第4話 一人がよい

買い物も食事も、一人で行けます。 


始めての海外は

一人でフロリダ州への短期語学留学に行きました。

その時は

税関のカウンターで何をするかもわからず、

搭乗ゲートとかもどこに何があるかず、

あの時は始めて

一人はこわいと泣きました。

現地や乗り継ぎもわからずで、

なんてことをしでかした!って自分を責めたほどです。



でも、一人のこわさはその時くらいです。



短期語学留学というと、響きはいいのですが、


昼も夜もバイトをし、

(大した能力のない私は、就職氷河期で正社員になれなかった)

留学に憧れ、必死でお金を貯め、

やっと貯めた200万をたった3ヶ月ですべて使い果たしました。


その金額をすべてフロリダに払ったわけではなく、

英会話スクールやスーツケースなどの必要品、留学斡旋会社への手数料、国際電話代など、


親には1円も払ってもらわずすべて一人ですべてまかないました。


ホームステイ先は老夫婦が二人で住んでおり、

それはそれはよくして頂きました。

ただ、お金はないお家だったので、

食料探しに安いスーパーに行ってたり、お金ないからミルクが買えないとか、

我が家の状況を見ているようでした。

でも、

本当に優しくていい人たち。

お金がないけど、

ない中で楽しめることをしていました。

ポップコーンをお鍋で作って抱えてバスケの試合をテレビ観戦したり、

お友達の家や学校まで毎日送迎してくれたり、

日本に戻ってからもしばらく手紙のやり取りが続きました。


人見知りで、僻みっぽい私が

お金持ちの家にステイしていたら、

ただただ妬むとか、気持ち的に安定しなかったかもしれない。

そこは、

本当にご縁というか、神様の思し召しというか、

私にとっては何年たってもいい思い出だし、

あの時は

あのご夫婦と会話をしたり、過ごす時間がなんとも穏やかで心地よいものでした。


環境に左右されるとはいうけど、

私もその気質はあるんだと思う。


短い期間ではあったけど、

フロリダで感じたことは

人と一緒のスペースや関わりがあっても、

干渉もなく、集団行動が重要視されず、個が埋もれてなかった。


でも、

必要なときに必要な声がかかる。

まさに、かゆいところに手が届く。

こういうところで育っていたら、私の人生も性格も違っていたかもしれない。



人のせいにして!と言われそうですが、

生きてく上で人との関わりはやはり大きい。

関わるとめんどくさい。

関わるから妬む。

関わるから自己肯定感が下がる。


だからこそ、

一人がよいと思うのかもしれません。



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愚痴ってもいいですか?50のおばさんですが。 くさかりたみこ @a_mio

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