この作品の魔法少女が戦う相手は架空のファンタジーな悪者じゃない。
敵は世界の醜さそのもの。
皆を助けたいと願う彼女の元には、「困ってる人センサー」なる魔法少女グッズが渡されるが、これがとんでもない代物。
近隣で起こる凶悪犯罪が生実況される阿鼻叫喚が24時間聞こえてくるという、もはや普通に精神拷問グッズでしかない。
そう、正義の味方になるために、この世のもっとも汚い部分に直面させられ続けるということ。
このあまりに過酷な現実をまえに、主人公の千尋は『この世界』に一度負けている。
そんな彼女がもう一度だけ立ち上がることを決意する場面から、この物語は始まります。