第5話 第1話でブラバを防ぐには

 皆さんはゲームのルールブックを隅から隅まで読むの好きだったりします? 世界の説明とか、主要な国家・地理とかのページが好物だとすると、物書きとしては注意が必要です。年表ページまで読むようだと赤信号。ちなみに新巻は完全にそっち寄りですね。


 どうして、そういう箇所を読むのが好きなのがまずいかというと、冒頭にそういう壮大なところから書きたくなっちゃうからです。世界の中心には大国ほにゃらら帝国があり、その周辺にはいくつの国があって、その中の一つは最近隣国との間で抗争の気配がある。その中心にいるのが天空魔法に長けた……、天空魔法というのは通常の魔法とは異なり……。


 こんな感じで世界設定から書きたいよね。うん、よーく分かるぜ。でも、それは出版社から「先生、ぜひ弊社にも書き下ろしをなにとぞ」と言われるようになるまで我慢だ。テンプレ小説と呼ばれるものが人気があるということを考えて欲しい。ぶっちゃけ、ウェブ小説の読者は詳細な設定に興味がある方は稀だと思います。


 多くの人は登場人物が何をするかを楽しみにしているのであって、その背景は何でもいい。言い過ぎかもしれないがそれぐらいの感覚で書いた方が間違いがないと思う。じゃあ、何を書くかといえば、もちろん主人公。周辺事情は第一話ではくどくど書く必要はない。とりあえず主人公に動いてもらいましょう。


 第1話中に、話の核は登場するか、登場の気配だけでも感じられるようにしておかないと、そこから先は読んでもらえません。追放ものなら、きっちりと残念な形で追放されるし、大活躍する話なら有象無象とは格が違うことを示します。拙作なら、奴隷の少女と出会うところまで。


 それでも離脱は発生します。12万PV/18万PV。この数字は拙作における第1話から第2話へのPVの変化です。3分の1が離脱してますね。まあ、それは仕方ない。タイトルとキャッチコピーが秀逸だったのだとポジティブに考えましょう。


 それから第1話では名前ありの登場人物は多く出さない方がいいです。名前を覚えるというのは地味にストレスですからね。二度と登場予定がないなら属性だけで十分です。主人公にクエストを出す王様が出てくる場合、インダスカール・テットラバン5世である必要はありません。「王様」で十分です。名前の話が出たのでついでに言うと、似たような音にならないように注意しましょう。シャールとシェリー、シャリーが出てくると混乱します。誰が誰やねん。


 中身も大切ですが、読みやすさも同じくらい重要。誤字・脱字があると読む気力が散じてしまいます。また、スマホで読むことを考えて、適宜改行を挟みます。画面いっぱいの文字は私は好きですよ。食品の成分表示を隅から隅まで読むほどの活字好きなので。でも、多くの人は目に優しい方を好みます。


 もし、ここまでのお話がお役に立ったなら嬉しいです。次話ではちょっと趣向を変えて、作家同士のお付き合いについて書きたいと思います。

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