激闘!ヤマタノオロチ戦

第41話

「ウルガさん。皆さんを逃がしてくれますか?この怪物は異世界人ではないと倒せないと思います。それと香織をよろしくお願いします」

「分かった。みんな撤退だ!」


 ウルガさんに香織を引き渡した後、異世界人以外の冒険者、騎士団のみんなは撤退を始める。ヤマタノオロチは逃がさないために食べようとする。


「させない!」


 僕はマークスマンライフルでヤマタノオロチの顔面を貫いた。ヤマタノオロチの顔は粉々に崩れる。ヒュドラを吸収したヤマタノオロチは顔をすぐに再生させるが、食べることはできなかったようだ。冒険者、騎士団のみんなの姿は見えなくなった。


「加勢するぜ!」


 ザクトの上に乗った海斗さんは笑顔で僕に言う。


「私も参加しますね」


 リュウキの上に乗った茜さんも同様だ。


「優!僕のことも忘れないでね!」


 陸上にいるハクトラに乗った光希も戦闘に参加する意思を僕に伝える。


「私のことも忘れないでください」


 フンドに乗った隼人さんも加勢してくれるようだ。


「みなさん!ありがとうございます!ウグルは陸上部隊の援護に回ってくれるか?」

「分かった」


 陸上と空中の戦闘準備が整った。ヤマタノオロチは氷のスロープを作って穴から出てきた。アルタイルとベガも十分に大きいはずなのに比べ物にならないヤマタノオロチの大きさ、プレッシャーに押しつぶされそうになる。


「五人で私に勝てると思っているのか!」


 三つの首が陸上部隊に襲い掛かる。


「ハクトラの機動力をなめないで!」


 ハクトラは攻撃してきた首の上にジャンプして乗る。そこに雷を落として動きを鈍くする。


「やぁぁぁ!」


 光希の振り落とされた両手剣により首が切断される。ウグルはそこに再生する前にブレスを放ちヒュドラの能力を無力化する。


「首!首がぁぁぁぁぁっぁぁぁ!」


 悲痛の叫びをあげるヤマタノオロチ。かなり効いているようだ。


「フンドさん!頼みましたよ!」


 フンドは隼人さんに答えるように土の壁を張って、二本の首の突撃を止める。フンドの尻尾の蛇はヤマタノオロチの一本の首にかみついた。溶けるヤマタノオロチの首。


「焼けなさい!」


 そこに隼人さんはすかさず炎の矢を射る。一本の首は焼けてしまったことで再生は不可能となった。


「お前らぁぁぁぁぁぁぁあぁ!」


 ヤマタノオロチは顔のついた首を引っ込めて、僕たちに激怒した。

残りの六つの首から発射される強烈なブレス。どれもランダム方向にはなたれ魔物の森を破壊し始めた。ルミナスがある方向にはなたれブレスは広範囲結界で止める。


「優。あいつは我を忘れているのか?」


 近くでザクトに乗っていた海斗さんに質問される。


「分からない……。前もこの遺跡を意味も分からずに破壊していましたから」

「優はあったことがあるのか?」

「はい。人間バージョンにですが」

「そうなのか。だが止めなければ魔物たちが絶滅してしまうな」

「ごもっともです。それは避けないといけません」


 ルミナスの収入源である魔物を絶滅させられてしまっては、多くの人が仕事をなくしてしまう。それは防がなくてはならない。


「僕たちが顔を破壊します。お二人で再生できないように焼いてもらってもいいですか?」

「分かったぜ」

「任せてください」


 無差別にブレスを撃っている今ならば顔を破壊するのは容易だと思われる。海斗さんと茜さんには再生能力を封じることを頼んだ。


「柚子やるよ!」

「はいです!」


 気合の入った柚子の返事。僕と柚子で的確に一つずつ顔を破壊していく。海斗さんと茜さんは破壊された焼いていく。ヤマタノオロチは倒れる。


「これで倒しましたか?」


 茜さんは疑問に思っているようだ。


「優さん!爆発しますよ!」


 隼人さんの警戒を促す声。


「柚子!アルタイル!ベガ!」


 僕は名前を呼ぶとヤマタノオロチを囲むように結界を張る。柚子とアルタイル、ベガも僕に重ねるように張ったので四重だ。結界内部でヤマタノオロチは大爆発した。念のため四重にしていたのは正解だったようだ。爆発のより三つの結界が破壊されていた。


「にいに。ヤマタノオロチの姿が変わったよ」


 柚子が指さす方向を見てみるとさっきほどまでの大きさはなく僕たちと同じ姿にまで小さくなっていた。体からはどす黒いオーラが放出されており、魔刀が赤き月のように怪しく光っている。

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