突然
勝利だギューちゃん
第1話
「ねえ、あんた」
昼休みに、教室で机を枕に寝ていると、クラスメイトの女子が声をかけてきた。
名前は・・・川原さんだったか?
いつもは、いわゆる陽キャラたちと鶴んでいるはずだが。
「めずらしいな。あんたが俺に声をかけるなんて」
「悪い」
「悪くはないが、いつもの連中はほっといていいのか?」
高校生くらいの女性は、不良だったり悪だったり、そういった男子に惹かれるものだ。
俺のような陰キャには、興味を示さない。
「冷やかしならお断りだ。他をあたってくれ。川原ゆうみさん」
「あんた、私の名前知ってたんだ。クラスには興味がないと思ってた」
「そういうあんたは、俺の名前は知ってて声をかけたんだろうな?」
「もちろんよ。水木裕樹(みずきゆうき)くんでしょ?」
「外れだ」
「違うの?」
「裕樹(ゆうき」でなく、裕樹(ひろき)だ」
よく間違えられる。
「だが、俺の名前を知っていたとは、驚きだ」
「まあね」
「で、何の用だ?罰ゲームとか、冷やかしならお断りだ」
「そんな悪趣味はないわよ。私は」
疑わしい
「で、何のようだ。随分時間が経ったぞ」
「今日、放課後付き合ってよ」
「断る。たくさんいるボーイフレンドの中の誰かと行け」
「みんな、飽きた」
飽きるな
「で、どこへ付き合うんだ」
「カラオケ」
「断る。ボーイフレンドが無理なら女友達と行け」
「みんな、デート」
最近の若い者は
「で、何でカラオケなんだ」
「みんな趣味が合わなくて、あんたとなら合いそうだから」
「何でわかる?」
彼女は、僕の鞄を指す。
そこには、人気のアニメキャラの缶バッジがつけてある。
「あんた、好きなんでしょ?」
「まあな」
本当は、取り違えないように、目印としてつけているのだが。
まあ、嫌いではない。
「じゃあ、放課後はカラオケデートよ」
「へいへい」
こうして、人生初のデートは、初めて会話して子と、強制デートとなった。
でも、まあ楽しかったな。
「あんた、なかなか上手いわね」
「お前こそ」
なかなかいい笑顔してるな、彼女
教訓:女は怖い
突然 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます