第19話 日記
〇月×日
今日、猫を蹴っているところを父上に見られてしまった。
怒られると思ったが、猫いじめは見つかったときのリスクが大きいから止めておけと言われる。
その代わり、嫌なことがあったら、日記に書けと言われた。
父上も、お爺様も、そうしてきたらしい。
だからこれからは、嫌なことがあったら、この日記につづろうと思う。
〇月△日
さっそく、この日記に書くことが起きた。
庭師の馬鹿が、俺に泥だんごの作り方を教えると言ってきた。
泥を触るなんて気持ち悪い!
でも、あの馬鹿は、俺の気持ちにも気づかず、アホ面で教えてくる。
渋々、付き合ったが、衣服が汚れてしまったし、マジで最悪。
今度、同じことをしてきたら、父上に言ってクビにしてもらおうかな。
―― 1 ――
〇月××日
メイドのブスがなんか俺にお菓子を渡してきた。
ブスが作ったお菓子とかマズいに決まっている。
とりあえず受け取ったけど、さっさとゴミ箱に捨ててやった。
しまったな。猫にあげればよかったか。
久しぶりに、あいつの苦しむ顔が見たい。
―― 2 ――
〇月×△日
泣きながら人形に話しかけているキモいメイドがいた。
よく見ると、メイド長の娘だった。
キモいが、顔は良いので、少しだけ付き合ってみることにした。
〇月×□日
ルナは愚痴しか言わないからつまらん。
怒られるのは、お前が無能だからだろ。
ブスだったら、父上に言って、クビにしてもらうのに。
可愛い顔に生んでくれた母親に感謝するんだな。
―― 5 ――
×月××日
ルナから人形をもらった。
心なしか、ルナのようにも見える。
自分を模した人形を渡すとか、普通にキモい。
せっかくだし、普段は言えないようなことをこの人形に言ってみようかな。
ちょうどいいストレス発散になるだろう。
あと、なんかサプライズがあるらしい。
何だろう? ルナのことだから、たいして期待できないけど。
×月×〇日
ルナはサプライズがあると言っていたが、全然ない。
聞いたら、ごめんなさいしか言わない。
は? 何だあの女?
嘘と愚痴しか言えないのか?
マジでキモいな。
顔以外取り柄が無いのかよ。
―― 10 ――
△月×□日
最近、女を見ると、たまに変な気分になる。
セバスチャンに聞いたが、教えてくれない。
何がウエスト・ハシーン随一の名師だ。
冗談は肩書だけにしておけ。
△月〇△日
警備員に聞いたら、変な気分の正体がわかった。
性欲というらしい。
そして、他にもいろいろなことを教えてもらった。
結論、童貞は早く捨てた方が良いそうだ。
ルナあたりで捨てておくか。
あいつも俺なら嬉しいだろう。
そろそろ12歳になるし、捨てるならその辺かな。
―― 32 ――
ど、どうして僕が
これは夢だ
夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢
夢
ゆめ、
嘘
―― 34 ――
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