聖女の祠

「こんな流れで頼んじゃったんだけど」

「なに言ってんだ、すげーありがてぇぜ!」


 今日も快晴だった。おかげで歩きやすくて助かる。

 俺は今、ギルと一緒に、鉱山の横の斜面を歩いている。道は本当にか細くて、大人ならすれ違うのも難しいほどだ。


「この街に十年も暮らしてるのによ、今まで一度も見たことなかったんだぜ! この俺がよ」

「まぁ、ギルが歴史好きなのはわかってたけど……でも、聖女なんかに興味はないって言ってなかったっけ?」

「そりゃあよ。まぁ、二番目以下? けど、見られるんだったら、見なきゃ損だろが」


 聖女の祠に立ち入るには、最低限、信用できる地元の人間の付き添いが必要だ。本当は聖職者の監視下でやっと許される話なのだが、ユミレノストは条件を緩くしてくれたらしい。もともとギルについても、サドカット経由で聞き知っていたのだろう。そして日々を政略と陰謀に費やす彼とて、無情の人ではない。本来は女神に仕える聖職者であり、若者の向学心を応援する立場でもある。

 彼の手回しのおかげで、本来ならその辺にいるはずの守衛も、祠に常駐している司祭も、今日は任務を解かれている。本当に『自由に見学しなさい』ということにしてくれたのだ。二ヶ月の待ち時間を思えばそれくらいはと思わなくもないが、とにかく今はありがたい。


「一本道ですよね」

「おう」

「なんか、この先、岩盤の裂け目みたいなところになるんですが」


 この小道も、この先の祠も、教会が管理している土地であり、一般人からすると、見たこともない場所になっている。ギルとて道案内にはならないのだ。とはいえ、見当ならつけられる。


「あー、そろそろじゃね?」


 今までは斜面に沿って歩いていたのだが、このまままっすぐ行くと、聳え立つ岩壁の隙間に入り込む形になる。いよいよ聖女の祠の入口だ。

 ここまで長かった。


 裂け目に入っても、頭上からはまだ陽光が届く。子供が腕を広げて、両側の壁に手がつく狭さ。足場も限られる中、奥へと踏み込んでいく。ふと、左側に横穴が目に付いた。まっすぐ進んでも行き止まりだから、これが祠の入口に違いない。


「気をつけろよ」


 背中から声がとぶ。わかっている。

 聖女の降臨は今より千二百年前。その彼女が起居した場所が、この祠だという。よってここには、聖女の遺物がそのまま残されている。どれも国宝といっていい、大変に貴重な代物だ。傷つけたり汚したりするのは厳禁である。

 しかし、何しろ古代の物品である。ちょっと触れただけで壊れたりしてもおかしくない。だから、細心の注意が必要なのだ。

 物品の破壊の原因になってはならないので、俺もギルも、武器などは持ち歩いていない。飲食物など含め、余計な私物も持ち込み不可だ。忘れ物をするのも許されない。但し、それでもなんとか、ペンとメモ用紙の携行だけは許可してもらった。


 祠の中は暗かった。目が慣れるまで、じっと動かずに待つ。

 それから周囲を見渡す。岩を掘り抜いて拵えた、ごく普通の部屋だった。この出入口に扉はなかったが、それは年月によって朽ちてしまったからだろう。室内には何もなく、がらんとしていたが、ところどころ、床や天井などに穴が開いている。どれも子供の腕一本分くらいの大きさで揃えられているので、人工的なものだろう。

 少し行った先に石の階段がある。その向こうには、ちゃんと木の扉があった。ただ、そこだけ真新しいので、これは後の時代に付け加えられたものなのだろう。

 扉を開け、更に中に立ち入る。一層薄暗い中に、いくつかの影が立ち現れる。


 それらの正体は、なんのことはなかった。ただの家具。質素で素朴な木のテーブル。椅子。ベッド。箪笥。これらがガラスケースの中に収められている。

 部屋の形は全体として紡錘形で、それぞれ壁際に椅子やテーブル、反対側にベッドと箪笥があるだけだ。余ったスペースには別途ガラスケースがあり、そこに聖女が残した衣類や靴が保管されていた。


「ほえーっ……」


 ギルが間の抜けた声を漏らす。だが、すぐに真顔に戻った。


「な、ない! ないぞ!」

「えっ」

「肝心なモノがない! ファルス! これは大事件だっ!」


 何か大事なものをなくしたのか? ここに来る途中で必要だった鍵とか、身分証とか? そう思って、俺は慌てて自分の体をまさぐった。

 だが、ギルは叫んだ。


「トイレがないじゃないか!」


 目が点になった。


 俺とギルは一度、この上の階から出て、すぐ下の広間に出た。


「これを見てください」


 溜息をつきながら、俺は天井や床に開いた穴を指差す。


「これがどうかしたのか」

「さっきの答えです」


 何もかもが当時のまま、残されているはずがない。湿気にさらされる物品は、ことに劣化しやすい。

 この手前の部屋と、奥の部屋に段差があるのも、そういうことだ。湿気が入り込むのも防ぐ意味がある。


「この天井の穴から、雨水を樽にでも貯めたんじゃないでしょうか。で、それを洗濯、沐浴その他に使うために、こちらの床の穴から流した、と」

「おおお」

「ちゃんと観察すれば、わかりますよ」

「つまり、ここで聖女様は裸に」


 ……そうだった。

 こいつはスケベ、いやドスケベだったっけ。


「妄想しにきたんですか」

「いや、歴史の勉強だ」

「じゃ、奥行きますよ」

「おっ、ま、待て」


 そうして、奥の紡錘形の部屋に戻る。

 しかし、新たな発見は難しそうだ。


「この服を着てたのか」

「そうみたいですね」


 ガラスケースの前で、俺とギルはウンウン唸っている。前にリンが調べたのは、この着衣だ。靴の磨り減り具合なども丹念に記録して、それを帰国後の研究に生かした。しかし、それをまたなぞっても意味がない。


「こちらの箪笥は?」

「あ、おい、勝手に開けていいのか」

「開けないと何も調べられないでしょう」


 ガラスケースを開けて、中を検める。千年以上前の家具だから、壊してしまわないかビクビクしながら。だが、すぐに無意味だとわかった。

 中にはこれといった物品など、残されていなかった。衣服も、小道具も、何も。


 重要そうなものがあれば、衣服のように、こうしてガラスケースに収めて陳列するはずだ。やっぱり何もないのか。


「ビックリするくれぇ、なんもねぇんだなー」


 ギルがビックリなら、俺はガッカリだ。

 二ヶ月も待ったのに、ここまで何の成果も得られないとは。いや、でも、何か秘密の小部屋とか、罠とか、財宝とか、手記とか……何かないものだろうか?

 そう思って壁や床に触れてみるが、感じ取れるのは冷たい石の感触だけ。まさかいきなり聖女に会えると思っていたわけではないが、ここまで何もないなんて。


「ん?」


 ギルがまた首を傾げている。


「ない! ないぞ!」

「今度は何ですか」

「聖女様はどうやってメシ食ってたんだ? 食器も、調理器具も、なんもねぇじゃねぇか」


 そういえば。

 まぁ、食事は自作しなかったのかもしれない。何しろ聖女様だ。敬虔な信者が手作りして持ち込んでいたとか。それで辻褄は合う。

 しかし、まさか毎回パンやガレットだけで済ませていたのでもなかろう。いや、それより、水や牛乳だって飲んでいたはずだ。なのに水差しや甕、コップが一つも残っていない?


 長い時の流れの中で、失われただけかもしれないが……

 まず、俺がシーラからもらったゴブレットのような品物があって、飲食に不自由しなかったケースが考えられる。或いはノーゼンのような『断食』の神通力を身に備えていたか。いずれにせよ、「正常でない何か」を伴っていた可能性が出てきた。


「あとは張形とか春画とか見つかんねーかなー」

「あるわけないでしょう……」


 あったらあったで、歴史的大発見ではあるが。

 そんなもの、もし誰かが見つけても、保存なんかしておくわけがない。聖女の神聖性に傷がつくので、大昔の司祭あたりがこっそり火にくべていたりしそうだ。

 それに、公開なんて絶対できない。神壁派の権威がガタ落ちになるので、ユミレノストが捨て置くはずがないのだ。


「はぁ……」


 とはいえ、確たる何かは見つからず。無念の思いを噛み締めつつ、壁に手を触れたまま、部屋の奥に向かってトボトボと歩いた。


「ん?」


 紡錘形の部屋のどん詰まり。だと思っていたのだが。

 暗がりの中に、次の部屋に繋がる狭い裂け目が見える。もっと奥があるのか? なぜ今まで気付けなかった?


「ギル」


 俺は手招きした。


「こっちの部屋も調べましょう」

「あん?」

「まだ奥に部屋が」

「へー。じゃ、今度こそ聖女様の下着が見つかるかもな」


 そう言いながら、こっちに近付いてくる。


「で?」

「うん?」

「どこにあるんだ? その部屋は」


 どこって……これだけ長時間、この暗い部屋にいるのに、まだ目が慣れないのか?


「そこですよ、ちょっと暗いけど」

「は?」

「だから、ここだって」

「どこだよ」


 しょうがない。

 じゃあ、俺が先に行けばいいんだろう。


 それで俺は一歩を踏み出し、向こう側に立ち入った。


「あれっ!?」


 背中から叫び声が聞こえる。


「ファルスー! どこだ! どこに消えた!?」


 消えてなんかない。今、部屋に入ったろうに。


「ここにいますけど?」

「お? 声だけ聞こえる? いや、でも、どこだ? おい!」


 ……何か変だ。


「ここですよ」

「だからどこだよ?」


 俺はすぐ引き返して、顔だけ出した。


「ほら」

「あん? どこだ? どこだよ」

「ここですって」

「あのなぁ、ここ大事な場所なんだぞ! んなところでかくれんぼなんかすんじゃねぇよ! とっとと出てこい」

「ここにいるのに」


 まさか、俺が見えていない? いや、俺のいる「場所」が見えない?

 そんなバカな。


「だからここだって」

「おわっ!? お前、いつからそこにいたんだよ」

「ずっといますって。で、もう一つの部屋はこっちです」

「だから、指差されても何も見えねぇよ」


 俺はつかつかと歩み寄り、ギルの首を掴んだ。


「こっち、です」

「あ?」

「見えませんか?」

「あー……よくわかんねぇ」


 俺だけ見える?


 その事実に気付いて、背中から汗が噴き出した。

 なぜだ?


 俺は周囲を警戒した。まさか。聖女がいて、精神操作魔術で人払いをしているとか? その手の魔法に耐性がある俺には効き目が薄いが、ギルは普通の人間だ。しかし、人の気配がないのに。

 ならば、壁などに強力な魔法を維持するための道具が仕込まれているとか? だが、どこも自然の岩盤を掘り抜いた壁ばかりだ。そういう魔術に使用できるような素材もなさそうだし、魔術文字などが刻まれているのでもない。

 いずれにせよ、答えがあるとすれば、それはあの裂け目の向こうだけだ。


「ギル」

「なんだよ」

「巻き込んで済まない」

「はぁ?」

「危険かもしれないが……ついてきて欲しい。いざとなったら、一人で逃げて」

「何言ってんだよ?」


 言葉で説明しても、多分無駄だ。ギルはこの裂け目を認識できない。

 俺は強引に彼の手を握った。そして、先に立って歩き出す。


「おい、何すんだ、そっちには何も……うっ!?」


 今、裂け目を通過した。


 さっきまでの部屋よりは、少し明るい空間だった。というのも、ここも同じく紡錘形の部屋だが、その向こう側にまた裂け目があり、そちらはどうも屋外らしいのだ。なので、光がここまで届いている。

 部屋自体は狭く、内装が違うのでもない。特に何か、品物が置いてあるのでもない。当然、聖女もいない。


「なんだ、ここ……」


 ギルが力の抜けた声で呟く。


 いや、誰もいないとはまだわかるまい。透明化する能力とか。何もない空間に手を伸ばしてみる。壁にもペタペタ触れてみた。何も起きない。壁のように平たいという聖女様の胸にも触れてないと思う。

 とすると、やはりあの外に……


「う」


 そこで気付いた。

 ギルがさっきから動いていない。そして今、急に目元を押さえて、しゃがみこんでしまった。


「ギル!」

「う、お、なんか、気持ち悪い」

「大丈夫か! い、医者にすぐ」

「いや、そうじゃなくて、なんかここ……すげぇ胸騒ぎがして……」


 病気ではないだろう。彼みたいな健康優良児が、いきなりここに来た途端に発症? 先日の試合で頭を打っているし、絶対にないとは言えないが、それより何らかの魔法、ないし神通力のせいと考えたほうがいい。では、誰かが攻撃を浴びせてきている?


「待っててください。すぐ調べてきます」


 だとすれば、その犯人を見つけて捕まえれば。俺はギルを床に寝かせると、気を引き締めて外へと向かった。


「おわっ!?」


 いきなり足元が途切れた。外への裂け目のすぐ向こうには、大人一人が座るくらいのスペースしかなく、その下はいきなり断崖絶壁だったのだ。

 周囲は、すり鉢状になっていた。火山の火口のようだといえば、一番しっくりくるか。ただ、周囲は灰白色の岩盤に覆われている。底に視線を向けても、溶岩が溢れ出ていたりはしない。

 敵は? いないのか?


 警戒心がなかなか収まらなかったが、少しして、自分達以外には誰もいないと結論付けるしかなかった。

 恐らくだが、俺がここに来るまで、奥の部屋の存在を誰も知らなかったはずだ。それはギルが無意識的に裂け目を無視していたことからもわかるし、この危険な足場を見てもそれと理解できる。俺がここを清掃する司祭であるなら、必ず通行を制限するための対策をとるだろうからだ。大切な聖女の祠で滑落事故死とか、絶対に許されない。

 だが、そうとすると。これといった魔法の道具も見当たらない以上……巧妙に隠されている可能性はあるものの、ここにそういう魔法をかけた誰かは、相当な力を持っていたことになる。聖女の時代からなら千二百年、ギシアン・チーレムからなら千年間。タリフ・オリムは諸国戦争による破壊を免れているので、それ以後にここを「封印」した誰かがいるとは、少し考えにくい。

 千年以上続く魔法でここを隠蔽している? とんでもない。何をどうすればそんなことができるのか。


 ギルのことは心配だが、この機会を逃すわけにはいかない。

 恐らくだが、この空間は隔離されている。上空に向かっては開かれているが、鳥や昆虫も、外からでは入り込めないはずだ。実際、草木一本生えていないし、鳥の巣などの痕跡もまったくない。多分、俺が後から鳥になって訪れようとしても、見つけることさえできないのではないか。

 ならば今、ここを調べ尽くす。


 とはいえ、手が届く範囲には、何らの人工物も見当たらない。ざっと見た限りでは、ここはただの休火山だ。写真を取れるでもなし、調べるものがあるかというと。

 しかし、じっと火口の奥底を見つめていると、そこに黒い石版のようなものがあるとわかった。距離がありすぎて、本当にそうなのか、文字が刻まれているのか、確信を持てなかったが。

 これは、降りるしかない。だが、歩いていくのは不可能だ。絶対に無理とは言わないものの、万が一にも滑落しては、命取りとなる。


 懐から紙とペンを取り出し、石の上に置く。そして念じて……鳥の姿をとった。ギルに目撃されたら大変だが、その心配はないだろう。彼は横になったままだ。手早く筆記用具を足に抱え込み、俺は滑空した。

 降りる前に、すり鉢状の壁に沿って飛ぶ。すると、よく見ると、一部に人工物の形跡が見て取れた。ほとんど崩れてしまっているが、どうやら白い石材で、この火口の上部を囲う縁を飾っていたようだ。そこには何かのレリーフらしきものも見えたのだが、具体的に何が描かれていたのかは、よくわからなかった。

 だんだんと高度を下げる。他には発見できるものがなかった。生物の痕跡も、もちろん見当たらない。鳥の巣はもちろん、虫けらの死骸すらないのだ。

 逆に真上に飛んだらどうなるか? 試したかったが、それは怖くもあった。もし、何かの拍子に戻る場所を見失ったら。普通ならそんな心配はいらないが、ここはどうも特殊な場所らしい。脱ぎ捨てた服が物証として残るのも問題だが、何よりギルをあそこに置き去りにしたままにはできない。


 ついに火口の底に降り立った。人間の姿に戻る。


 そこにあったのは、確かに黒い石版だった。そこには、何かの文字が刻まれていた。だが、俺にはまったく意味が読み取れない。

 それと、灰白色の石材で作られた、なんらかの人工物の破片もある。こちらは完全な形では残っていないが、結構な大きさだ。もしかすると、さっきの小さな足場の先端に、この部分が繋がっていたのかもしれない。それが砕けてここに落下したのか。

 壊れる前は、どんな役割を果たすものだったのだろう。ただの足場? それとも祭壇とか? この空間を見る限り、そうした宗教的な目的と考えるのが妥当かもしれない。

 そして、やはり何らか、文字らしきものが見て取れる。こちらはこちらで、まったく意味がわからなかった。


 考えても無駄だ。読める人を見つけることができれば一番だが、ここまで連れてくるのは難しい。というか、場所が場所だ。そもそも『俺がここに立ち入った』という情報自体が、漏れていいものではない気がする。なぜなら、ギルがああなったように、普通の人間では、ここまで入り込むことができない。ここに魔法をかけた誰かは、なんとしてもここを見せたくなかったのだ。

 一方で、聖女の祠を訪ねた事実までは消せないし、また秘密にする必要もない。普通の司祭が、いつも二つ目の部屋まで立ち入って、掃除をしている。

 では、どうするか。時間もかけられない。


 急いで石版に刻まれた記号を書き写す。なるべく正確に。ついで灰白色の破片のほうも。

 あとはなるべくこの景色を目に焼き付ける。これが精一杯だ。


 やるべきことを済ませて、俺は空に舞い上がった。


「うっ……」

「ギル!」


 俺は、ギルを連れ出して、祠の出入口まで戻ってきた。というのも、彼は意識をすっかりなくしていたからだ。このままどうなってしまうんだろうかと、内心、不安と罪悪感に苛まれたが、そう待つこともなく、彼は回復した。


「大丈夫ですか」

「あ? お、俺、もしかして寝てた?」

「寝てた、じゃないですよ、まったく」


 ほっと一息。

 ひどいことにならなくてよかった。


「三つ目の部屋で急に気持ち悪いなんて言うから……」

「へっ?」

「えっ?」


 ギルが首を傾げている。


「俺、そんなこと言った?」

「え、ええ」

「っていうか、なに? 三つ目の部屋って?」

「いや、奥の」


 説明しようとして、俺はやめた。


 忘れている。


 この短時間に、記憶が改竄されているのだ。

 なぜ?


「そういや、さっきのガラスケースん中、聖女様の服はあったけど、下着がねぇよな? なんでだろな」

「さ、さあ」

「ま、いいか。ここ、期待してた割に、薄暗ぇし、変わったモノもねぇし。ぶっちゃけ期待外れだったな!」

「そ、そうですね」

「やっぱアレだ、聖女なんかつまんねぇ。タリフ・オリムの歴史っつったらよぉ、豪傑ウル・タルクだぜ。な、そう思うだろ?」

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