復讐の終わり

 重い雲が垂れ込め続けた王都の夜空に、一瞬、隙間ができた。

 ちょうど真上、空の真ん中に空気の通り道ができたかのようだった。そこから星空が見える。周囲を包む雲の端から、銀色の満月が浮かび上がっていた。


 腕も足も上がらない。ここ数日間の活動で、俺にも限界が近付いてきている。だが、それでも。

 息を切らす自分の呼吸が聞こえる。むしろそれしか聞こえない。


「おい、ファルス」


 後ろでキースが呼び止める。だが、俺には振り返る余裕すらない。


「待てって言ってんだろ」


 簡単に追いつかれ、肩を掴まれた。


「離して、ください!」

「落ち着けって。お前なぁ、まだこの辺にドゥーイの手下がいるかもしんねぇんだぞ。ちったぁ落ち着け」


 言われてみればそうか。確かに、戦闘がきれいに終結したわけではない。市内のあちこちで、まだ小競り合いが繰り広げられている。


「で、ですけどっ、急がないと」

「急がないと、どうなんだよ」

「ウィーが殺される、かも」

「あぁ!? なんでだよ」


 俺は、彼の手をゆっくりほどき、歩き始めた。

 慌てて走るのでなければいいらしい。もっとも、俺も限界だ。突っ走るなんて、もうできない。


「実は、ウィーの仇は……」

「おい」

「クレーヴェは、パッシャと繋がっていました」

「じゃあ」

「だから急がないと」

「待てって」


 やはりキースは冷静だった。


「それでウィーが死ぬって? 変だろ、その理屈」

「えっ」

「逆じゃねぇか? さっきの話からするとよ」


 逆?


「いいか。あの黒ずくめの女が言ってたのが本当だとしたらだけどな、もしあれがパッシャの関係者で、ジジィがあいつとグルだったとしてだ」

「はい」

「だったら、あんなこと言うか?」

「あんな? こと?」

「復讐者は平等だっつってたろ」


 復讐者。

 それは、クレーヴェのことであり、ウィーのことでもある。

 じゃあ。


「パッシャが手ェ突っ込んだ跡を消したいとか言ってたよな。けど、ジジィを自分で殺したくねぇ。とくりゃあ……わかんだろ?」

「ウィー、に?」

「全部ゲロったんだろうな。わざと」


 でも、クレーヴェが備えていて、返り討ちってことは……

 絶対ないとは言わないが、考えにくい。頭数を揃えるとかすれば、ウィーでも手出しはできないが、長子派はもう、壊滅状態だ。この状況で零細貴族にまわせる兵なんか、残っているはずもない。

 第一、クローマーはクレーヴェの後始末をしたいのだ。だから、彼に準備させるようなヘマはしない。


 この動乱。

 ルースレスが制御不能になった時点で、クローマーは計画の失敗を考え始めていたはずだ。彼女と組織の目標はフミールの戴冠であって、王家の滅亡ではない。

 もちろん、タンディラールが王位に就くよりは、混乱が拡大して群雄割拠にでもなってくれたほうがよかったのかもしれないが……とにかく、当初、思い描いていた通りの結果は望めない。とすると、ことと次第によっては、自分達の活動の痕跡を消して逃げなければいけなくなる。

 問題は、どうやって消すか、だ。ここまで、いろんな物的証拠も潰してきたのだろうが、最後にはクレーヴェ達も葬る必要がある。だが、彼は家の外にすら出ない老貴族だ。それが動乱が終わるその時に死んだとなれば。犯人不在の殺人事件を残したくはない?


「いや、おかしい」

「ん?」

「だったら、僕らの前に姿を見せるのも同じくらいまずいはずだ」

「そうだな」

「じゃあ、何のために……」


 すべての復讐者は、平等。

 彼女は……


『この世界が私を拒んだから、奴隷になり、組織にいる。そして組織は、この世界に復讐するために存在している』

『私にとって、復讐以上にそそるものはない……たとえそれが、的外れな代物であったとしてもな』


 ……復讐こそが、組織の、そして彼女の行動原理だとしたら?


 まさか、本当に。

 利害も何も関係なく、純粋に復讐者を……


「や、やっぱり、急がないと」

「なんでだよ」

「ウィーが、ウィーが、クレーヴェを殺す」


 先に行こうとする俺を、またキースは掴んで止めた。


「それのどこがまずいんだ?」

「どこがって」

「本物の仇なんだろ? サフィスと違って」


 ……確かに、それはそうだ。

 ウィーはようやく数年越しの願いを叶えることができる。手違いで誰かを殺す心配もなくなる。命を危険にさらす日々が、父を、母を、兄を失ったあの日が、ようやく終わる……


「だ、だけど」

「だけど、なんだよ?」

「クレーヴェは、ウィーにとって」

「騙してたんだろ?」

「そう、だけど」


 そうなのか?

 本当に、本当にそれだけなのか?


「だったら、いいじゃねぇか」

「よ……よくないです!」


 やっぱり、駄目だ。

 どう駄目なのか、俺にはうまく言えないけど。


「あいつが決めることじゃねぇか」

「キースさん」


 俺は、焼けた石のようなものが胸の中で暴れるのを感じていた。

 この感情を、俺は知っている。

 この経験を、俺は味わっている。


「人がいつもいつも、正しい判断をできるわけがないでしょう? キースさんは! 一人で生きてきたのかもしれない。強い人かもしれない。だけど、ウィーは……」


 自分の声が尻すぼみになっていく。

 と同時に、胸の中に底知れない不安と恐怖が溢れてきた。


「……僕は違う……!」


 キースの手を撥ね退け、俺はまた、走り出した。


 駄目なんだ。

 それだけは。


 殴られた痛みは、いつか消える。生きてさえいれば、どんな傷も塞がる。

 どんな侮辱や恥も、忘れてしまえばそれでしまいだ。もし、どうしても気になるのなら、どこか遠くにでも引っ越せばいい。

 飢えや渇きは苦しい。貧困は情けない。自由がないのは惨めだ。病気のつらさは言葉にできない。でも、それだって、結局は最善を尽くすしかない。

 死の恐怖に至っては、他に喩えようもない。だが、死んでしまえばすべてが終わる。記憶を失って生まれ変わるだけだ。それ以上、苦しいことなどない。


 ……だけど。

 これだけは、取り返しがつかない。


 最愛の人を、自分の手で殺してしまったら。


 殺すしかない? だとしても。どんな理由があっても。

 それをしてしまったら、もうおしまいだ。毎日毎日、地獄の業火に焼かれ続ける。後悔に苛まれずに済む日はこない。生きている限り、ずっと苦しむ。そして、死ぬに死ねない。


 夜の住宅地を走る。あちこち瓦礫に変わっている。足元に散らばる破片が鬱陶しい。

 ここだ。ここの角を曲がれば、すぐ……!


 いた!


「ウィー!」


 声の限り、叫んだ。


 ウィーは、クレーヴェの自宅を背に、立っていた。

 その向かいは完全に焼け落ちていて、今は空き地になっている。そこに……クレーヴェが立っていた。


 間に合った。


「待つんだ、ウィー!」

「止まって!」


 さっと顔色を変えた彼女が、一瞬で弓を構え、矢を向けてきた。


「なっ……!?」


 いきなり何を?


「ぼ、僕だよ、ウィー」

「わかってる。ファルス君、何しにここに来たの?」


 それは。

 言葉に詰まる。

 見る見るうちに、ウィーの顔から血の気が引いていく。


 ……しまった。

 これこそがクローマーの罠だったのかもしれない。

 何のために俺に事実を告げたのか。それは、単に悲劇を目撃させるためではなかった。結果として、俺は証拠にされてしまったのだ。


 間に合ってなどいなかった。

 クローマーはすべてをウィーに説明して、姿を消した。ずっとその機会を見計らっていたのだろう。

 事実を聞かされたウィーは、不安に囚われる。それが事実かどうか、確認したくなる。だが、当然、信じたくはない。信じたくはないが、無視もできない。


 そして、クレーヴェは、わざわざ外に出ていた。つまり、ウィーを待ち受けていた。予期していたのだ。

 彼女は尋ねた。彼は答えただろうか? それでも、心は簡単には整理できない。

 信じられない。信じたくない。


 そこに俺が、血相を変えてやってきた。

 これで確信してしまった。

 俺に「ウィーを止めなければいけないだけの理由がある」のだと。それは即ち、クレーヴェの事実を肯定する材料になる。


「待って、ウィー」

「答えて、ファルス君」

「まず、弓を置いて」

「答えて。本当のこと、知ってたの?」


 簡単だ。嘘をつけばいい。

 クローマーに騙されているだけだ。あれは悪い奴で、揉め事が大好きな、魔王の手先だ。いちいち真に受けてはいけない。

 クレーヴェが何か言った? だが、あの女には心を操る神通力がある。全部、奴の策略だ。


 ついでに、クレーヴェ自身を操るのも、今の俺になら可能だ。とりあえずは一時的に余計なことを言わないよう精神支配して、それから時間をかけて、記憶を消す。そうすれば……何もかもが嘘だらけのハリボテではあるけれど……ウィーの「優しいおじさま」はいなくならない。


「う……」


 だが、どうしても言えなかった。


 俺は知っている。

 彼女がどれほどのものを失ったのか。いや、奪われたのか。そしてそのために、どれだけ努力してきたか。

 指先をボロボロにしながら、毎日弓を引いた。一瞬たりとも気を抜かず、確実に標的を撃ち抜けるように、いつもいつも緊張していた。正体をごまかし続けもした。本当は普通の女の子でいたかったに違いないのに。体の成長を止めたくて、食事すら我慢した。


 その苦しい日々を。

 俺の安っぽい嘘で塗り潰すのか? 俺にそんな資格があるのか?


「……責めないでくれたまえ」


 静かな夜だった。それだけに、老人のか細い声も、よく通った。


「ファルス君が事実を知ったのは、ついこの前だ。それに、何も言わなかったのも、彼なりの優しさだったんだろう」


 やめろ。やめてくれ。


 ウィーは、鋭く振り返った。


「……じゃっ、じゃあ……」


 だが、言葉の歯切れは悪かった。


「どうして? どうして、あの時、この国に……王都に舞い戻ったボクを……どうして」

「今、答える必要があるかね?」


 父の仇と知って、なお。

 ウィーは絆を求めた。


 ワーリア伯を傷つけて逃げ出し、国境を越えて。浮浪者同然の不法入国者だった彼女を保護したのは、他ならぬクレーヴェ自身だった。

 そして彼の家で、ウィーは失われていた少女時代を取り戻した。優しげな養父に、彼女は懐き、甘えた。地獄のような幼年時代と、復讐のために苦労に耐えた冒険者時代。その狭間の、夢のような思い出。


 だが、クレーヴェは突っぱねた。

 取り付く島もない、冷淡な口調で。


「じゃあ、ボクは、た、ただ……ただ、サフィスを殺すためだけの……」

「だとしたら?」


 違う。

 本当は、そんなんじゃない。


 ……もっと早く気付くべきだった。

 俺が考えるよりずっと前から、何度も何度も彼自身が考えていた。自分がどれほどの罪を犯してしまったのか。どうすれば償えるのか。

 何がどうなろうと構わない? 口ではそう言う。言うしかない、そう言わねばならないだけなのだと。


 俺は、なんて無力なんだろう。

 力ずくで止めるのは難しくない。それでも俺には、ウィーの、そしてクレーヴェの覚悟に見合うだけの何かがないのだ。


 ウィーは、肩で息をしていた。乱れる気持ちを落ち着かせようと、体は勝手に動く。

 そんな彼女を、クレーヴェは静かに見つめていた。


 雲間に浮かんだ満月が、辺りを隈なく照らしていた。

 静かだった。何もかもが、動きを止めていた。


「……だめだ……ウィー……」


 かすれた声しか出ない。

 人はどうしてそちらに行こうとするのだろう。あるのは、ただの断崖絶壁、奈落の底だけなのに。


 いつの間にか、ウィーは静けさの中に佇んでいた。

 その目は、まるで頭上の満月のように、透き通って見えた。青白い月明かりが、美しく整った彼女の顔に陰翳をつけた。そこには、一切の表情がなかった。


 弓を持つ手が、小さく揺れた。

 向き直り、落ち着きさえ感じさせる低い声で、彼女は宣言した。


「……ネヴィン・ベグノーが一女、ウィー」


 名乗り。

 わかりきっていることを、改めて口にした。

 それが意味するものは。


「クレーヴェ・ナラドン・マラティーア」


 彼も、彼女に応えた。


 突き動かされるように、俺は駆け出した。


 クレーヴェの両手に、かすかな赤い光が宿る。

 同時に、ウィーは左手を構え直した。


「やめろぉっ!」


 絶叫した。


 ……間延びした、あの聞き慣れた音が、いつものように耳を通り抜けていった。

 ビーンと低い、あまり目立たない音だ。


 初めから、わかっていた。

 ウィーはこのために己を鍛えてきたのだ。

 そして弓は矢を飛ばし、矢は的を貫くためにある。


 それはあるべきところに、正しくあった。

 まっすぐ、ただまっすぐに飛び、過たず撃ち抜いた。


 クレーヴェの魔術が、武器になんかなるわけがなかった。前に見せてもらった。何秒もかけてやっと小さな火が出るだけの、まるであてにできない力。

 それでも彼はここに立ち、彼女を待っていた。


 静寂の中に、衣擦れの音だけが聞こえた。

 足が体を支える力を失って、その場に崩れ落ちたのだ。


 目的を果たした、いや、果たしたはずの彼女は、呆けたように立ち尽くしていた。

 矢を放ったままの姿勢で、目を見開くばかりだった。


 カサッ、と小さな音が聞こえた。

 弓を取り落としたのだ。


 そのまま、一歩、また一歩、よろめくようにして、彼女は前に進んだ。足元の砂利がこすれる、あの虚ろで乾いた音が聞こえた。


 まだクレーヴェは生きていた。

 苦しげに胸を上下させている。だが、時間の問題だろう。白いシャツはもう、赤黒く染まりつつある。


 不意にウィーは、力を失って膝をついた。

 何が起きたのか、何をしてしまったのか。やっと認識が追いつきつつあるようだった。


「あ……うあ……ぁ」


 言葉にならない声が、途切れ途切れに口から漏れる。

 表情には、何の色も形もない。心がないのではない。その心自体、どんな顔をしたらいいか、わからないのだ。


 横たわったままのクレーヴェが、弱々しく瞬きをした。


「……済まなかった、ね……」


 かすれた声で、呟くように彼は言った。


「本当に……済まなかった……」

「あ……」


 それが引き金になった。


「ああああ!」


 絶望が。

 死神より恐ろしい絶望が、やっと今、彼女に追いついた。

 その禍々しい鉤爪が、後ろから彼女を握り潰し、真っ二つに引き裂いた。

 踏み潰された果物のように、彼女の心は今、無軌道に己を噴き出している。誰にも止められない。


 手遅れだった。

 何もかもが。最初から。


 俺はトボトボと歩き、彼女の隣に立った。

 ふと、後ろに目をやると、いつの間にかキースも追いついていた。彼は離れた場所から、苦々しげにこの様子を見つめていた。


 足元から、小さな声が聞こえた。


「……ねぇ、ウィー……」

「……はい」


 戸惑いの残る声で彼女は応えた。その両目からは、いくつもいくつも雫が伝う。それでも彼女は、目を見開いたままだった。


「きれいな……月だ、ねぇ……」


 言われてウィーは、おずおずと空を見上げた。

 青白く冷たかったはずの月の光は、いつの間にか、かすかに黄みがかった、温かみのある白に変わっていた。


「は……い」


 俺にはわかる。

 これが「最後の思い出」だから。

 クレーヴェは、せめて少しでもきれいなものを残してあげたいと望んでいるのだ。血塗れの手ではなく、美しい月を。この世界に残される彼女のために。


「ファ……ルス君」

「ここにいます」

「この前は、的外れな……ことを言って、済まな……かったね」


 彼はこちらを見ずに呼びかけた。もう俺の姿もちゃんと確認できないらしい。

 次から次へと血が流れて、止まらないのだ。視界も失いつつあるのかもしれない。


「私には……ウィーが、いた」

「はい」

「この世界、は、終わってなんか……なかった……よ」


 この結果を望んだのは、誰だろう?

 クローマーだろうか? 復讐の助力と引き換えに、ウィーの復讐を遂げさせようとしたのか?

 それとも……クレーヴェ自身が決めたのか。だとしたら、せめて、その理由が「罪悪感から逃れるため」なんかではないことを願うばかりだ。いや、そんなのはありえない。そんなわけがない。

 終わらせなければ、ウィーが前に進めないから。復讐のためなんかに、残りの人生を費やしてしまう。だからだ。きっとそうだ。


「これ、からも……を頼む、よ?」

「えっ」

「はは……ファルス、君……私……は、君を、買収、したんだから、ね……」


 ウィーが震える手で、クレーヴェの手を握った。小さく息を飲む。

 触れただけでわかってしまったのだ。もう、すぐに別れなければいけないのだと。


「……ウィー……」

「はい」

「これか……は、すき……ことを……」

「……はい」

「しあ……せ……に」

「はい……おじさ……ま……」


 その手を固く握り締めたまま。

 ウィーは咽び泣いた。

 だが、クレーヴェはもう、何も応えなかった。月明かりに照らされたその顔は、静かに落ち着いているように見えた。


 どれくらい経ったろう。

 泣き濡れて、顔をあげたウィーの後ろに、ベドゥーバが立っていた。彼女が落ち着くのを待っていたのだ。


「ウィー様」


 枯れ木のような彼女が、静かに腰を折った。


「私も主人と同じく、すべてを存じ上げておりました」


 同じく罪をかぶる、ということか。


「お手討ちになさいますか」

「……いいえ」


 ウィーは力なくかぶりを振った。


「では、主人を弔ってもよろしいでしょうか」

「……はい」


 するとベドゥーバは一礼して、その場に膝をつき、そっとクレーヴェの体を引き起こした。そのまま背負い上げ、引き摺るようにして、元の家の中へと引き揚げていった。

 俺もウィーも、キースまで、黙ってその様子を見つめていた。


 ややあって、赤い光が家の中から漏れてきた。

 それは瞬く間に広がり、窓や小さな隙間から、赤い火の舌を見せた。木材の弾ける音が小さく聞こえる中、それは少しずつ少しずつ、家全体を包んでいった。


 思い出の家。心の帰る場所。

 それが燃えていく。


 彼女の未来のためには、あってはならないものだから。

 きっと彼らは話し合って決めたのだろう。


 けれどもこれで、ウィーには何もなくなってしまった。

 ベグノー家の令嬢でもない。ワーリア伯の義理の娘でもない。アメジストの冒険者証も、もう人には見せられない。そして今、クレーヴェの養女でもなくなった。


 涙も枯れ果てて、彼女はただ、燃え尽きていく家を見つめるばかりだった。

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