第31話 最終話


 新しい家に住むことになって半年、これと言って変わったことはない。

 ブラウが部屋は綺麗にしてくれているし、わしらもよごすようなことはしていない。

 家庭菜園を始めたくらいじゃな。

「ヤオキーごはんだよー」 

「はいよー」

 これが日常になりつつあり、わしの旅ももう終わりなのじゃろう。

 嫁を四人も迎え入れてしまったので夜の方が大変だがそれはそれで楽しい事じゃ。

「ヤオキ!」

 いきなり来たのはアリアだった。

「おう、アリアひさしぶりじゃのぅ」

「あなた私を嫁にもらうんじゃなかったの?」

「そんな約束はしてないのじゃ」

「きぃー!私も嫁にしなさいよ!」

「ワシの体が持たんわい」

 アリアも強引に住むことになった。

「なんでじゃよ」

 たばこ屋のモニカと話をしながら茶をご馳走になる。

「いいじゃないの、アリアも可愛いところがあって」

「まぁ、そうなんじゃがのう」

「あ、ルーがタバコが切れるって言ってたわよ」

「なんじゃ、まだワシを使う気か?」

「会いたいんじゃないの?」

「そういえばこの前はいつあったかいのぅ」

「ほら行ってきなさいよ」

「そうじゃの、たまには顔を見に行くかのぅ」     


 ワシは歩いてルーの家まで行くと、

「遅いじゃないかい!タバコはどうしたさね」

「ちゃんと買ってきてあるよ」

 タバコを渡すとすぐに火をつける。

「っふぅー、生き返るさね」

「本当にすぎじゃのう」

「まあね、コーヒーでも飲んでくかい?」

「それじゃもらおうかのう」

 コーヒーを飲みながらまたバカな話を始める。


 そんな平和な異世界生活がワシの第二のじんせいじゃて。

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黒の旅人 あに @sanzo

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