第59話 美少女生着替え part3
「あっと言わせる、だって。どんなエロい水着を着てくるつもりかな?」
「エロいのは前提なのか」
萬木の頭の中はお花畑らしい。しかもピンク色の。
言っておくけど、萬木のブラジリアンビキニだって相当エロいからね。初めて見たけど、布面積どうなってんのってくらい少ないぞ。
テントの向こう側で着替えている音に聞き耳を立てていると、九条が口を開いた。
「氷室くんは、どんな水着を着てくるか聞いてるの?」
「いや。聞いても教えてくれなかった」
「ふーん……どうしよう。公序良俗に反する水着の予感」
「心配性だな。さすがにそれはないって」
……ないよな? いくら奏多でも、それくらいは考えてるだろう。
九条の心配が伝染して、俺まで心配になってきた。そわそわ。
待つこと数分。テントの中から「よし」と言う声が聞こえて来た。準備が出来たんだろうか。
「お待たせしました。火咲奏多ちゃん、入場ですっ」
みんなの注目がテントに注がれる中、テントのチャックが思い切り開かれ──水着を披露した。
胸から股下、そして反対側の胸に向かってV字に伸びる、一本の白い布。
V字水着と言う表現が正しいのかわからないが、少し動いたらいろんなものが零れ落ちそうなほど際どい。というか、横乳がはみ出しまくっている。
布面積で言えば、萬木のブラジリアンビキニより多いのに……エロい。さすがにダメだろう、これは。
さっきまでみんなの水着に感想を言っていたみんなも、奏多の水着を見て唖然としていた。
そりゃそうか。こんなの、下手すれば水着じゃなくて、ただの紐だもんな。
「ふっふっふ。言葉もでないみたいだね、みんな。まあ、美しすぎるぼくが水着を着たら、ざっとこんなもんよ」
どうやら俺たちから声が出ないのを、好意的に解釈したらしい。まあ、うん。ある意味言葉もでねーよ。
「よくそんなもの売ってたな……」
「ママにアメリカから送ってもらった」
さすが自由の国。なんでも揃ってやがる。
男友達としては、眼福以外の何物でもない。が、彼氏からしたらダメだ。アウトオブアウト。
と、いち早く復活した九条が咳払いをした。
「こほん。えー、彼氏の氷室くん。ご感想をどうぞ」
「着替えてください」
「Why!?!?」
ビックリしてることにビックリだわ。
さすがに納得いかないのか、英語で抗議してくる。やめろ、身振り手振りのせいで胸が揺れすぎてるから。他の男の視線を釘付けにしちゃってるから。
小さく嘆息すると、奏多の後ろを指さす。
「奏多。後ろ、後ろ」
「え?」
振り返った先にいる、ライフセーバーのお姉さん。
どこからか赤いカードを取り出し、苦笑いを浮かべて突き出した。
「すみません。際どすぎる水着はちょっと……」
「しょんな……Why Japanese people……」
それ、リアルに言ってる人初めて見た。
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