老貴族の棲家

 兵士の門の坂道。登り切った先は、王都の高級住宅街だ。ここにはもう、一般の店舗などはない。あるのは、富裕層の邸宅ばかりだ。当然、地価はバカ高い。事実上、私有地として売りに出されている土地としては、ここが王国で一番ではないか。貴族の壁の内側はほぼすべて国王の所有地で、それを賃貸しているだけなのだから。

 しかし、少し違和感がある。これから会う相手は「貴族」なのだ。それなのに、兵士の壁の内側? 貴族の壁の向こうではないのか?


「っと、住所はっ……と」


 しばらく歩いた先で、左に曲がる。どこも似たり寄ったりで、石造りの三階建てくらいの四角い家の前に、緑色の芝生が広がっている。敷地は柵で囲まれていて、中の様子がよく見える。但し、そこはやはりプライバシーを重視する富裕層の家らしく、家のすぐ近くには木々が植えられていて、玄関以外はほとんど見通せない。


「あそこ、か?」


 周囲の家とあまり違いのない、いや、むしろ狭いとさえ言える小さな建物。それこそ、前世日本、東京の建売住宅みたいだ。

 いくら年金貴族とはいえ、これではあんまりではないか。


 しかし、ここだったようだ。


「ファルス様でしょうか」


 声の主は、高齢の女性だった。臙脂色のシックなメイド服に身を包んでいる。だが、皺だらけの顔にはもはや表情すらない。


「はい。ファルス・リンガと申します」

「ようこそお越しくださいました。主人がお待ちしております」


 ちょっと戸惑う。

 貴族なのに。出迎えに寄越したのが高齢のメイド一人?

 いや、俺の身分はただの平民なのだし、盛大な出迎えは却っておかしい。ただ、それなら誰か適当な若い男とか、別の人選があるだろうに。


 俺の思いを他所に、彼女は柵の門を押し開け、俺が通るのを待ち受けている。ぐずぐずしていても仕方がないので、さっさと通り抜けると、彼女はまた、元通り門を閉じる。ガシャン、と静かな住宅地に、金属音が鈍く響く。

 それから、前を歩く彼女についていく。

 この家は……もしかしたら、別宅なのかもしれない。そうだ、王都の貴族の家は、もう一つ内側にある。となれば、非公式の面会に使う別宅には、無駄に人を配置する必要もない。といって、一般市民が暮らす地域に拠点を設けるわけにもいかないから、こうなったに違いない。

 そんな風に考えながら、植え込みの横を通り過ぎる。日陰に入ると、急に空気がひんやりとした。


 ノックもなしに、彼女は重そうな木の扉を引き開け、俺を通した。

 中は吹き抜けになっていた。背後にある二階の窓から光を取り込んでおり、フロア全体が明るい。狭くても貴族の家らしく、入り口の足元には赤い絨毯が敷き詰められていた。一階のおよそ半分のスペースを、この玄関に当てている。向かって正面はカーテンに覆われており、その左右に、半円形の階段がそれぞれ据え付けられている。登った先はどちらも同じで、二階の正面には、観音開きの扉がある。

 階段の下、右側には長椅子が、左側には長細いテーブルがあり、その上には、いかにも値の張りそうな壷や花瓶が飾ってある。また、どちら側の壁にも、大きな絵画が飾ってあった。見上げれば、吹き抜け三階の高さから、シャンデリアがぶら下がっている。


「あちらが主人の居室となります」


 俺は、導かれるままに、右側の階段から登っていく。

 小さな家なのに、ほとんどが接待スペースか……いや、ここはきっと別宅なんだから、当たり前だ。

 でも、待てよ? どうして俺と会うのに、ここを使う必要があるんだ? 兵士の壁の内側には、一般市民でも立ち入れる。だから、庶民の身分にある誰かと面会する場合には、ここの方が便利に違いない。だが、俺はトヴィーティ子爵家の下僕で、王宮にも立ち入っているくらいだから、貴族の壁の内側に呼びつけたって構わないはずなのだ。

 何か理由があるんだろうか。例えば、人目につきたくない、とか……


 身の安全について、若干の不安を感じつつも、俺は歩みを進めた。

 いつの間にか俺の後ろに立っていたメイドは、一礼すると、大きな扉の前の紐を引いた。内側から、ベルが響く。


「旦那様、ファルス様をお連れしました」

「お入りいただくように」

「畏まりました」


 すると、驚いたことに。彼女は自分で扉を押し開けた。

 馬鹿な。どれだけ人手不足なんだ? 普通、内側の従者が開けてくれるのを待つものではないのか?


 だが、戸惑っている場合ではなかった。

 中はやはりというか、応接室になっていた。あまり広いとは思えなかったが、数人の客なら、迎えられるだろう。部屋の奥、北側の壁にはまたカーテン。中心には円形の、良質な木のテーブルがあり、そこに立派な椅子が三脚。一つは主人のもので、彼は俺と目が合うや、立ち上がろうと腰を浮かせた。


「やぁ、ファルス君、ようこそ」

「改めてお目にかかります、閣下」


 あの夜会。病気がちの貴族、クレーヴェ・ナラドン・マラティーアは、体調が優れず、南側のテラスで夜風に当たっていた。だが、彼は一人であそこにいたわけではなかった。自分の従者として、一人の少女を連れてきていたのだ。

 それが、ウィーだった。


「はっはは、そんなに畏まることはないよ、さ、どうぞ、座ってくれないか」


 そうやって彼は、気さくな雰囲気を醸しつつ、俺に席を勧める。


「では、失礼致します」


 とりあえずの態度がどれだけフレンドリーでも、相手は貴族。油断はできない……


「おやおや、そんなに堅苦しくては、僕も話がしにくいよ。もっと楽にして欲しい。……ああ、ベドゥーバ、お茶をお持ちしてくれ」


 指示を受け、メイドは一礼して、カーテンの奥へと消えていく。


「さあ、座って。なに、ここもピュリスの酒場だと思えばいいよ。私もそこの客とでも思ってくれればいい」

「とんでもございません」


 何度も座れといわれては、腰掛けざるを得ない。俺は恐る恐る、椅子の上に落ち着いた。


「いやいや、本当にそんな感じで構わないんだ。なぁ、ウィー?」

「おじさま」


 身の置き所がないとでも言わんばかりに、もじもじしながら、ウィーが抗議するような声色で応える。

 今日は、あのきれいな亜麻色の長髪は……つまり、カツラはつけてない。普段通りのショートヘアだ。但し、身につけているのは黄緑色のドレスだったりする。


「ここは王宮でもなければ、どこか誰か他の貴族のいる公式な場でもない。私のことはクレーヴェと呼んでくれたまえ」

「では、クレーヴェ様、と」

「ははは、堅いな。ウィー、ファルス君はいつもこんな感じなのかね?」

「えっと……そうですね、真面目です」

「ははは、そうか、真面目か」


 よく笑う人だ。顔の皺も、笑いジワなんじゃないか。

 それより、ウィーだ。なんか、やたらとおとなしい。抑えつけられている、というようなネガティブな雰囲気ではない。むしろ、能動的におとなしくしている。


「ファルス君のことは、一通り、ウィーから聞いたよ。その若さで、信じられないね」

「少し誇張が入っているかと……この通り、子供ですから」

「そんなことを、普通の子供は言わないよ。何より、ウィーがでたらめなことを言うはずはないからね」


 クレーヴェは、ニコニコしながらそう言う。

 まいったな。タンディラールだけじゃない。こうしてあちこちに俺の情報が流れていくのか。


「えっと、では、僕のことはそんなに説明しなくてもいいかと思うのですが」

「そうだね、今日はウィーのことを説明しないといけないな」


 そう言いながら、彼はウィーのほうへと振り返る。

 目を見開きつつ、ウィーは俺とクレーヴェを見比べ、ようやく言った。


「あの。いつから?」

「それは、正体ってこと?」

「うん、その、女の子だって」

「割と最初から、ってか、見た瞬間から」

「うそ!」


 わたわたと取り乱し、落ち着きなく手をバタバタさせている。


「はっはは、せっかく変装したのに、見破られてしまっているね?」

「そ、そうみたい」

「ファルス君は、特別なんだろう。そう気落ちしなくていい」


 まぁ、ピアシング・ハンドの能力がなければ、見破るのにもう少し手間取ったかもしれない。だが、何れにせよ、悪臭タワーの掃除の際に、公衆浴場に行こうとしなかった時点で、俺なら疑念を抱くだろう。

 とすると、他の仲間達も、気付いていたりはしないか? どうなんだろう。でも、迂闊に確認なんかしたら、むしろヤブヘビだし。


「で、その」


 俺も落ち着きなく二人を見比べながら、俺は質問を切り出した。


「ウィーはどうしてそんな格好をしてるの?」


 すると、即座にいつもの口調で言い返してきた。


「ボクは女の子だ!」


 言葉遣いと主張が一致していない。


「はっはは! あー……うん、うちにいる時は、ちゃんと女の子の服を着ているよ。でも、ウィー? 長いこと化けすぎたようだね?」

「えっ?」

「もう、半分男の子になっちゃったんじゃないか?」

「ひ、ひどいです、おじさま!」


 その一言にむくれるウィー。こうしてみると、年相応の女の子にしか見えない。


「あの、クレーヴェ様」

「なにかな」

「どうしてウィーは冒険者の真似事なんかしているんですか? 貴族の娘なのに」

「おや」


 ここで、彼の表情から笑みが消える。


「ウィー? 彼にはどこまで話したのかね?」

「何も説明していないのですが」

「ふむ? では、どうしてウィーが貴族の娘だとわかるのかね?」


 それはピアシング・ハンドの……なんて慌てる必要はない。


「だって、クレーヴェ様のことを、おじさまって呼んでいるじゃないですか。血縁者なんでしょう?」

「いいや? ウィーとは、親戚でもなんでもない」


 えっ?

 でも確かに。家名も違う。称号も異なる。いや、でも、例えば妹の嫁ぎ先の家の娘とか、そういう関係なら、あり得るし。なんといっても、おじさまなんだから。


「じゃあ、どうして、その、お付き合いを?」

「ふむ……」


 やや真顔になって、クレーヴェは椅子の背もたれに身を預けた。

 そこへ、カーテンの奥から、さっきのベドゥーバというメイドが姿を現す。邪魔をしないようにそっとティーカップを置くと、すっと引き下がっていった。


「話してもいいが、くれぐれも口外しないようにして欲しいのだが……もちろん、君はウィーの友人ということだし、子供とはいえ、非凡な才能を持つ人物でもあるのだから、間違いはないと思うのだが」

「は、はい」


 どうしよう。やっぱり聞かないほうがいいのかな?

 だが、俺の逡巡など気にならないかのように、彼は言った。


「ウィーの父親は、もともとエスタ=フォレスティアの貴族でね。だが、早くに亡くなられた。それで、少し前まで、一家揃ってシモール=フォレスティアに引っ越していたのだ」

「えっ?」


 なぜ?

 父が死んだ、というのはいい。だが、それで彼女とその一家が、険悪な関係にある隣国に引っ越したのは、なぜだ? 父が貴族なら、多少の財産だってあったはずだし、親戚の貴族その他の縁もあったはず。ならば、そのまま国内で暮らせばいいではないか。

 だが、クレーヴェは、俺の疑問を先取りした。


「縁談があったのだよ。ウィーの母親は、美貌で名が知られていた。それで未亡人ではあったが、以前、外交官としてこちらに来ていたことのあるワーリア伯が見初めて、再婚を持ちかけたのだ」

「それで、ですか」


 ウィーの家名の称号。ワーラというのは、どこの地名に基づくものかと思っていたが、やはり隣国のものだった。


「でも、それなら今度は、どうしてこっちに戻ってきたんですか?」

「説明が必要かね?」


 必要だ。だって、わけがわからない。

 向こうの貴族の家に引き取ってもらったのなら、それはそれでいいじゃないか。養女として、多少肩身の狭い思いをしながらも、裕福な生活を送れる。


「再婚といっても、立場は側妾だ。わかるかね? それまでは男爵の正夫人だったのに……あまりに窮屈だったのだよ。それに、理由はもう一つある。だが、これこそ説明は不要だな。君も知っているだろう? ウィーの並外れた才能を」

「弓術、ですか」

「そうとも。この若さでこの腕前。王国屈指の名手だ」

「おじさま、それは言い過ぎです」


 少し頬を赤くしながら、ウィーが訂正を求めた。


「なるほど、つまり、せっかくの技があるのに、ただの貴族の令嬢、それも養女では」

「ワーリア伯は宮廷貴族だからね。懐事情もそんなによくはないはずだし、ウィーの立場では、どうせ貴族の家には嫁がせてもらえなかっただろう。お金目当てに、そこらの商人の家にでも送り込まれるのがオチだ。それなら、自分の能力で生きていきたい……当たり前とは言わないが、理解できる判断だとは思わないかね?」


 納得はできる。確かに、いらない連れ子として、冷遇され続けていたのだとすれば。

 しかし、まだ疑問が一つ、残っている。


「そこまではわかりました。でもそれではなぜ、ここ、この家にウィーがいるんですか?」

「偶然だよ。王都まで来て、うろつきまわっていたところを、たまたま当時の使用人が見つけてね。仮にも貴族の娘が、一人きりで、まともな宿にも泊まれずに、薄汚い格好で歩き回るものではない」

「おじさま」


 男同然の格好で、王都を徘徊するウィーの姿が脳裏に浮かんだが、それを牽制するような彼女の声で、現実に引き戻された。


「せっかく引き取ったのに、結局はここを飛び出して、また男の子みたいな暮らしを始めてしまったのだがね」

「おじさまったら!」


 スカートの上で指先を忙しく動かしながら、彼女はやや強い口調でたしなめた。


「はっはは、ねぇ、ファルス君、ウィーは随分なお転婆だろう? ピュリスでは無茶をしていないかい?」

「いえいえ、いつも助けていただいていますよ、本当に頼りになります」

「確かにね。なんでも、もうアメジストにまで登り詰めたというから、冒険者としては一人前だ。その若さでもあることだし、さぞかし噂になっているだろう。ファルス君、ウィーはピュリスでは、みんなにどんな風に思われているのかな」


 その質問に、ふと『下着狩り』の一件を思い出す。

 だが、それを口にする前に、焼け付くような視線を感じた。顔を真っ赤にしたウィーが、こちらを激しく睨みつけている。


 うん、これは……まずいな。うん。


「えっと、うんと、み、密輸商人が暴れた時とかに、助けていただいたりしましたよ?」


 無難な話がいい。そう、変な武勇伝は不要だ。


「ほほう……立派になったものだ」

「正直、ウィーはもっと上にいけると思います。ピュリス以外で実績を作れば、ジェードへの昇格も、遠くはないかと」

「それはよかった」


 しかし、そこでクレーヴェは顔をしかめた。


「だが、私としては、あんまり遠くに行って欲しくはないのだがね」

「といいますと」

「ピュリスは王都からも近いし、治安もいいほうだ。だが、更に遠くとなると……いざ、何かあっても、私には何もできなくなりそうでな」

「いっそ、王都で活動してもいいかもしれないですよ?」

「いや、いや。王都近辺には、そこまでの仕事はないと聞いている。だから、ピュリスで修業を積むのが一番なんだよ」


 ふむ……?

 そこでウィーも口を開く。


「なんだかんだで、居心地がいいから、かな。まだ慌てなくてもって思ってるから」

「そう……ですか」


 確かに、せっかくガッシュ達とうまくやれているのだ。同じようなメンバーをまた集めようと思ったら。行った先の支部長が、マオ・フーみたいに気にかけてくれる保証はない。


「でも、じゃあ、それでですか」

「えっ?」

「ムスタムのクロウラー退治を断ったのは」

「ええっと、あれはまた……その、まだ危ないと思ったんだよ。死人が出るかもしれない戦いは、避けないといけないから」


 なるほど、慎重を期しただけ、か。

 決して昇格したくないから、ではない、と。なんか、そんな風にも解釈できてしまうから……


 クレーヴェが話をまとめる。


「というわけでね。ウィーにはしばらく、好きにさせてやりたいんだ。だから、ファルス君にも、なるべく秘密は守って欲しくてね」

「わかりました」


 同意はした。

 だがそれでは足りないと、念押しのように彼は続けた。


「頼むよ? これは、トヴィーティ子爵にも、その家の人達にも言ってほしくない。そんなことになったら、彼女はピュリスで冒険者だなんて、許されなくなってしまうかもしれないんだ」

「そんなものですか……いえ、わかりました」


 俺が改めて頷くと、クレーヴェはほっと胸を撫で下ろした。


「わかってくれて嬉しいよ。さ、お茶を……いや、何かお菓子が必要だな、ベドゥーバ……」

「あ、いえ」


 さっき、ダングの店で作ってきたチョコレートケーキがある。


「先程、作ったお菓子がありますし、よろしければですが、召し上がっていただければと」

「ほう?」

「ダングの店で、少しだけ修業をさせていただいております」

「ほう! すごいね、それは……ああ、ベドゥーバ、ケーキがあるそうだ。少しだけ切り分けてくれないか」

「承知致しました、旦那様」


 俺はカバンの中のケーキを彼女に渡した。一礼して引き下がっていく彼女を見送っていると、横から話しかけられた。


「面目ないね、正直、私の家など、こんな程度なのだ」

「いえ、こんな程度、とは」

「率直にいって、貧乏なのだよ」


 貴族としては、という意味なのだろう。

 俺はそう考えて、思ったことをそのまま口にした。


「そんなことはないでしょう? こんな別宅までお持ちなのですから」


 ところが、彼の返事は、予想外のものだった。


「別宅? とんでもない。ここが私の本宅だよ」

「えっ!? ご冗談を」

「本当さ。貴族の壁の内側には、本当に一部屋……トイレと、小さな風呂桶、あとはベッドがあるだけの、狭いところを借りている。私のような、役職付きでない年金貴族は、普段はせいぜい週一回しか、王宮内へは伺候しないからね。その時だけ、そちらで寝泊りする」

「えっと、では、他にお屋敷は……」

「王国広しといえども、ここだけだね。私も宮廷貴族だから、領地なんかない。あるのはこの家と、一人きりのメイドと、あとは家の長い歴史だけだよ」


 なんてことだ。使用人すら、今は一人だけ?


「あの、さっきのベドゥーバさんというのは」

「代々我が家に仕えた家系の娘で、私の息子の乳母でもあった。今では彼女だけが私に仕えてくれている」

「息子? 息子さんがおいでなんですか?」


 この質問に、彼は一瞬、沈黙する。

 ウィーもすっと俯いた。まさか。


「……しばらく前に、亡くしてしまってね」

「失礼を」

「いや、いいんだ。言おうと言うまいと、事実は変わらないんだからね。だから、普段は私とベドゥーバ、年寄り二人きりの侘しい暮らしだよ。だが、今日はウィーもいるし、ファルス君まできてくれた。うちも明るくなるというものだよ」


 そう言って、彼は柔らかな笑みを見せた。

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