#21 ヒビ割れた剣、そして土下座
―翌日。
パンダヒーロー
「エルフさんご相談したい事があります……」
稲妻エルフ
「あ、パンダちゃん! どうしたの?」
パンダヒーロー
「じ、実は、昨日ダンジョンをひとりで攻略してたんですが……」
稲妻エルフ
「うんうん。それで? もしかして、何かあったの?」
パンダヒーロー
「……白竜の剣、ヒビ入っちゃいました」
てへぺろ(スタンプ)
稲妻エルフ
「…………え?」
驚愕(スタンプ)
「とりあえずムンバに集合!!!」
「西田さんには私から連絡しておくから!」
パンダヒーロー
ム○クの叫び(スタンプ)
―あやめはスマホのアプリをそっと閉じた……。
「…私、
★☆★☆
―ムーンバックスにて。
稲妻エルフこと新妻らいかと、企業案件でお世話になった西田さんを目の前に、あやめは店内で
あやめのその姿に他の客達の視線が集まっていた。
「お、お客様!? 店内でその様な事は……」
ムンバの店員さんが慌てながら三人の元へ駆け寄って来た。
「す、すみません! ほら、パンダちゃん! 早く頭を上げてよ! 店員さんも困ってるよ!?」
「そ、そうよあやめちゃん! らいかちゃんの言う通りに……ね? それに、ほら私何も怒ってないから!」
顔を上げるあやめは号泣していた。
テーブルの上には、見事にヒビの入った白竜の剣がひっそりと置かれていた……。
―あやめはなんとか土下座を止め、半べそをかきながら向かいのソファーへと座っていた。
「…なるほどね。じゃあ、あやめちゃんがその深層のボスを斬ったら、白竜の剣にヒビが入っちゃったのね?」
「……は、はい……」
「んー、でも白竜の剣にヒビが入っちゃうなんてよっぽど強いか硬いモンスターだったのかな? 普通白竜の剣にヒビなんて入りませんよね?」
「そうねぇ……でも、それ程硬いモンスターなんて今まで聞いた事もないわ。あやめちゃん、そのモンスターはどんな姿だったの?」
「そ、それがですね……」
―ドンッ!
あやめはリュックサックをテーブルの上へと置いた。
明らかに中身が大きく、そしてその重みにエルフと西田さんは驚いた表情をしていた。
「ぱ、パンダちゃん。一体この中に何が入ってるの……?」
「は、はい……実は、そのモンスターを倒した時にドロップした物なんですが……」
ギィー
リュックサックを開くと、そこには巨大な
「こ、これは……」
「わ、私もはじめて遭遇したんですけど、
あやめは再び西田さんへと頭を下げた。
「す、すみませんでした西田さん! こ、これお金になるか分かりませんが、ど、どどどどうか白竜の剣の修理代にして下さい! の、残りは私が必ずべ、弁償致しますので!!!」
しかし、西田さんはずっと目の前の塊を見つめたまま黙っていた。
「あ、あやめちゃん? さっき鋼色のスライムって言ってたわよね……もしかしてけっこう倒しちゃったとか?」
「え、は、はい……全部の数は覚えてないですが、最後のは三十匹くらいが合体してたのでそれ以上は……」
―ドサッ
西田さんは立ちくらみを起こして椅子へもたれかかってしまった。
「……なんて事、あやめちゃん……そのスライムは
「き、金属スライムですか!?」
エルフが驚いた声を上げた。
「あやめちゃん、さっき白竜の剣の弁償代って言ったわよね? とんでもないわ……これ程の金属スライムの塊なんて数千万……いえ、
「ご、ごごごご五千万!?」
あまりの金額にあやめの目がグルグル回ってしまった。
「ちょ、ちょっと待って。確か金属スライムって昔一気に強くなったって言う探索者で話題になりましたよね? パンダちゃんそのスライムを三十匹以上倒したって事は……」
「もちろん、それだけ
すると今度はエルフが立ちくらみを起こして椅子へもたれかかってしまった。
「…でも、これは奇跡だわ。その探索者以降誰も見つける事の出来なかった金属スライムを見つけ、更にこれ程貴重な欠片を塊でドロップするなんて……大事件よこれは!?」
「そ、そんなにですか……」
何やら自分が考えていたよりも大変な事になってしまったことに、あやめはアタフタしていた。
「あやめちゃん、白竜の剣の事は何も気にしなくていいわ。その代わりと言ってはなんだけど、是非この金属スライムの塊を私の企業に
「……え?」
「もちろん、さっきも言った通りこの塊には五千万円以上の値打ちと価値がある。なので私からあなたに提案があるの!」
「て、提案ですか……?」
「えぇ、あやめちゃん……いえ、パンダヒーローさん! この金属スライムの塊で、あなたの
—————————
あとがき。
最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!
【次回】あやめが世間から大注目!?
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