1.5.3 フェイリィ

 異世界。皇国首都東都。


「コウハ兄、一緒に帰ろー」


「闇の者よ、共に帰ろうではないか」


 フェイリィ。


 アイナの精霊。


 特殊精霊であり雷属性の精霊だ。


 黒髪で赤と青のカラーコンタクトをしており中二病な言動をしている。


 俺のことを闇の者と呼んでくる。


 聖剣はファイヤーアローでこれはいわゆる火矢である。


 サンダーブラストというスキルも使える。


「そうだ、みんなで駅前のクレープ屋に行かない? 新作が出たんだ!!」


 アイナがそう言う。


「へー、クレープか、いいんじゃないか」


「クックック、我は血塗られたクレープが食べたいぞ」


「はいはい、フェイリィはイチゴクレープね」


 そうして俺たちはクレープ屋に向かった。


 俺がチョコバナナ、アイナが新作のメロン、フェイリィがイチゴを注文した。


「コウハ兄1口食べない? ……はい、アーン」


 まさかのアイナからのはい、アーンだった。


 間接キスだということで俺はアイナのことを意識してしまう。


 だが俺はできるだけ平静を装ってこう答える。


「……うん、このメロンおいしいな」


「でしょ!! このクレープ屋の新作は外れがないよね!!」


「クックック、クレープを食すと我が右手の封印が疼く」


「あー、フェイリィは食後の運動がしたいと言っているよ」


 アイナがフェイリィの中二病的言動を翻訳する。


「なら詩音ちゃんと模擬戦してくれないか?」


「フッ、模擬戦か。我が右目の呪いも疼く」


「フェイリィはぜひ模擬戦をしたいと言っているよ」


 こうして詩音ちゃんとフェイリィは模擬戦を開始した。


「ハァァァッー!!」


「タァァァッー!!」


 フェイリィによる弓矢の猛攻撃を詩音ちゃんは機槍で捌く。


 次々と飛んでくる矢を全て迎撃していく。


「フェイリィ、アローレイン!!」


「地獄の業火に焼かれろ!! アローレイン!!」


 火矢が雨のように降り注ぐ。


 詩音ちゃんも必死に捌こうとするが数が全然違った。


 アローレインは火矢を空中に浮かんだ魔法陣から解き放つスキルである。


 その攻撃はまるで空爆のようで強力だった。


「キャァァァー!!」


 詩音ちゃんの敗北だった。


「詩音ちゃん、お疲れ様」


「たはは、また負けちゃったよう」


 だが詩音ちゃんは清々しい顔をしていた。


「一姫、インプレッション・シーカー使えるか?」


 一姫もこの模擬戦を見学していた。


「たぶん使えると思う、ご主人様」


「アイナとフェイリィに見せたいものがある。一姫のユニークスキル、インプレッション・シーカーだ!!」


「あー、ミノタウロスを倒したっていう噂のユニークスキルだよね」


「ほう、かの魔物を倒したスキルか、興味が湧いてきたぞ」


「一姫、インプレッション・シーカー、アローレイン!!」


「了解。インプレッション・シーカー……アローレイン!!」


 そうして一姫はフェイリィが発動したアローレインをそっくりそのまま発動した。


「ええええ!?」


「ほう、我がスキルをこうも簡単に模倣したか……。興味深い」


「このようにインプレッション・シーカーは対象のスキルを高速で検索、高速で学習しスキル模倣するんだ!!」


「コウハ兄、最強のスキルだね!! すごいすごい!!」


 その後、フェイリィのサンダーブラストをインプレッション・シーカーで解析、模倣した。

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スマホと歩む異世界英雄譚〜皇帝家から追放された俺、スマホが覚醒しS級スキルを習得、成り上がります〜 藍原コウ @aiharakotaro

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