不思議で、ちょっとぞわっとする、変わった怖い話。

冒頭の東北弁と思しき言葉が、出張でよく訪れる二戸や八戸あたりの響きに似ていて、どこか親しみを覚えました。そんな気持ちのまま、「戸棚?」の話まで一気に読み進めてしまいました。

どのお話もとても短く、1話ごとのテンポの良さもあって、ついつい次から次へと読んでしまいます。
内容は、本格的な怪談噺の“序章”のような雰囲気が漂っていて、「このあとどうなるんだろう?」とドキドキしていると、「その後は何事もなく」や「あそこにはもう近づけない」といった、静かな結末が訪れる──そんな展開にホッとしつつも、じわじわと怖さが染みてきます。

読み終わった後、「もし近づいたら?」「もしその後があったとしたら?」と、想像するほうが怖くなる──そんな余韻が、たまらなく心地よい作品でした。