か細い路
寒さで目が覚めた。
頭上には、高い位置にある石の天井。床も石だ。ただ、壁はところによっては煉瓦作りになっている。
出入口はない。ただ、天井の一部に、大きな扉と小さな扉がある。大きなほうは、人間が一人通れるくらいのサイズがあり、小さなほうは、それこそ本当に中を覗き見る程度のことしかできない大きさだ。どちらも金属製で、しかも頑丈そうな鍵穴がついている。
クレイゴーレムに倒されてから、どれくらい経ったのだろう?
グルービーは、どうして俺をここに監禁したのか?
確かに、生きた人間を見張りに置くのは、あまり意味がない。一日のクールタイムが過ぎれば、そいつは一瞬で殺されてしまう。縛り上げておいても無駄だ。鳥になるなどして、肉体を差し替えれば、その程度の拘束は外れてしまう。
ということは、奪うべき肉体がない場所に、こうして一人、閉じ込めておく。これが一番、安全だ。
だが、奴は結局、何をしたかったのだろう?
俺の能力に気付いたのはいい。しかし、それが俺を殺す理由になるのだろうか?
こうして俺が目を覚ます前に、魔法で洗脳するなどすればよかったのでは?
いや、既に試みて、失敗しているのかもしれない。でも、だとしても。
生かしておくだけでも、奴にとっては危険極まりないはずだ。まさか、精神操作魔術の練習を重ねた後に再チャレンジ、ということもないだろうから……俺がグルービーの立場なら、使い道のない凶器はさっさと処分する。
考えても仕方のないこと、か。
俺は、負けた。
無様に逃げたのを負けというなら、他所でも何度も経験している。アネロスから、キースから、そしてルースレスから。だが、俺はあれらを敗北だと思っていない。確かに勝ちはしなかったが、負けもしなかった。なぜなら俺は、無事に生き延びているからだ。
それに、秘密を知られることもなかった。だから、今度もしああいった敵に遭遇しても、また同じように逃げ切ることができる。場合によっては、あっさり倒すことだって。
今回は違う。
グルービーはほぼ完全に俺の秘密を把握した。その上で、正しく対策している。そして今後も対応を誤ることはないだろう。
確かに、ここを脱出できれば、俺には反撃の余地がある。しかし、それがどういう形になるかを、彼は既に予見しているのだ。つまり、誰かになりすまして接近してくる。
だからこそ、コラプト周辺の野生動物を皆殺しにしたのだし、屋敷内の見回りにしても、二人一組で行動させていたのだ。俺を誘導して窓のない塔に連れ込んだモライカという女にしても、その辺の指示を受けていたに違いない。
どうしよう?
やれることなど、何もない。
グルービーは、俺をここから出さないだろう。洗脳できないのなら、殺すしかない。今はもしかしたら、その手段をずっと探しているのかもしれないが、それにしても、俺がここで力尽きるまでの間だ。この冷え切った牢獄の中で、どれだけ生きられるだろう? といって、快適な空間に移すわけにもいくまい。
自分の傲慢さを思い返すと、惨めになってくる。
最初、俺はどう考えていた? グルービーが俺の秘密をあまり把握できていないのではないかと、どこかで楽観的に考えていた。だから、上空から奴を見つけて、肉体を奪えば、それで事足りると、そう結論付けていた。
コラプトに到着した時点で、そんな甘い状況ではないとわかった。なぜあの時点で、帰還を選べなかったのか? 焦っていたのだ。想定以上に自分の秘密を把握しているらしい、これは放置できない、と。
下水から敷地内に侵入したのは、そう悪い手段ではなかったのかもしれない。だが、奴は油断なんかしていなかった。いや、情報を得て、むしろ先読みしていたのだろう。俺は盗んだものをごまかすために、娼婦の部屋をめちゃめちゃにしたが、グルービーなら、その意図を見抜いていてもおかしくない。
塔の中に誘い込まれたのは、手痛い失敗だった。それでも、逃げるチャンスならあった。最後の最後まで。だが、あと少しだと思い込んでいた。ここで撤退したら、またグルービーが別の場所に身を隠してしまう。それならばと前に進んだ。
どう転んでも、奴の思惑通りだった。
だから、負けた。
そして、もう自分の力では、どうしようもなくなってしまった。
俺は、ここで死ぬのか。
いや、もう考える意味もない。
……どれほど時間が経ったろうか。
頭上で小さな金属音。
誰かが小さなほうの扉を開いて、俺を観察しているのだ。だが、顔までは見えない。
ごく短い時間だった。
生存確認だけで、そいつは去っていった。
あの瞬間であれば、脱出できるか?
蛇の体になれば、外に這い出ることはできるかもしれないが……難しいか。
天井に触れるのは難しくない。鳥になれば、浮かび上がることはできる。だがその先、天井の石の壁に貼り付き続けることができない。第一、外に出た瞬間、頭を叩き潰される。
時間と共に、空腹感が襲ってくる。
荷物は何もない。武器も道具もない。
次第に体力が失われていく。
いつしか疲れ果てて、眠ってしまった。
……コツ、コツと小さな音が聞こえる。
それで目が覚めた。
しばらく続いたが、小刻みに中断される。いったい何をやっているのだろう?
グルービーは、俺をここから出す気がないらしい。
となると、奴は本当に俺を抹殺したかったことになる。だがそれなら、こんな風にじわじわ苦しめたりせず、意識がないうちに、あっさりトドメを刺せばいいのに。
本当に、一連の事件の目的は、どこにあったのだろう?
ピュリスを襲撃したのは、グルービーだった。だが、俺を誘い出すのが目的だったのなら、こんな大掛かりな舞台は必要なかった。
同じくピュリスに姿を見せたクローマーとは、微妙な関係だった。協力関係にはあったが、ある種の緊張もあった。しかし、どうにも腑に落ちない。パッシャにせよ、グルービーにせよ、ピュリスを襲う理由がないのだ。
となると、やはり俺、か?
しかし、クローマーは、どちらかというと、仕事のついでに俺を殺そうとした感じだった。
グルービーは、ここで俺が来るのを待ち受けていた。高いコストを支払って、わざわざここまで対策していたくらいだから、彼の中では、俺との対決は重要なプロセスの一つだったのだ。しかし、俺を殺す、ないし支配するというのが目的なら、別に事件を起こさずともよかった。前回、あれだけ歓待したのだから、また会いたいと手紙を送れば済んだはずではないか。
わからない。
何もかも。
考える力もわいてこない。
……また、コツ、コツ、という音が壁から響いてくる。
いったい、なんなんだ。
また意識をなくしたらしい。どんどん体力が尽きていくのがわかる。どれくらい時間が経ったのかはわからないが、この分だと、あと一日もすれば、俺は飢えと寒さで力尽きる。
だが、できることなど何もない。鳥にでもなるか? それとも蛇に? どちらにせよ、長生きできる選択ではない。
たまに頭上の小さな扉が開いて、俺がいるのを確認している。そんなことしなくても、俺がここから出るなんて、無理な話だ。
せめていい夢を見よう。
俺にできるのはもう、それくらいだ。
……四方を囲む壁。だが、頭上には青空。
ここは……
ミルークの収容所だ。
冬の日。二階から中庭に出る階段には、まだ日差しが届かない。
朝食が済んで、最初の授業が始まるまでの、短い時間。
俺の楽しみは、読書だった。
もう、何度目を通しただろう。悲劇の寵姫チャルの物語。その最後の場面だ。
彼女はただの料理人でしかなかった。だが、その独創性と技量が認められて、アルデン帝の傍で働くようになる。そしていつしか、そこに愛が芽生えた。とはいえ、身分の低い彼女の地位は、あくまで非公式の愛人でしかなかった。
その頃、東方植民地の開拓を成し遂げたアルデン帝と、セリパス教会の関係は、最悪だった。もともと閉鎖的で、極端に宗教的で、しかも権力を手放そうとしない教会の存在は、皇帝にとっては統治上の障害物でしかなかった。そもそもそれが東方遠征の原動力でもあった。教会権力に影響されない勢力基盤を欲したが故だ。一方で、美食に愛人と、およそセリパス教の道徳規範にそぐわない生活態度を続ける皇帝に対して、教会組織の幹部達は憎悪すら抱いていた。
美食も問題だったが、まず槍玉に挙げられたのが、愛人の存在だった。今も昔も、性的な不潔感は、セリパス教がもっとも嫌悪するところなのだ。晩年のアルデン帝は、自分の身を守りきれなかった。それで彼は、あろうことか、罪をチャルになすり付けて、彼女を監獄送りにした。
だが、彼の真の罪は、それだったのかもしれない。そして、罪には罰が付き物だ。
最良にして最愛の料理人を失った彼の健康は、目に見えて損なわれていった。政局というものは、統治者の健康状態に大きく左右される。今のエスタ=フォレスティア王国のセニリタートがいい例だ。体力がなく、余命短い王者に、臣下はついていこうとしない。
結局、彼は別の罪で告発された。皇帝を告発するなど、と彼は憤ったが、その時、彼を支える人は、誰もいなかった。強制的に譲位させられ、彼は隠居という名目で別荘に軟禁、その後すぐに監獄に幽閉された。
その、まさに隣の部屋に、チャルがいたのだ。
声でそれと気付いた彼女は、食事の時に貸し出されるフォークを使って、少しずつ石の壁を削り始めた。一方のアルデン帝は、隣の囚人が誰かわからなかったようだ。それでも彼女は、看守が留守の時には、そ知らぬ顔で彼と話し、励まし続けた。
長い時間をかけて、やっと小さな穴が開いた。声だけでなく、せめて最期に彼に触れたい。指先だけでも。彼はそうでもなかったかもしれないが、チャルはひたすら彼を愛し続けたのだ。そして。
壁の穴から見えた手の指先を見て、彼はようやく悟ったのだ……
「何読んでるの?」
頭上に影ができる。金色の髪が揺れる。タマリアだ。
「ああ、いつものだよ。セリパシア帝国歴代誌」
「ほんっと、ノールは読書が好きだよねぇ。私、真似できないわ」
それだけで、彼女は手を振って行ってしまう。
中庭の奥では、コヴォルとディーが言い争っている。
「コヴォルはお馬鹿なのです」
「なんでだよ!」
「こんなに散らかして、誰が後片付けすると思っているのですか」
「う、ぐぐ」
本当に、いつもいつも力任せに暴れ回って。意外とドジなんだよなぁ。いや、全然、意外じゃないか。思わず苦笑させられる。
「おら、チリトリ持ってきたぜ。さっさとカタさねぇと、まーたミルークさんに叱られちまう」
床に散らばった何かを、ウィストが手早く掃き集める。
彼はよく気がつくし、動きが早い。
なんだか、居心地がいい。
思えば、前世から今まで通じて、俺が本当の意味で、子供らしくいられたのは、あそこが最初で最後だったのではないか。
ピュリスに出てきてからは、仕事、仕事で、まるで大人の会社員みたいだった。もっとも、俺はいい従業員ではなかったが。なんといっても、終身雇用が前提の子爵家の中で、自分の都合しか考えていなかったのだから。
そして。
「ファルス」
しっとりとした黒い髪。
きれいに整った顔立ちのドナが、優しく声をかけてくれる。
「ファルス」
「なに?」
「ファルス、聞こえる? ファルス」
「なんだって、なんの」
「起きて、ファルス、生きてるの?」
えっ?
「お願い、返事をして、ねぇ、ファルス……!」
……暗がりの中の意識が、徐々に目覚める。
壁際から聞こえる、小さな声。
ここは収容所ではない。頭上には青空なんか広がっていない。灰色の石壁があるだけだ。
だが、声は本物だった。
「ノッ……ノーラ!?」
がばっと跳ね起きる。それだけで軽く眩暈がした。
声のしたほうを見る。そこには小さな穴が開いていた。腕一本、通せないくらいの。
俺は頭上を確認し、監視されていないのを確認する。
そうして、そろそろと彼女に近付いていく。
「よかった! 生きてた」
「ノーラ、どうしてここへ」
「声を聞いたの」
声? 誰の?
「あのね、二日前に、外は大変なことになったの。みんな、急におかしくなって」
あれから二日も経ったのか。
グルービーの精神操作魔術があそこまで強力だとは。無差別に街中の住民を動員するなんて、人間離れしている。
「でも、ノーラは? どうして」
「たぶん、女神様の声が聞こえたの」
女神の声? 誰かがノーラを魔術の影響から守った、ということか。
「助けて欲しいって」
「それは、女神が?」
「本当は自分で行きたいけど、怖い使徒が見張っているから自分は行けないんだって。でも人間のことは見てないから、なんとかなるかもしれないって、そう言っていたの」
それは、あの、夢魔病で倒れた時に現れた女神のことだろうか? だが、彼女は助けにはこられない。神のくせに「使徒」が怖い?
取るに足らない人間でしかないノーラなら、その使徒の監視を避けられる?
さすがに俺の想像が及ばない話だ。
「でも、ノーラ、ここは危ない」
「うん、だから、早く出よ?」
「どうやって」
「頑張って掘るから」
「いや、これ以上は駄目だ」
俺は改めて頭上を見上げる。
誰かが定期的に巡回して、俺の様子を確認している。そこでもし、壁の穴が発見されたら。
足元には、削られた煉瓦の屑が散らばっている。これはまずい。
「ノーラ、ここへはどうやって」
「あのね、池があるでしょ?」
「池? 貯水池の中を?」
「一番奥に、潜り抜けられる穴があったから、そこから」
なんてことだ。真冬の最中なのに。氷が張っているのに。
「この穴は?」
「これ」
穴の向こうで、ノーラは鑿を指し示した。
よく見ると、彼女の手も擦り傷だらけだった。無我夢中で掘っていたのだろう。
「よく見つからなかったね?」
「たまに人が通るの。上の廊下。でも、ここの倉庫までは見に来ないから」
だいたい位置関係が把握できてきた。俺を閉じ込めているこの監獄は、あのクレイゴーレムの部屋の向こうにある廊下の下にある。その廊下は、途中で枝分かれしていて、脇の地下倉庫にも行けるようになっている。ノーラは池の中の水路を抜けて、ここに潜んでいた。
どうする?
ここを出て……駄目だ。
ノーラを連れて、また水路に戻るのか? 体力が持つかどうかは別として、氷水の冷たさに耐えるのは構わない。だが、問題はその後だ。
追っ手がかかったらどうする? 二日も経ったのなら、ピアシング・ハンドは行使可能だ。しかし、それで倒せるのは一人だけ。この二日間で、グルービーの部下達もすっかり回復しているだろう。さすがに今度は、一人ずつぶつけてくるなんてことにはなるまい。何れも一人前の戦士ばかりを、一度に相手取らねばならない。
いや、それだけじゃない。俺が逃げたと知ったら、今度こそグルービーは本気を出す。あの精神操作魔術で、街中の人間全てを動員して、俺を追い詰める。無理だ。
しかも、ノーラを連れて逃げることになる。巻き込んで死なせるなんて、ごめんだ。
「ファルス」
ノーラは涙声で言った。
「やっと会えた」
「ノーラ」
「私、ファルスに触れたい。でも」
穴はそんなに大きくない。特にこちら側が狭い。腕が通らないのだ。
「待って、ノーラ」
考えろ。
どうすればノーラも、自分も守れるのか。
「ノーラ」
「うん」
「少し苦しい思いをするかもしれないけど、大丈夫?」
「うん」
やるしかない。
グルービーは、俺の力のほとんどを把握している。俺がどう頑張っても、奴に近付くのは不可能だ。
……だが、俺がここにいれば?
「ノーラ、とりあえず、そっちに行くよ」
「だけど穴が」
「僕の力は知ってるよね」
「えっ」
「鳥になれる」
「うん」
「でも、他の動物にもなれるんだ……つまり、体を借りれば」
「うん」
ここからが肝心だ。
意識を集中して……蛇になる。
寒い!
体が強張る。力が入らない。
生温かい布が恋しい。ここから出たくない。
いや、でも、少しだけ。あの穴を通れば、すぐに……
すぐに、なんだったっけ?
いや、とにかく、通る。通らないと……
あっ。
落ちた。
穴の向こう側の床……『人間に戻る』。
「はあっ、はあっ、はあっ……!」
「ファルス! 大丈夫?」
やった。できた。
でも、知能の低下が並大抵じゃない。
鳥とは雲泥の差だ。犬より悪い。虫よりはずっといいが。
「よかった……ファルス……」
目尻に涙を溜めながら、彼女は縋りついてきた。
水の中を通り抜けるためか、ノーラはまったくの薄着だった。寒かっただろうに。最初はずぶ濡れのまま、ここで鑿を振るっていたに違いない。
「ノーラ、さっきの続きだ」
「うん」
「僕にはもう一つ、変わったことができるんだ」
「なぁに?」
「僕は、体を貸すこともできる」
そう、これが俺の作戦だ。
「僕がここからいなくなったら、そのうち見張りが気付く。逃げても無駄だ。グルービーには、たくさんの手下がいる」
「うん」
「だから、無理にとは言わない。ノーラ、僕の体を借りて、この中にいてくれないか?」
「えっ!?」
びっくりするだろう。
当たり前だ。
「で、でも、ファルスは?」
「ノーラの体を借りる。きっと、いや絶対に無傷で返す。ただ」
「ただ、なに?」
「一日、待って欲しい。つらいと思うけど」
ノーラに、蛇の体と、俺のこの肉体そのものを貸し出す。だが、俺もノーラの肉体を譲り受けねばならない。でなければ、室内に留まるグルービーには接近できないだろうからだ。
そして、ピアシング・ハンドのクールタイムは一日。つまり、疲労と飢餓に苦しむ俺の体で、彼女はあと一日、耐え抜かなければいけない。
「やる」
「いいの? でも、危険は」
「やる」
即答だった。
迷いなど、微塵もなかった。
もしグルービーが、この肉体の交換まで予想していたら? つまり、奪うだけでなく、与えることもできるという可能性に気付いていたら……
その時はもう、どうしようもない。ノーラの命乞いだけして、俺は奴に屈することにしよう。
「……わかった」
俺は意識を集中する。
まず、蛇の体を引き渡す。
「これから、僕の体を渡す。その後、ノーラの体を借りるから、蛇になるイメージをして欲しい。そうしたら、この穴を通って、向こう側に行くんだ」
「うん」
「忘れないで欲しいのが、向こうの部屋に入ったら、人間に戻ること、僕になることをしっかり意識することだ。これをしないと、取り返しがつかない」
「わかった」
「……じゃ、やるよ」
一時的に俺は鳥になり、彼女は蛇になる。すぐに俺はノーラに成り代わり、足元に落ちている蛇を拾い上げる。
「さあ」
蛇は、少し戸惑いながらも、すぐに何かを思い出したのか、穴の中に入っていく。向こうの部屋に落ちたかと思うと、そこに俺の元の体が出現した。
ただ、案の定だ。知能低下の影響は凄まじく、彼女はしゃがみこんだまま、動きもしない。
「いってくる」
きっと理解できないだろう言葉だけ残して、俺はその場を去った。
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