路地裏の騒動

 その瞬間までは、何の変哲もない一日だったのだ。


 昼飯のスープを一口すすったところで、周囲の異変に気付いた。薄暗い食堂の外を、バタバタと駆け回る足音がする。

 何があったんだろう? 俺には関係ない……いや。

 悪い予感がしたので、俺は咄嗟に皿を持ち上げ、できる限りスープを飲み込んだ。その後、全速力で、中の具を口の中に押し込む。できればパンも……と思ったが、その余裕はなかった。


「全員集合! 食事やめ! 今すぐ中庭に集合!」


 警備担当の、いかつい男の怒鳴り声だ。これには逆らえず、俺もしぶしぶ席を立ち、口元を拭って駆けつける。

 中庭に集まった召使は、屋敷内のほぼ全員だった。何事だろうか? 子爵は公務で庁舎にいるし、夫人も今日は、他所の貴族との会食で出かけている。となれば、いるのはリリアーナとウィムだけだ。この召集は、誰の指示だろう?

 その答えは、すぐに出た。急遽集められた召使達の話し声や足音が、ピタリと止んだからだ。

 夏の真っ盛り、真っ白に陽光を照り返す石畳の上に、響くのはただ一人の足音。黒っぽい燕尾服もどきに身を包んだ銀髪の老人。イフロースだ。

 彼は低い声で短く言った。


「報告せよ」

「はっ!」


 横に立つ警備担当の管理者は、顔から汗をだらだら流している。それはきっと、分厚く着込んだ甲冑のためだけではないだろう。


「今より一刻前、担当の侍女が、お嬢様を見失いました。報告を受けて屋敷内の捜索を行いましたが、未だ発見には至っておりません。出入口は封鎖しましたが……」


 言いたくない内容に差し掛かって、言葉が途切れる。


「続けよ」

「……使用人の子供部屋にて、お嬢様の、その……お召し物が発見されました」


 服を脱いだ?


「その代わりに、使用人の子供の私服が一式、なくなっておりまして」


 イフロースは、厳しい表情のまま、一回、頷いた。

 警備担当者は、肩を落としたまま、引き下がる。


「聞いての通りだ。お嬢様が、屋敷の敷地外に出た可能性がある。全員、すぐさま捜索せよ」


 俺の隣に立つ青年が、小さく口の中で愚痴を吐いた。


「……またかよ」


 また?

 イフロースは、続けて細かな説明に移った。


「担当侍女は、今すぐ私服に着替えよ。お前達も、街中に出られる格好に着替えてくるように。担当侍女は、それぞれ市街地の各地点で待機。それ以外の者は、思いつく限り、市内を徹底捜索せよ。なお」


 彼の視線が厳しくなる。


「発見した場合、なるべく迅速に近くの担当侍女に報告せよ。間違っても、お嬢様の名前を呼んではならん。それから、男性の使用人は、お嬢様には触れないように。わかったな」


 えっ? わからない。なんで?

 お嬢様が外に出たから、すぐに見つけなきゃいけないのはわかる。誘拐でもされたら、ことだからな。近くの侍女に報告っていうのは? それと、名前を呼ぶなというのは?

 俺の内心を、イフロースは即座に見抜いた。変な顔をしていたのだろう。すぐに目が合った。鋭い視線だった。


「お嬢様の無断外出は初めてではない。しばしばお嬢様が外にいらっしゃることを、世間に知られるのは、好ましくない。わかるな?」


 そういうことか。普段着に着替えさせての捜索。担当侍女が迎えに行くのも、それこそ普通の迷子を保護する母親とか、姉の役割をさせるためなのだ。子爵家の令嬢が家出をしたのではなく、ただの女の子を、保護者が探しに来た。そう見せかけるための演出だ。

 理由なら、いくらでもある。まず、子爵令嬢が、無防備に外をほっつき歩いていると知ったら、悪人どもはどうするだろう? 今回は無事、お嬢様を回収できても、次は狙われるかもしれない。

 まだある。彼女は貴族だ。身分のある女性に、放浪癖があるとの噂が立つのは、いかがなものだろう? 必要な評判は『躾の行き届いた賢い女の子』。それ以外のイメージは不要だ。ゆえに事件が明るみになってはいけない。

 男性の使用人云々は……これは、考えるまでもないかもしれない。先日の様子からしても、かなり引っ込み思案な子だった。その割には、突拍子もない行動に出てくれるものだが、まぁ、人間に対してだけ内気になるというのも、おかしくはない。


「この件は、奥方には報告する。これは我々全員の責任だ。……さあ、わかったら、動け!」


 この号令で、みんなバラバラと走り出した。俺も外に出ようとして、ふと気付いた。俺はどこを探せば?


「あの」


 俺は近くを通りかかった男性に、無理やり縋りついた。


「なんだよ!」

「済みません! 僕の探す場所ですが、まだ指定してもらってなくて」

「あぁ!? 誰もガキには期待してない! 適当に探してろ!」


 それだけ言うと、俺の手を引き剥がして走っていってしまった。

 恐らくだが、大人は、普段動いているチームごとに、どこをどう探すか、指示をもらえるのだろう。

 俺があれこれ考えていると、後ろから声がかかった。


「フェイ?」


 大人の女性の声。これは、カトゥグ女史だ。


「これを見て。外に出る時には、担当侍女は、この黄色のリボンを髪につけているから。もしお嬢様を見つけたら、これをつけている女の人に、お屋敷の人ですか、って訊くのよ」

「ありがとうございます」


 助かった。

 この辺、説明してくれないと、どうしようもなかった。


「さ、早く行きなさい。じゃないと、大変なことになるわよ」


 それはそうだ。こんな事件のときに、グズグズしていました、だなんて、印象最悪だろう。

 俺も、すぐさま敷地の外へと飛び出した。


 さて……

 召使達の目的は、お嬢様を見つけることだ。無事に発見、保護できれば、緊急事態はおしまい。みんな、屋敷に帰るだろう。

 だが、俺としてはどうか? ぶっちゃけ、どうでもいい。前回の手紙の運搬だって、どれだけ点数になったか。あれで俺の評価が跳ね上がったわけでもない。罰? お嬢様を見つけられなければ? でもそれは、召使全体の問題だし、もっといえば、勝手な出入りを見過ごした警備担当のミスだ。これが初回でもないのなら、尚更彼らの責任こそ重い。

 だから、俺に責任がないのであれば……真面目に探す必要性すらない。むしろ、俺は、お嬢様の捜索という名目で、ゆったりと街を散策すればいい。

 そう、俺が原因でなければ。


 幸い、どこを探してもいいことになっている。ならば、俺の行き先は? 街の東側、職人街のある辺りだ。

 俺には、お嬢様が何を考えているかなんて、まったくわからない。接点なんて、それこそ昨日のやりとりくらいしかない。となれば、そこから推測できる範囲で、捜索をするしかないだろう。

 まさか。まさかとは思うが……俺から横取りしなかったあの貯金箱。あれと同じものを欲しがったとしたら? そのために、街の東側に足を踏み入れたとすれば。それはまずい。大変によろしくない。こんな事件を引き起こすくらいなら、あんなもの、いくらでもくれてやったのに。


 市街地の中心の三叉路から、俺は東側の職人街に繋がる通路を探した。前回は、波止場からかなり北に回って、それから南西に下りてきたから、同じルートで行くと、遠回りになる。職人街に直接向かうなら、まっすぐ突っ切るべきだ。初めての道だが、なんとかなるだろう。


 その判断を、俺は十分後に後悔していた。

 まさか、こんな景色が広がっているとは……


 中心街から少し、東側の細い路地を抜けていくと、石造りの背の高い建物の間、ちょうど通路の上が、布で覆われている領域があった。そこだけ、ちょうどアーケードのように薄暗くなるというわけだ。それで、何があるのだろうと踏み入ってみたら。

 昼間だというのに、あちこちに照明が点されていた。小さな蝋燭の上に、ピンク色の覆いがかかっている。それぞれの建物の入り口に扉はなく、代わりに半透明の布が垂れ下がっている。そして、濃密な花の香り。それと、どこかから、水の流れる微かな音が聞こえる。

 これは……うん、つまり、そういう場所だ。前世では、度胸も金もなくて、興味しかなくて、まず縁のなかった……


 冗談じゃない。職人街のすぐ傍に、こんな領域があったのか。

 いや、でも、不自然ではないのか。ここは港町だ。前世でも、港町といえば、そういう空間があった。長いこと海の上で禁欲生活を送った男達だからこそ、発散したいものもある。それに、東側には一般の商船がやってくる。彼らが利用する宿の多くも、どちらかといえば、街の東側に多い。当然、売春宿も、それらの近くに設置される。


 それにしても、不潔感あふれるこの景色。我に返って周囲を見回すと、突っ込みどころが満載だ。まず、この通路の狭さ。建物と建物の隙間には、しばしばゴミが転がっている。くどいくらいの香がなければ、悪臭で鼻が曲がっていただろう。足元には正体不明の水溜りがあってじめじめしている。

 聞こえる水音の原因は、すぐにわかった。この近く、街を横断する川が流れているのだ。ただ、他の区画では、川の上に石畳の覆いがあるのだが、ここにはそれがない。波止場の近くでまた、川の水が土管に流れ込んでいくのだが。要するに、下水が剥き出しになっているようなものだ。これでは夏場、蚊が大発生してもおかしくない。


 問題は、お嬢様がここに来たかどうかだ。まだ五歳、こんな広い街の道筋を、詳しく把握しているなんてことは……普段から歩き回っているならいざ知らず、あり得ないだろう。漠然と東側、としか知らない状態で、目的の店を探すとすれば……


 いや。

 ここに来ていなければ問題ない。問題ないのだ。

 だから、この辺を隈なく探す。いなければ、それ以上は俺の責任ではない。


 そう考えて、俺は通路という通路を歩き回った。

 なんとも精神衛生上、よろしくない環境だ。時折、艶かしい嬌声が微かに聞こえてくる。落ち着け。俺はもう、童貞君じゃないはずだ。と自分に言い聞かせて思い出すのは、あの惨劇の夜と、その前の、ババアにもてあそばれた経験だけなのだが。うわぁ、逆に憂鬱になれる。

 ごくたまにだが、人通りはあった。とはいえ、やはり夜の遊び場なのだろう。時折、すっぽりとフードをかぶった成人男性とすれ違うことはあったが、それだけだった。

 こういう場所にもかかわらず、特に治安が悪い印象はなかった。壁に落書きがあるわけでもないし、暴力の形跡を目にすることもなかった。ただ、通路が狭いし、たまにゴミが放置されている場所もあった。あまり衛生的とはいえない環境なのかもしれない。

 それほど広いともいえない、この怪しげな一角を、一通り回りきった頃だった。通路の向こう側に、囁き声を聞き取った。


「……そうかそうか。じゃあ、おいちゃんが連れてってやろうな?」


 ねとつくような気色悪い声。生理的に、本能的に、ろくな奴じゃないと感じてしまう。

 まさかと思いながら、物影からそっと様子を窺うと……


 そこには、髪の毛を丸刈りにした、米粒型の頭をした中年男と、金髪の少女が立っていた。

 なんてこった。どうして見つけちゃうんだ。見つけなければ、面倒なことにはならなかったのに。

 とにかく、あれがお嬢様なのはほぼ確定だ。だから、近くの侍女に報告しなければならない。そうしたいのだが、この状況では、目を離せない。普通は二人一組で動くとか、他のメンバーと何かどこかで落ち合うとか、その手の約束事をしておいて、捜索するものだ。自分が、人員としては期待されていなかったことが、裏目に出た。

 どうしよう。大通りまで走っていけば、絶対に一人は侍女がいるはず。大急ぎで行って戻って、運が良くて三分程度か。その三分で、どこまで遠ざかる? これがまだ、お嬢様の単独行動であれば、普通に包囲網を狭めていけば済む。だが、今は。


 中年男の目。あのいやらしさったらない。完全にお嬢様を、性的な対象として見ている。まだ五歳だぞ? 見たくもないが、微妙に盛り上がったズボンがその証拠だ。

 なのにお嬢様は、それに気付かない。箱入りの中の箱入り娘なものだから、善人と悪人の区別どころか、もしかしたら、男と女の区別すら、ろくにつかないのではないか。

 たった三分。だが、その三分間で、この男がお嬢様をどこに連れ去るか、わかったものじゃない。周囲は五階建ての高層建築で、しかも「商売」に都合がいいように、細かい休憩部屋がたくさん設えてある。部屋に常駐している売春婦もいるだろうが、立ちんぼを引き入れるための貸し部屋だってあるはずだ。そんなところにしけこまれたら、まず見つからない。見つけられたとしても、その時には多分、もう、手遅れだ。前世の日本なら、子供を連れてホテルに入れば即御用かもしれないが、この世界にそんな法律はない。

 俺の首元には、まだ例の魔法薬がある。残念ながら、武器は持っていないが、怪力だけでも、この中年男くらい、簡単に倒せる。イフロースからは、お嬢様に触れるなと言われているが、状況が状況だ。いざとなったら、この男をぶっとばして、お嬢様をかっさらう。それくらいはしなければ。

 俺は、息を殺して、様子を窺い続けた。


「お嬢ちゃんは、どこから来たんだい?」

「……あっち」

「街の、ああ、丘のあるほうからなんだねぇ、遠いのに、よく歩いてきたねぇ」

「うん」


 あれ? お嬢様? もっと消極的な性格かと思ったら。

 なんだか、普通に会話できてるぞ? おかしいな? 屋敷にいた時には、ほとんど声らしいものを聞き取れなかったのに。こうして聞いてみると、実に可愛らしい声色だ。


「お父さんは、何をしてる人なのかなぁ」

「……お仕事」


 おっ?


「はっはぁ、そりゃあそうだ! お父さんは、普通、仕事をしてるよなぁ」


 お前が言うなよ。昼間から女漁りしてる中年男のくせに。

 それより、お嬢様だ。今、明らかに父親の職業を、ぼかそうとした。


「どんなお仕事をしてるんだい?」

「うーん……」


 難しい顔をして考え込む彼女だったが、ある時点で、ぱっと思いついたように顔をあげて、言った。


「よくわかんない」

「はっはは、そうか、そうだなぁ、そういうもんか」


 確定だ。

 このお嬢様、実は意外とやる。内気で繊細で純粋そうに見えるし、実際、世間知らずでもあるが……馬鹿じゃない。自分なりにちゃんと計算して、都合の悪いことは言わずに済ませようとしている。

 そして、この場合の「都合の悪いこと」というのは、恐らく、父親の身分だ。なぜなら……


「で、貯金箱を見つけたら、どうするんだい?」

「ねぇねぇ、おじさま、遊んでくれるの?」


 あからさまに甘えるような声色。こっちがお嬢様の素の性格か?

 だが、おじちゃん、じゃなくて、おじさま、か。言葉の端々に、微妙に育ちのよさが滲んでしまっている。それに中年男も気付いているのだが、目の前の幼女の身分に恐れをなすどころか、逆に視線に欲情の色が濃くなってくる。


「おうおう、そりゃあな……そうだ、じゃあ、先に遊ぼうか」

「うん……でも、貯金箱のお店が」

「そんなのは、後でいいだろ、そうだな、ここに入ろうか」


 やはり、目を離さなくて正解だった。

 さっと通りに飛び出て、お嬢様との距離を詰める。


「あっ、アウリア! こんなところにいたのか、探したぞ。父さんが探してるから、帰ろう」


 お嬢様の名前を忘れたわけじゃない。だけど、正体は秘密。なら、ここで演じきってしまうしかない。

 一方、俺の顔を見て、中年男は明らかに不機嫌になった。


「なんだぁ、てめぇは」

「ああ、済みません、僕はその子の義理の兄で、ノールと申します。妹が迷子になったので、探しに来ました」


 男は、じっと俺を見つめてきた。

 こいつ、獲物を諦めるかどうか、天秤にかけてやがる……そう思って、俺が警戒心を引き締めた瞬間、案の定、そいつは飛びかかってきた。

 予期していた分、うまく動けた。薬に頼らず、最初の襲撃を避けきると、俺は素早く周囲を見回した。壁に立てかけてある、古びた天秤棒。少々短いが、扱えないこともない。手にとって、構え直した。


「うぉうらぁ!」


 喚き声と共に踊りかかってくる中年男だったが、隙だらけだ。一歩下がりながら、頭と向こう脛に一撃ずつ。これで簡単に昏倒した。呻きながら転がっているのを見下ろしつつ、ふと周囲を見回すと、横を駆け抜ける小さな足音に気付いた。

 しまった! お嬢様が逃げる!

 それはそうだ。昨日の今日、俺の顔を知らないはずがない。これから遊んでくれるという「やさしいおじさま」をぶちのめす俺が、どういう人間に見えるか。このままお嬢様をふんじばり、屋敷に連行していくに違いない。おとなしく捕まる? そんなつもりなら、最初から脱走なんかしない。


「お待ちください!」


 と、声に出して、しまった、と思う。兄が妹に向かって「お待ちください」なんて言うか? くそっ、冷静じゃない。

 彼女は前も見ずに闇雲に走り続けた。とはいえ、この時期の一年分の体格差は大きい。あとちょっとで追いつく。もう少しでこの、薄暗い狭い路地を抜けて、大通りに出る。

 その、突然の眩しさが仇になった。


 足元の小さな段差に気付けなかったお嬢様は、勢いよく転んだ。あっ、と思ったのも束の間。彼女に駆け寄った俺が見たのは、目前に迫る馬車だった。

 無我夢中だった。抱き起こし、何も見ないで後ろに飛びのいた。背中に固い石の壁の感触。と同時に、鋭い風圧が鼻先をかすめていく。

 危なかった。

 恐る恐る、俺は視線を足元に向けた。よかった。お嬢様の足が車輪の下敷きになったとか、そういう悲惨なことにはなっていなかった。踏み潰されたのは、彼女の片方の靴だけだ。今の一瞬で、脱げてしまって、その場に靴だけ取り残されたのだ。

 はっと気付いて、手を緩めかける。目の前のお嬢様は、大きく目を見開いている。驚いているような、怯えているような。

 どうしよう。男は触れるなと言われている。だが、ここで離したら、また逃げられそうだし……


 俺の迷いは、すぐに雲散霧消した。

 ばらばらと、いくつかの足音が迫ってきたからだ。黄色いリボンをつけた女が三人。それと、男が二人。全員、無言で、鋭い目付きをしている。安心しかけたのも一瞬、俺は棒を飲み込んだように、動けなくなった。

 女の一人が、さっと俺からお嬢様を引っ手繰った。あとは手際のいいこと、この上ない。一分と待たず馬車がやってきて、素早く目立たず、お嬢様を収容する。そのまま、猛スピードで走り去っていった。

 それを呆けて見送っていると、突然、がっしりと腕を掴まれた。そのまま、男は大股に歩いていく。子供の歩幅なんか、まるで考慮にない。


 そして、本当の受難は、これからだったのだ。

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