源さんの世界観が存分に詰まった、子狸が主人公の童話。

可愛らしい語り口で始まるが、読み進めるうちに、これは単なる“ほのぼの話”ではないことに気づかされる。

流され、出会い、別れ、時に受け入れられ、時に追い出される。
ポンタンが経験する出来事は、子供にとっては冒険として、大人にとっては現実社会の縮図として映るだろう。

特に印象的なのは、「優しさ」と「理不尽」が同じ世界に同時に存在していることだ。
誰かの善意に救われた直後、何の説明もなく立場を失う――そんな展開に、大人は思わず胸が締めつけられる。

読み終えたあと、安心よりも先に余韻が残る。
この先、ポンタンはどうなるのだろう。
そう考えずにはいられない物語だった。

子供向けの童話としても、大人の読み物としても成立している、稀有な一作である。

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