❼喧嘩の上にケンカ

「いい加減にせえ、ちゅうねん!!」


ショルビーがまたもクランクに手を出そうとするのを、ベレドンが壁になって抑えこみます。


「お前は関係ねえんだよ!」


「クランクが何か悪いことしたんか!? 言うてみい!」


「ムカつくんだよ、こいつがしゃべると!!」


ショルビーはその勢いのまま、ベレドンにつかみかかりました。しかし、ベレドンの屈強な肉体は、線の細いショルビーの腕力など物ともしません。

彼は張り手1つで跳ね返され、呆気なく床に叩きつけられてしまいました。


「邪魔すんなよ!!」


「もうやめな、って!」


見かねたリルウまで喧嘩の塊に割り込み、強烈な不協和音だけが個室全体に響いていきました。


そこへ殴り込んできたのが、フロウガンでした。

勢いよくドアを開けたかと思えば、振り返って呆気に取られているみんなに構わず、


「リルウ!!」


と一喝しました。


「……何?」


「教えろよ」


「何を?」


「ミリキアからLINEが来てた。ボーカルはフェリがやる、フェリの歌声が選ばれたってな」


「……そうだけど?」


「なんで俺じゃねぇんだよ!?」


フロウガンは脇にあったイスを足の裏で蹴り飛ばしました。ショルビーからも攻撃を受けたそのイスは、とうとう背もたれにヒビが入ってしまいました。

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ピンチシンガー 盛 企 @moritakumi34

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