第46話

 結婚式から一夜が明け、大人の階段を上った僕と香織は朝から大忙しだった。この家を維持するためには確実にお金がいる。今日は湧水から作り出された水をルミナスに売りに行く日だ。


「柚子。急ぐで」

「はいです。ママ」


 まだ眠そうな柚子は着替えをして、僕と香織のお手伝いをする。何回もドレスを着たことにより、自分でも着られるようになったらしい。


「柚子。この水をそこの容器に入れてくれるか?」

「はいです。パパ」


 僕と柚子は二人係で出来上がった水を容器に入れる。香織は朝食の準備を終えた後、水を入れるクーラーボックスを用意して持ってきてくれる。


「おまたせ!」

「ありがとう。香織」


 僕と柚子はクーラーボックスに水を詰めていく。クーラーボックスも僕は創造魔法で作り出したものだ。出来上がった水を入れ終えた僕と柚子はダイニングでぐったりとしてしまう。


「朝食を持っていくね」

「うん。ありがとう」

「ママのご飯、楽しみ」


 朝食はご飯に味噌汁。メインは魚の塩焼きだった。いろんな場所に行っている海斗さんに情報を貰い転送装置で目的のものがある街に移動しては食材を集めていたのだ。その努力もあり今は向こうの世界の食事が食べれている。魚は魔物の森で倒したものを使っている。


「ママ。おいしいよ」

「柚子。ありがとね」

「おいしいな」

「優もありがとう」


 朝からがっつりと食べたので、腹が十分に満たされている。


「じゃぁ、ルミナスに行こう」

「うん」

「はいです。パパ」


 僕たちは外に出て、玄関の前に止めてあった馬車に乗る。馬車を動かすのはアルタイルとベガである。


「今日もよろしく。アルタイル、ベガ」

「任せてください。優様」

「主人。任せろ」


 馬車を動かすアルタイルとベガ。意思疎通ができるので馬車の御者は必要なく。無料でルミナスまで向かうことができる。忘れ物がないことを確認すると家を出発した。


「優よ!我の上にはいつ乗ってくれるのだ?」


 寂しそうな表情をするウグル。


「パパ。ウグルさんにまた乗りたい!」

「分かったよ。明日にでも乗ろう」

「柚子よ。いつもありがとな」

「えへへ。くすぐったいよぉ~」


 ウグルにぺろぺろ顔をなめられている柚子。どここらどう見ても犬だ。馬車の中が笑顔で包まれる。僕たちはこれからも協力してこの世界を生きていくのだろう。相棒の銃にもたくさん助けられた。


「これからもよろしくな!神話級武器の銃。いや……。相棒でいいか……」


 空を飛びながら僕たちはルミナスに向かうのだった。

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銃はこの世界で神話級の武器だそうです 時雨トキ @rikkuri777

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