#22 大注目されたけど……



 私パンダヒーローこと斎藤あやめは、現在とんでもない事態になっています―。



 西田さんへ金属スライムの欠片……もとい、塊を手渡したあやめだったのだが……その翌日、全国の探索者及びネット上に激震が走った。


 あの伝説の探索者の報道依頼の金属スライムの発見、及び探索者パンダヒーローのの金属スライムの武器の製造を企業が発表。


 これにより、日本中の探索者とネット住民……そして、メディアまでもがパンダヒーローへと注目したのだ。



 ―あやめの自宅前。



「パンダヒーローさん! お願いします、何か一言コメント下さい!!!」


「パンダヒーローさん! 金属スライムはどのダンジョンでどの様に発見されたのでしょうか!?」


「パンダヒーローさん! 日本初の金属スライムの武器製造について今の心境を一言どうぞ!!!」



 家の前に押し寄せるマスコミ達を、あやめの父親と母親が懸命に追い返そうと奮闘していた。


 当の本人のあやめは、カーテンを完全に閉め切って暗い部屋の中で布団を被りスマホを眺めていた。


 ネットのトップニュースに載り、デイリーニュースランキング1位には『パンダヒーロー 金属スライム発見!? 』の大見出し記事が掲載されていた。


 その影響で、あやめのパンダヒーローアカウントのフォロワー数は一気に50まで増加。

 更に、チャンネル登録者数もあっという間に20万人以上を突破し、10万人以上のチャンネルに送られる『銀の剣』も運営から贈られて来ていた。


 あやめのスマホには永遠に鳴り止む事のない通知の嵐が届いていた。


 そんな中であやめは、ある心境に陥っていた。



「…今私は、おそらく日本中の探索者の中で最も注目されている……この陰キャな私に、日本中の人達が注目しているんだ……」



 あやめはダンジョン配信をしようと決めた、最初のあの日を思い出していた。



「ダンジョン配信すれば、陰キャな私でも輝く事が出来るのかな?」



 その言葉通り、あやめは現在される探索者となった。

 だが、それはあやめが本来望んでいた輝けるとは全く違うものであった。



「わ、私が金属スライムを発見しちゃったせいで、お父さんとお母さんにとんだ迷惑をかけてしまった……マスコミに勝手に住所を特定され押し掛けられてるし……こんなのは私が望んでいたものじゃないよぉ……」



 ピロロロリン―ピロロロリン―



 あやめのスマホに着信が入った。

 相手は稲妻エルフからだった。



 ―エルフさん……。



「……はい、もしもし」


「あ、パンダちゃん!? なんかとんでもない騒ぎになってるけど大丈夫なの!?」


「……いえ、今マスコミが家に押し掛けてて……今、両親が私の代わりに対応してくれてるのですが……」


「あちゃー……それは大変だね。西田さんから連絡あって、物凄い謝罪してたよ? まさか企業の発表がこんな大事になるなんてって……パンダちゃんにも何度も連絡しても繋がらないって私に連絡あったから」


「…す、すみません。今、私のスマホ、めちゃくちゃいろんな通知が鳴り止まないくらいて……」


「だよね……あれ程のニュースになっちゃったから……あ、それでね? の人からも私に連絡あったんだけど、今日パンダちゃん家に協会の人が伺うみたいなんだけど……もしかしてその連絡も見てなかったりする?」


「……え、今日協会の人が家へ伺う……?」



 キィーッ!



 激しいブレーキ音がしたので、カーテンの隙間から覗いて見ると、家の前でなんと黒いリムジンが停車していた。


 車の中から数人のゴツい黒服のSPなる人達が出て来て、マスコミをあっという間に遠ざけていた。


 そして、ひとりの|がゆっくりと出て来た。

 その女性があやめの部屋に視線を向けると、目が合ったあやめはとっさにカーテンを閉めてしまった。



「…ま、まさか、あの人達がエルフさんの言っていた探索者協会の本部からのし、刺客……!?」



 ―コンコン



 部屋のドアをノックする音がした。



「…失礼します。日本探索者協会本部の者です。パンダヒーローこと、斎藤あやめ様でお間違いないでしょうか? 本日、探索者協会よりパンダヒーロー様をにあがりました」



 た、探索者協会本部からのお、お迎えだってぇぇぇぇぇ!?



 あやめはあまりの驚きに、通話中のスマホをその場に落とした―。



「もしもし? パンダちゃん? パンダちゃーん!!!」




 —————————

 あとがき。

 最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!


【次回】あやめ、初の探索者協会本部へ……


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