いけいけ勇者様33

最上司叉

第1話

そして俺は懸賞首の魔物を求めて酒場にきていた。


俺はチラシを見ながらため息をついていた。


「どれもこれもイマイチだな」


今までの俺は街の人から依頼を受けて魔物退治をしていた。


お礼のお代も懸賞首よりずっと安かった。


お代は問題じゃなくて人の為に役に立っているという自信があった。


だが今の俺は強さを求めすぎていた。


いつまでも魔王に頼ってばかりいられない。


俺は魔王と対等になりたかったのだ。


ふとチラシをめくる指が止まった。


「これは…」


「ほほう、懸賞首5000万か」


「そやつは余りオススメできんのう」


「!!」


振り返るとドラゴンの女がいた。


「何故いる?」


「なに気にするでない」


「そんなことはどうでもいい、なぜダメなんだ?」


「なに戦ってみればわかるかのう」


「?」


「ダメと言ったり戦えと言ったり」


「お主妾の言うこと聞かんじゃろう?」


「まぁそうだが」


「案内してやるかのう」


「いいのか?」


「今回だけ特別じゃ」


「ありがとう」



そして今俺は懸賞首5000万の魔物と対峙している。


「?」


ドラゴンの女はオススメできないと言っていたがどこから見ても普通の魔物だ。


俺は早速魔物に攻撃する。


俺の攻撃が当たる瞬間魔物は人間の女の声で叫び声をあげた。


「!!」


俺は一瞬躊躇ってしまった。


とそこへ魔物の攻撃が俺の腹に入った。


俺はぶっ飛ばされ空を見上げていた。


「っ?!」


なんとか俺は立ち上がった。


俺は腹を見た。


鎧はボロボロに砕かれていた。


「そういうことか」


俺はドラゴンの女が言っていたことを理解した。


俺は気合いを入れ直し剣を構える。


さっきは油断したが今度はそうはいくかと俺は思い再び魔物に攻撃する。


魔物自体はそんなに強くない。


動きも攻撃もあの賞金首3000万には敵わない。


俺は魔物をあとはトドメを刺すだけのところにまで追い込んだ。


魔物は必死に命乞いを人間の女の声ではじめた。


「ごめんな…さい…許し…てく…ださい…も…う…人間を…ころ…」


俺は最後まで聞くことはなくトドメを刺した。


この魔物は同じことを他の討伐者に言い殺してきたに違いない。


俺は怒りが込み上げてきていた。


「終わりかのう?」


「あぁ」


「だからオススメできんと言うたじゃろ?」


「あぁ、そうだな」


「では街に帰るとするかのう」


「頼む」


ドラゴンの女は姿をドラゴンに変えて背に俺と退治した魔物を乗せて飛び立った。


正直あと味の悪い仕事だ。


だが誰かがやらなければ犠牲者が増える一方だ。


そして翌日俺はドラゴンの女にある依頼をされることになる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いけいけ勇者様33 最上司叉 @moemee

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説