#20 秘技・ストレス発散斬
私パンダヒーローこと斎藤あやめは、深層でなんと合体し変身した巨大スライムに現在苦戦しています―。
「…こ、このままだといつか押し潰されてしまう……し、仕方ないけど
―それは、まだあやめが探索者を目指して日々努力していた頃。
「お! あやめ、今日も頑張ってるみたいだね!」
「…お父さん」
元探索者であり、剣士だった父はあやめの鍛錬によく付き合ってくれていた。
「どうだい? 剣を振るうのには大分慣れて来たかい?」
「うん! 最初は重くて全然振れなかったけど、今はかなり振れる様になって来たよ!」
「そっかそっか。まぁそれはお父さんのお古だからなぁ……本来なら、もっと軽くて女性用の剣があやめには合ってるんだろうけど……」
「ううん、私お父さんから貰ったこの剣で探索者になるんだ! だから、この剣か良いの!」
「うぅ……我が娘よ。父は今猛烈に感動しているぞ……よし、今日は特別だ! あやめに、父からの
「…え、必殺技?」
すると父は、あやめから剣を手に取るとゆっくりと剣を構えた……。
フーッ
「よくも俺の大好物のプリンを食べたな!? 我が妻めっ!!!」
―ブンッ!!!
父が奮った剣は、物凄い威力の剣圧を巻き起こした。
「…す、凄いよお父さん! これが必殺技なの!?」
「あぁそうだあやめ。これはな、怒りを剣に全て込めて放つ技―名付けて、秘技・
「ストレス……発散斬……?」
父はあやめの肩に手を置き、持っていた剣を手渡して語った。
「いいかいあやめ……怒りっていうのはとてつもない力を発揮させるんだ。自分が日々溜め込んでいる
「…お父さんは普段からそんなにストレスを溜め込んでいるの?」
「あやめ……大人になればストレスを溜め込む事なんて日常茶飯事なんだよ。俺もこの歳になって、自分でも気づかないうちに膨大なストレスをいつの間にか溜め込んでしまった……特に、お前の母さんからはな―」
「私が何ですって……?」
「うげぇ!?」
ニコやかな顔をしながら、あやめの母が庭へと出て来ていた。
「…あなたがそんなにストレスを溜め込んでいたなんて、私知らなかったわ……それならそうと遠慮せず私に話してくれればいいのに」
「…ち、違うんだよ母さん……こ、これは今あやめに必殺技を伝授しようとしていて……その秘訣をだな……」
「そうなの? でもやっぱりストレスを溜め込むのは体によくないわ……さぁ、こっちへいらっしゃい……あなたの気の済むまでストレスを発散していいわよ?」
母は父の首根っこを掴みながら、家の中へと入っていた―。
―あやめは昔の事を思い出しながら、巨大な金属スライムの前で剣を構えていた。
「…お父さんが私に教えてくれた、ストレス発散斬……一生使う機会は無いと思ってたけど、このスライムを斬るにはこの必殺技を今使うしかない……!」
あやめは剣にストレスを注ぎ込んだ。
日々の怒り……そして日々のストレス……特にカメラを壊された絶望をめいいっぱい思い出した。
「―よし、これなら斬れる!」
あやめは思いっきり剣を巨大金属スライムへと振るった。
―秘技・ストレス発散斬!
ギィーン
しかし、あやめのストレス発散斬は巨大金属スライムに弾かれてしまった……。
「―くっ、今までより一番手応えはあったのに……それでもまだ斬れないの!?」
距離を取ったあやめは、もう一度剣を構える。
「…な、なんでだろう……ストレスは十分込めたはずなんだけどなぁ……もしかして、まだ私の怒りが足りてないのかも?」
あやめは再び剣にストレスを溜め込んだ。
私のストレス……私の怒り……あれ、私の怒りってなんだろ……何に私は一番怒ってるんだ!?
集中力が切れかかっているあやめに、巨大金属スライムはまた空高く飛び跳ねた。
早く……早く……早く何か、何でもいいから怒らないと間に合わないよー!?
するとあやめは
―あれ? そう言えば、私がこの前買ったコンビニの期間限定の夕張メロンパンの
あやめはよーくメロンパンに書かれた日付を思い出そうとしていた。
消費期限、昨日まで。
「消費期限切れてるじゃんかあぁぁぁぁ!!!」
―ズバッ!!!
あやめ目掛けて勢いよく落下して来た巨大金属スライムを、ストレス発散斬は真っ二つに斬り裂いていた。
ボドッ!
消滅した巨大金属スライムから、今までで一番大きい鋼色の欠片がドロップした。
―ビキッ
と、同時に白竜の剣に
—————————
あとがき。
最後までご高覧頂きまして、ありがとうございます!
【次回】あやめ、土下座する
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