第2話 お前にはやらん

自分は冷静に状況判断ができているがクラスメイトたちは、いきなり知らない場所にいるので騒いでいる。


「しかし、何で学校に居たクラスメイトと自宅に居た俺が同じ場所に召喚されたんだ?」


「奏くん。何でいるの?落ち着いているけど状況がわかっているの?」


幼馴染の秋本楓が奏に気づきそう話しかけてきた。


「別の場所に居たみんなと俺が同じ場所にいる理由はわからないがここが何処で俺たちのおかれている状況はわかる」


なんせ。ここは俺が前々世、前世で生きていた世界だからな。

それに今いる場所は、前世で生活していた城だしな。


「ここはどこなの?」


「ここは異世界でインバレッド王国の王城だ。

俺たちは異世界召喚されたようだ」


「異世界召喚か。ラノベみたいだね。私達は魔王とか倒す為に召喚されたのかな?」


楓は、異世界モノのラノベが好きだし、信じてくれているかわからないが俺が異世界転生者だって話もしたこともある。


前世で俺はこの国の王太子で勇者であった。

魔王と相打ちで死んじまったけどな。


魔王討伐の為に召喚されたのならまた新たな魔王が誕生したのか?


でも前世で俺が勇者として魔王討伐したようにこの国は召喚してこの世界に無関係な異世界人に自分たちの世界の危機をどうにかしてもらうなんて考えはない国だったはずだが……

神からの神託でもあったのか……


「俺たちが魔王討伐の為に召喚されたのかはわからん。

ただあそこにいる人が説明してくれるだろうよ」


俺は豪華な装飾が施された椅子に座っている王冠をかぶっている前世の父親である国王に目を向けながらそう言った。


「ここはどこなんだよ。偉そうにしているお前ら!!お前らが原因なんだろう。説明しろう」


楓と話しているとクラスのリーダー格で腕っぷしに自身があり、チャラく自分が中心にいないと気がすまないいけ好かない東堂創が国王たちに向かってそう叫んだ。


おいおい。ここは地球の平和な日本じゃないんだぞ。


この世界は地球に比べて人の命が軽い。


国王たちが訳あって召喚したとはいえ、国王に向かってそんな口の聞き方したら殺されるぞ。


東堂は気づいてないようだが騎士たちが剣に手掛けて今にも抜こうとしているぞ。

いけ好かないから東堂がどうなろうと構いはしないけどよ。


国王に対しての不敬な態度に剣を抜いて叩き斬ろうとする騎士たちを止めてから国王がこちらに話しかけてきた。


「いきなり知らぬ場所に来て困惑しているだろうし、そなたらの世界とは違うのだろうから私に対しての不敬な態度は今この場にいる間だけは咎めはせん」


「何だよ。偉そうな喋り方しねえでさっさと説明しろよ」


今この場は咎めないと言っているんだよ東堂。

ずっとその態度だと人生終わるよ。

偉そうにしているって国王なんだから偉いんだよ。

まだ名乗ってないから国王だってわかっていないにしても雰囲気で察しろよ。


国王が指示しなくても耐え兼ねた騎士たちに斬られる可能性もあるしね。


「落ち着いて聞いてくれ、私はインバレッド王国の国王ラナッシュ・フォン・インバレッドだ。

ここは異世界で訳あって召喚させてもらった……」


「おお!異世界召喚ってやつか。魔王を倒す為に俺たちを召喚したってことか。

魔王倒してやるから倒したらそこにいる美人と結婚させろ。この国の王女なんだろう」


『……』


東堂以外のクラスメイトも含めたその場にいる者たちは東堂の発言に微妙な顔して黙ったままでいる。


「俺はこの世界とは関係ない異世界から召喚された勇者なんだから当然の権利だよな。

異世界勇者と王女の結婚は定番だからな」


東堂は国王から話を遮って1人盛り上がって話し始めた。

誰も魔王討伐のために召喚したやお前が勇者だと説明してもいないのに……


「貴様!何を勝手な事をほざいている」


あぁ……この場にいる者たちは皆、同じ気持ちだろうが国王派の貴族の1人がキレてそう叫んだ。

確かマクスベル侯爵だな。


「まぁまぁマクスベル侯爵。いいじゃないですか。

彼らを召喚した理由は魔王討伐ではないですが、彼らはこの世界にない知識や技術を持っているんです。

マリアンヌ王女と結婚させれば、彼の世界の知識や技術でインバレッド王国はさらなる繁栄に繋がるかもしれませんぞ」


東堂の王女との結婚させろ発言に賛成する貴族が現れた。


確か貴族派の悪い噂がある数多くあるが証拠が見つからず処罰できないでいる厄介なやつビチョグリフ侯爵だったか。


「「何勝手に話を勧めているんだ。マリアンヌの結婚をお前たちが決めるんだじゃない」」


国王と俺は同時にそう言った。


ビチョグリフ侯爵としては、王太子だった前世の俺が死んで国王にはマリアンヌしか子がいない。

だから東堂をマリアンヌと結婚させ国を自分の好きなようにしたいという思惑があるのだろう。


「まだ説明の途中だ。話を聞かんか。それからそこの者、私も同意だが何故マリアンヌの結婚に反対するのだ」


国王と同時に同じ言葉を発した俺に国王が問うてきた。


信じてくれるかわからんし、厄介事に巻き込まれる可能性も高いが話してみるか。


「私はこの世界にあなた達によって召喚されましたが、私はこのインバレッド王国で生きたという記憶を持ったまま生まれてきたいわゆる転生者ってやつです……」


「なるほどの。だがマリアンヌの結婚に反対した理由にはならんぞ。

マリアンヌに惚れていて夢半ばで死んだ者ということか?」


まぁ、自分たちは異世界召喚したのだし、転生者の話はこの世界でなかったわけではないので信じてくれたようだ。


しかし国王は勘違いしてマリアンヌに惚れていたかま夢半ばで死んだ者が転生したと解釈したのか勝手に……

国王あなたも最後まで話を聞きましょうよ。


「違いますよ。前世での大事な妹を東堂ごときにくれてやりたくないですし、ビチョグリフ侯爵の思惑通りにさせたくないだけですよ。父上」


「貴様!私の思惑とはなんだ!私が悪巧みしていると言っているのか。

英雄である勇者であったマルクス王太子の名を騙るなど許せん!儂が叩き斬ってやる」


前世のしたはマルクス本人だし、国王を父上と呼んだがまだマルクスだとは名乗っていない。

それにでっぷり太ったビチョグリフ侯爵に斬られるなんてことはあり得ない。


なんせ俺はこの世界に召喚されて前々世の賢者だった時と前世の勇者だった時のステータスが復活したのだからな。


「お主がマルクスだったという証拠はあるのか?」


国王がビチョグリフ侯爵の発言を無視して問うてた。


「そうですね……母上。王妃殿下に知られることになってもいいのであれば証明できますよ」


「……」


国王が黙ったまま考え込んだ。


「貴様!国王陛下を脅すのか。証明できんから国王陛下を困らせるという魂胆か」


証明できなきゃ嘘になるんだから国王を困らせるだけでなんの意味もないだろうが、本当にビチョグリフ侯爵は証拠を出さないように色々小細工する狡猾な貴族なのか?


貴族派の周りの貴族が優秀なのではという気がしてきた。


いくら優秀でも自分たちだけが美味しい思いをしようと考えている権力を貪りしがみつく腐敗しいた貴族は国を破滅させるのでいらないけどな。


そういう貴族は私服を肥やすためでなく能力的には優秀なんだから国のため民の為に働いてくれればいいのにな。
















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異世界召喚ははじめてです。 紅 蓮也 @-T2Ya-

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