異世界召喚ははじめてです。
紅 蓮也
第1話 異世界召喚されました
「奏でいつまで寝ているんだい。今日から学校だろう」
「まだ暑いから夏だ。だからまだ夏休みだ」
夏休みも終わり今日から新学期が始まるらしい。
だが俺は学校に行く気はない。
「何言っているんだい。母さんは仕事行くけどちゃんと学校に行くんだよ。サボんじゃないよ」
見た目は超美人なのに言葉使いが粗暴な残念アラフォー女な母である。
「誰が残念アラフォーだって!!」
「痛てぇな」
何故思っていることがわかったんだよ。
「息子の思っていることなんて母親ならわかるだよ」
嘘だろう。ここは魔法がある世界じゃないんだから人の心を読むなんてできるわけがない。
「それができるんだよ。今まで話したことなかったけどなんたって母さんは異世界転移経験者だからね」
それこそ嘘だね。異世界に転移した者は元の世界に戻れないってのはお決まりじゃないか。
「死んだ父さんが異界渡りの魔法を習得したからね。帰って来れたんだよ。
この世界に来て魔法は使えなくなったけど、母さんだけは人の心を読み魔法だけ使えるままだったんだよ」
マジかよ!!じゃあ俺が異世界転生者だってバレてたりするんかな。
まぁ、正確には1回目の生は地球、2回目、3回目が魔法がある異世界、4回目の今は神様に頼んで地球に転生させてもらったんだけどな。
「奏が転生者だろうと父さんと母さんの息子には違いないんだ。
そんなん気にしてないでちゃんと学校に行きなよ。
行ってなかったらゲンコツくらわすからね」
マジかよ。母さんのゲンコツ痛いんだよな……
美人で痩せているのに見た目に反してゲンコツやパンチは重くて痛い。
「私のパンチが痛いのは異世界で魔法は使えなくなったが身につけたステータスはそのままだからだね」
いやいや……俺は魔法の無い世界に転生しだけど身体強化の魔法だけは使えるままなんだよ。
だから母さんからゲンコツくらうときも身体強化して物理攻撃耐性上げているからノーダメージのはずなのにめちゃくちゃ痛いし、タンコブができる。ありえないだろう。
「もうこんな時間じゃないか。遅刻しちまうよ。じゃあ行ってくるよ」
そう言って母さんは慌てて出ていった。
「何すっかな。とりあえず寝るか」
奏では、まったく学校に行く気がなかった。
「よく寝た。今何時だ?」
スマホで時間を確認したらまだ午前9時だった。
「2時間しか寝てなかったのか。その割には体がスッキリしているな。なななんだ……」
突然、眩しい光に包まれた。
「何だったんだ」
光がおさまり周りを見渡すとそこは自分の部屋ではなかった。
居るはずもない学校のクラスメイトたちがおり、更に自分が今いる場所に見覚えがあった。
「マジかよ。母さんがあんな事を話したから異世界召喚されたわけではないだろう。
まぁ、知らない場所ではないし、母さんから怒られる心配がなくなったからいっか」
奏はすごく楽観的に現状を認識した。
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