良夜 🌔

上月くるを

良夜 🌔



合流に鷺ひとつ置く夕月夜

音楽と月とネオンの街の川


すつぽんと躍り出たる望の月

ぐんぐんと昇る満月ビルの空


盛り塩や添水そふづことんと月あかり

バーの扉にサイドカーてふ良夜かな


満月や凛とつぶらな仔鹿の目

月照らす栗鼠の巣穴を一瞬に


惣構へ城のいくさや萩の月

山城の姫の仰げるけふの月


十六夜の木の間隠れに出にけり

立待の名こそゆかしく昇り来ぬ


座布団の縁をなぞれる居待月

あふむけにあふぐ天窓寝待月


諦めを悟りし後の二十日月

犬猫のねごとや二十三夜月


宵闇や山頂ほのと明るめり

月恋の唄かそけしや月の雨


床の間の中古のアコギ良夜かな

小窓から月がおとなふ独居の夜




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