第4話
俺が連れていかれたのはどこかの高層ビルだった。どうやら俺がうとうととしているうちに着いてしまったようだ。
「ここよ。歩ける?」
「あ、はい。大丈夫です。」
もうお姫様抱っこはごめんだ。ほんとに恥ずかしかった。ていうか別に歩けなかったわけじゃないし。
ビルの中に入り、エレベーターに乗る。どうやら目的地は最上階らしい。
「なんであんな事になってたのか話してくれる?」
「あ、えっと、覚えてない…です。気がついたらあーなってて。」
その時、チーンという音が鳴りエレベーターから降りてまた歩きだす。そしてやたら豪華な装飾が施された扉の前で止まる。
少女は扉をガチャリと開けた。
「局長、失礼します。」
扉の奥には優しい顔をした女性の姿があった。
「敬語はいらないよ。さてその子はどうしたんだい?」
「恐らく新しい魔法少女かと。」
「そうか。所で……」
そこから長々と局長さんの話が続いた。内容は覚えてないがあんまり俺には関係なさそうな話だったし別にいいか。
「あ、そうだ。えっと…君、名前は?」
ぼーっとしてたら局長さんが尋ねてきた。
「えー…あれ…?なんだっけ?」
「どうしたのよ。ボケるにはまだ早いでしょ?」
ボケた…とかではない、と思う。だがどうしても思い出せない。
「うーん…困ったね。とりあえず一旦魔法少女として諸々の手続きを済ませておかなくちゃいけないんだけど…。さてと、沙良ちゃん。とりあえず寮に連れて行ってあげてくれない?」
「あ、はい。分かりまし…分かったわ局長。」
そう言って俺たちは部屋を後にした…。この人の名前、紗良さんって言うのか。
◆◇◆
あれから数十分。すっかり日は落ちていた。部活の合宿所みたいな所に連れてこられた俺は紗良さんとすこし格闘していた。
「お風呂に入りなさい…!」
「嫌ですっ!」
俺はあくまで健全な男子高校生なのだ。自分の裸とはいえ女の子の裸なんぞ見たくない。
騒音を聞き付けてか、数人の少女が俺たちのことを見ていた。
「いいからお風呂に入るのよ!服とかも魔物の血でベタベタだし早くっ!」
そんな問答を続けていると後ろからがっしりと誰かに掴まれる。俺の力が弱いのか俺を掴んだ奴の力が強いのか分からないがもがいても全く抜け出せない。
「新入りちゃん。抵抗しても無駄だよー。何が何だか分からないけどお風呂には入らなくっちゃね。お姉さんがキレイキレイしてあげよっかー?」
耳元で囁かれると、急にふっと力が入らなくなって動けなくなる。されるがままに服を剥ぎ取られてそのまま風呂に入れられる。
「紗良ちゃん。だめだよ無理やりじゃ。」
「魔法を使った奴が何言ってんのよ。」
耳元で囁いてきた人に髪の毛を洗われながら後ろの2人の会話を聞く。先ほどよりかは少しマシになったがまだ体は痺れていて逃げ出すのは無理だろう。せめて男の俺を忘れないようにしないと…。
「んじゃ今から体を洗うねー。」
あ"、さよなら男の俺。
◆◇◆
この後、女物のパンツを履かされて女の子向けのパジャマを着せられたのは言うまでもない。俺の尊厳はもうズタボロだ。
やっぱこの世界クソだわ…もうやだ。
呪いのTS魔法少女さん @yuyu_yu4696
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