#24 黒いダンジョン



 私パンダヒーローこと斎藤あやめは、現在なんと探索者協会本部の会長と面会しております―。



「どうぞ、パンダヒーロー様」



 秘書の上川さんが、高級そうな紅茶とお茶菓子をご用意してくれた。



「あ、ありがとう、ご、ございます……」



 あやめの座るソファーの向かい側には、会長である天野川さんが対面し座っていた。


 桃色の長髪に美しくも凛とした顔立ちの女性で、スタイルも抜群。

 シワひとつないスーツを着こなすその姿はまさに会長と呼ぶに相応しい人物だった。



 あやめはそんな会長を目の前に、手に汗をかきながら緊張し震えていた。



「そんなに緊張しないでくれ、もっと気を楽にしていいんだよ」


「は、はい……あ、ありがとうございます……」



 あやめは紅茶を一口飲んで少しでも落ち着こうとしていた。



「さて……では、本題に入らせて頂こう。実はパンダちゃんにわざわざここへ来てもらったのは、あるをパンダちゃんに引き受けてもらいたいからなんだ」


「じゅ、重大な任務ですか……?」



 な、なんだろう重大な任務って……今こんな大変な状況下の私にそ、そんな任務を押し付けるなんて―。



「その前に……パンダちゃんはの噂は聞いた事はあるかい?」


「く、黒いダンジョンですか……」



 黒いダンジョンとは、月に一度だけしか出現しない珍しいダンジョンである。


 しかし、黒いダンジョンは通常の難易度とは桁違いに危険度が高く、なんと立ち入る事の出来る探索者は全国でのみ。


 つまり、SSS探索者以外の立ち入りは禁止されている程の危険なダンジョンなのだ。


 探索者協会は、黒いダンジョンが出現すると即座に立ち入りを封鎖。

 厳重な警戒態勢を取り、間違ってもSSS探索者以外の探索者達が侵入出来ない様に常に監視をしていた。



「…それ程までに危険な黒いダンジョンがつい先日出現したんだ。まぁ世間は今パンダちゃんに注目しているから、まだほとんど誰にも気づかれていないのが救いだよ」


「は、はぁ……」


「そこでだ、今世間の探索者達が黒いダンジョンに気づいていない内に、是非パンダちゃんに黒いダンジョンの調査を依頼したいんだよ」


「で、でも、今私なんかが下手に動いたら逆に目立ってしまうのではな、ないでしょうか?」


「心配には及ばない。そこはちゃんとこちらで対策を考えてある……けど、黒いダンジョンの探索はだからダンジョン配信は禁止させて頂くよ?」


「は、はい……わかりました……」



 ―ブーブー



 会長のスマホの音が鳴った。



「少し失礼……上川か?」


「会長、もう一方のSSS様がご到着なさいましたが……」


「わかった……そのままこちらまで通してくれ、パンダちゃんにも会ってもらいたいからな」


「かしこまりました」



 通話を終えた会長は再び向かい側に座ると、あやめの方へ少し前に乗り出して話を進めた。



「先程の上川から連絡があった通り、もう一人のSSS探索者が到着した様だ。そして、今回の黒いダンジョンの探索にはパンダちゃんとそのSSS探索者の二名で調査をお願いしたい」



 もう一人のSSS探索者……エルフさん以外の私の知らない探索者なのかな……って、しょ、初対面の人と極秘任務って事じゃな、ないですかあぁぁぁぁ!!!



 またもやあやめのコミュ障が発動してしまった。


 え、エルフさんの時もかなり気まづかったのに……しょ、初対面でし、しかも実力SSS探索者の人と二人たけで極秘任務なんて、あ、あんまりですよー!!!!!



 チーンッ



 エレベーターの止まる音が聞こえた。

 ドアが開くと、上川さんが出て来た。



「会長……パンダヒーロー様……SSS探索者様をお連れ致しました」



 エレベーターから出て来たのは、茶髪の髪を束ね、紅葉柄の入った漆黒の和装を着た女性だった。


 しかも、大胆にもを肩に担ぎながらこちらへ向かって来た。



「紹介しよう。こちらがSSS探索者の……だ」



 すると、修鬼はソファーに座るあやめを見下ろしながらまじまじと見ていた。



「…ちょ、調子に乗って、す、すみません……」



 とっさに何故か謝ってしまうあやめだった。



「あんたが今、世間で大注目中のパンダちゃんじゃなぁ〜?」


「は、はい……えーっと……あの……パ、パンダヒーローです……よ、よろしくお願いします」


「ニャッハハハ! そんな緊張せぇへんでもええって、同いSSS探索者じゃろ? うち、修鬼言うんよ。仲良くしょーなパンダちゃん!」



 思ってた以上にフレンドリーな修鬼に対し、あやめは少しだけ安心していた。



「ちなみに修鬼は2の実力者だ。こう見えてけっこう頼りになるやつだぞ?」



 ―え、全国ランキング……2位?



「ニャッハハハ! うち、まぁまぁじゃろ?」



 修鬼はひとり笑いながらピースしていた―。




 —————————

 あとがきとお知らせ。

 最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!


 そして、これにて第1章の区切りとさせて頂きます。

 続きの第2章なのですが、現状は保留とさせて頂きます。


 ここまで多くの読者様にご愛読して頂き本当に励みになっておりましたが、作者の力不足が故、PV評価共に伸び悩んでおり打ち切りコース路線へとなってしまいましたのでここで一旦区切りと判断させて頂きました。


 今後もし機会があれば第2章の再開、もしくは新たな形として書き直しを視野に入れておりますので、ご意見やアドバイス等ございましたら、遠慮なくコメントやレビューの方にて頂けますと幸いです。


 今後も是非、楓雫の小説をフォロー、★評価、レビューをして頂けますと作者の励みになりますので応援の程、何卒よろしくお願い致します。

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陰キャでもSSS探索者ならダンジョン配信しろ! 楓 しずく @kaedeshizuku

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