第30話 新たな家


「ひっさしぶりじゃのぉ!」

一面の砂漠地帯。見渡す限りオアシス以外は砂だらけじゃ。ビックイーターも泳いでおるなぁ。

 さてと、まずはオアシスを目指すとするか。

「ここは暑いねー!」

「トパは暑いの苦手か?」

「苦手ー」

「そうかぁ、オアシスまで我慢じゃな」

「はーい」

 こちらからオアシスまではそれなりに遠いが。今のワシならビックイーターもだいじょうぶじゃからの。

 真っ二つに切れたビックイーターをアイテムボックス に入れておく。

 夕方近くなると寒くなる。そうなるとビックイーターは出てこないので野営の準備をする。

 ここで王都で買ったドールハウスを試しに出してみると大きな家に変わった。

「きゃー凄い」

 どでかい屋敷になった。

 中に入ると綺麗に掃除がされていた。

「誰かおるかのう」

「はい!あれ?新しいご主人様ですか?」

「そうなるのぅ、ヤオキじゃ、よろしくな」

「ここの妖精ブラウニーでブラウと呼ばれてました」

 小さな子供のような妖精ブラウはここの管理をしているそうだ。

 もうそろそろ旅も終盤というか終わりだからのう。


 そろそろ落ち着くところが欲しいと思っとったんじゃ。

「よろしくな、ブラウ」

「はい、よろしくです」

 皆で部屋を見て回るが本当にでかい家じゃのう。

 10LDKというところじゃろうか?

 しかも庭までついておる。家庭菜園が捗るのう。


 次の日の朝には一旦家をしまってオアシスまで駆ける。

 やはり途中でビックイーターと出会ってしまったがもう敵ではない。

 ようやくオアシスに辿り着くとみんな息が荒い、まぁ、よう走ったしのぅ。

 休むために宿に入り、ワシはゴタ爺のところへ。

「また大きくなったなぁ」

「ハハッ、もう大人だよ」

「いや、ワシには可愛い孫のようじゃ」

「ゴタ爺もじいちゃんみたいなモンだ」

 いつものコーヒーを買って、ゴタ爺の淹れてくれるコーヒーを飲むと久しぶりに妙に落ち着く。オアシスに住みたいがここは空いてる土地がないからな。


 コーヒーを飲み終え、ゴタ爺に挨拶をしてから宿に戻る。住むなら北の街にするかのぉ。あそこなら土地もあるし空き家もあるからな。


 そんなことを考えながら宿に入る。

「やはり昨日の屋敷の方が落ち着くのぅ」

「ですね。やはりここら辺に住むんでるか?」

「次の街に住もうと思っておる」

「そこは住みやすいんですか?」

「まぁ、気候は良いしワシの馴染みも多いからのぉ」

「なら旅ももうすぐ終わりですね」

「そうじゃのぉ」

 寂しいようなホッと安心したような気分じゃわい。


 次の日には荷馬車を購入して街を出て行く。ルナも走りづらそうだが、なんとか走っておる。

 砂漠地帯を抜けると久しぶりの森に入る。


 ちょっとすると家が見えてきた。

「メルルおるかのぉ?」

「はいよ!久しぶりさね」

「あぁ、久しぶりじゃて」

「また随分と大勢になったねー」

「まぁのぉ」

 旅の話をし、北の街に住むことにするというと喜んでいた。

「マジックハウスかね?珍しいものを手に入れたね」

「まぁの、鑑定が出来るようになったからのぉ」

「へぇ。だから珍しいものばかり買って帰ってきたのかい」

「まあの」

 話に花が咲く。

 みんなにはお師匠と言う話はしてあるからみんなもそれなりに話に加わる。

「小さい頃はヤンチャだったよ!盗賊を殺してきたのはいつだったかね?」

「まだお使いにいってる頃だから相当小さかった気がするのう」

「へぇ、そんな頃から盗賊とやり合ってたんだね」

 ダイヤが言う。

「あやつらは同じとこにアジトを建てるから良い金儲けじゃったわ」

「ほらこんな感じさね。悪気は一切ないんだから酷いモンだよ」

「最後に出る時はちゃんと教えて行ったから大丈夫じゃろ?」

「あははは。ヤオキらしいね」

「さて、北の街にでも行くとするかね」

「あぁ。住むとこが決まって落ち着いたらちゃんと連絡するんだよ?」

「あぁ。分かっとるわい」

手を振りながらメルルと別れる。

北の街までルナに任せて荷台でゆっくりする。


 北の街に着いたようなので久しぶりに兵士と喋りながら街に入る。

 街に住むなら商業ギルドだな。と言われたので商業ギルドに来て空いてる空き家か土地を探して貰う。ちょうど良い物件があったのでそこを購入し。まだ住めそうな屋敷だが壊して片付ける。次の日まで掛かって綺麗に更地にすると真ん中に置いたドールハウスのボタンを押すとピッタリ収まってくれた。


「これからここがワシらの家じゃ」

「「「「やったー!」」」」

「ブラウもよろしく頼むぞ?」

「はいお任せください」

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