#23 か、カイチョー!?
私パンダヒーローこと斎藤あやめは、現在リムジンで探索者協会本部へと向かっております―。
―少し前のこと。
あやめはパンダのお面を着け、部屋のドアを開けた。
そこには車から降りて来たスーツ姿の美人お姉さんが立っていた。
「パンダヒーローこと、斎藤あやめ様ですね? 私、探索者協会
「…あ、あの……本部からお迎えって……わ、私何かいけない事でもしたのでしょうか……?」
「…? 失礼ですが、稲妻エルフ様よりお話はお聞きになられていないのでしょうか?」
「え、は、はい……家に本部の人が来るって言うのは聞いたんですが、詳しい内容まではまだ……」
「…そうでしたか……わかりました。詳しいお話は道中の車内でお話します。時間も押しておりますので、どうぞお急ぎを」
―そうしてあやめは、秘書の上川さんに連れられリムジンで探索者協会本部へと向かっていた。
……お、落ち着かない……。
あやめはソワソワしていた。
人生初のリムジンデビュー。
豪華な車内は広々としており、まるで部屋そのものが移動している様だった。
しかし、窓際にはゴツい黒服のSP達が座っており、隣には美人会長秘書が座っている。
常人でも落ち着かないであろうこの密室で、陰キャでコミュ障なあやめがソワソワしない方が無理と言うものだった。
「それで、パンダヒーロー様……」
「は、はいぃぃぃぃ!?」
「…どうかなさいましたか?」
「あ、す、すみません……な、なんかこの雰囲気に慣れてなくて……」
「フフフ……」
すると秘書の上川さんが突然笑った。
「すみません……つい笑いが出てしまって。実は私、パンダヒーロー様の動画をずっと視聴しているのですが、実物も配信と同じなんだなと思ってしまって」
「そ、そうなんですか……え、い、今私の動画を視聴してるって……」
「はい。私、パンダヒーロー様の
パァー
あやめは上川さんのその笑顔に、心がそっと救われた気がしていた……。
「それでは、本題へと入らせて頂きますね。実は今回パンダヒーロー様をお迎えに上がったのは、
「か、会長直々にですか!?」
ま、まさかの探索者協会トップからのご指名だったとわ!?
い、一体こんな陰キャな私に、な、何の用事があるんだろう……。
「あ、あの……その、会長さんからのお話ってい、一体どんな内容なのでしょうか……?」
「申し訳ございません……実は私も会長からは詳しくお聞きしていないのですよ。ただ、何でも
―ゴクリ
極秘と言う言葉に思わず息を飲み込むあやめ。
ただでさえ、今あやめは世間から大注目され、人生最大のピンチと言っても過言では無いほどの状況下に置かれている。
それが、更に追い討ちをかける様に会長直々のお呼び出し。
…神様……何故この様な陰キャパンダに過酷な試練をお与えなさるのでしょうか―。
そして、そんなあやめを乗せたリムジンは探索者協会本部へと到着した。
★☆★☆
日本探索者協会本部……通称『レッドタワー』
300メートル以上の高さを誇る、探索者協会の赤き象徴のタワービル。
ここでは述べ数千人以上の協会職員が24時間常に交代制で日本中のダンジョンの管理と監視を行っている。
協会は出現したダンジョン内に高精度なドローンを定期的に飛ばしており、ダンジョンのモンスターの監視やモンスターに襲われダンジョン内で動けずにいる探索者の救助活動も行っていた。
そんな数千人以上の職員達を束ね、トップへと君臨するのが現在の会長である。
あやめは上川さんと共に、
「す、スケスケのエレベーターだ! 周りの景色が一望出来ちゃってるよ!!!」
「フフフ、凄いでしょ? 高所恐怖症の人には地獄でしょうけど、はじめてこのエレベーターに乗った人達はみんなパンダヒーロー様みたいに驚かれておりますよ」
チーンッ
エレベーターが最上階で止まった。
ドアが開くと、目の前にはとても広い造りの部屋になっており、豪華な家具の数々が配置されていた。
そして、見るからに高そうな迫力あるドラゴンの置物や花と観葉植物なども飾られていた。
さ、さすが会長室……見るからに部屋のオーラがす、凄すぎる!
そして、一番見晴らしの良い窓際の席で一人の女性が椅子に座っていた。
「会長……パンダヒーロー様をお連れ致しました」
「ご苦労だったな上川……さてと」
椅子から立ちあがり、パンダヒーローへとゆっくりと歩いてくる会長。
そして、その姿は美人な上川さんよりも更に美しい背の高い女性の姿だった。
「ようこそ探索者協会本部へ。私が会長の天野川だ……会えて嬉しいよ
—————————
あとがき。
最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!
【次回】会長からのある極秘の依頼とは!?
少しでも「主人公が可愛い!」「応援したい!」「面白い!」と思った方は、フォロー、★評価、レビューをして頂けますと作者の励みになりますので何卒。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます