治癒魔法が使えるシスターミモザは仮面を持っている。
教会では日夜負傷した冒険者たちを治療し、空いた時間には暇を持て余した老人たちが話を聞いてくれと押し寄せる。息の詰まるような毎日に、彼女が見出したのは『Ms.マスケラ』という仮面パフォーマーとしての自分。貼り付けた聖母の笑顔を仮面で隠し、思い切ったパフォーマンスで街の人々を笑顔にすることが好きだった。ミモザは仮面をつけている間だけ心から笑えていた。
そんな二重生活の最中、教会によく顔を出す8歳の少年リュカにミモザはプロポーズされる。年齢差は一回りを軽く超えていた。当然真に受けることはなかったが、周囲から便利な治癒魔法使いとして搾取され続けていたミモザは「いつか、彼が大人になっても同じことを言ってくれた……」と心の中で思ってしまう。それがまさか、思いがけない未来へ転じていくことになろうとは――。
ミモザと実年齢が近いこともあり、ついつい自分に重ね合わせながら拝読してしまいました。能力に集られ、良いように利用されそうになったり、軽んじられたり。年齢は重ねていてもちょっと運命的なものを感じた途端に少女のようにときめいてしまったり、舞い上がった後に結局後悔する羽目になったり。身に覚えのある喜怒哀楽がとても魅力的な女性でした。あと、お家の惨状も心当たりがありすぎて……(笑)
そんな彼女の心境が丁寧に綴られる文章は読んでいてとても心地が良いです。本音と建て前に揺さぶられてニヤついてしまうのはミモザも読者も一緒。ぜひ、盛大にニヤニヤしてほしいと思います。
絵本の世界に憧れて、シスターになったミモザ。
でも現実は、魔物討伐でボロボロの冒険者たちの治療に追われたり、無理やりパーティに誘われたり……怒りとストレスが溜まる毎日。
そこから抜け出すために、ミモザが選んだのは……別人になる事。
そんな彼女に恋する、8歳の少年リュカくん。
プロポーズしちゃうリュカくんの可愛さに、ほっこりしていたら……思わぬ方向に、お話は転がって行きます。
理想と現実のギャップに苦しむ事、誰にでも経験ありますよね?
でも、
「大切な人の笑顔を一番近くで見られる。これ以上の幸せはないでしょ?」
こんな事を言ってくれる人が、傍にいてくれたら、それだけで幸せかも。
シスターが悩み苦しんで、最後に出した答えとは?
ぜひページを開いて、確かめてください♪