにこいつ」


 丸く収めるつもりが、まったく……

 そろそろ充分に交流したんだから、放流してくれないかな……


 逃げ場のない剣は攻略したが、逃げ場のない付き合いは。

 本当に助けて欲しい。

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