第10話
蝶弔の拠点近くに移動した時。
何処か、騒乱の様な音が響いていた。
「戦っているのか?」
俺は瞬時に察すると共に走り出す。
葬儀屋の建物の前に、複数の人間が戦っていた。
紫色の特攻服を着込んだ輩が、禍遺物を所持して戦っている。
「『
鬼と呼ばれる魔物を倒すと回収出来る禍遺物を、紫色の特攻服を着込んだ輩が所持していた。
効果は肉体強化、呪詛は思考能力の低下、だったか。
使えば使う程に知能が低下するので、自然と脳筋御用達の武器だと認識している。
その大勢に対して、三人の女性が戦っていた。
多数の鬼棍棒を所持している相手を攻撃している。
黒髪に紫のメッシュを入れた女性の姿が其処にある。
口を開くと鮫の様な牙が見えていた。
「しゃはッ」
笑いながら、手に所持している巨大な鎌を振るう。
その斬撃を、銀髪の女性が攻撃を立つと攻撃を止める。
手袋を装着したその女性に対して、鮫の牙を持つ女性が止まる。
攻撃を忌避したと言う訳では無い、攻撃を止められたのだ。
「お姉様、お辞め下さい」
その言葉と共に、彼女の指がピクリと動く。
すると、彼女の周辺に複数の線が見えた。
透明な糸、それは手袋を装着した女性の手袋から生えている。
「なんだぁ?!離せよ、おいィ!」
奥歯を噛み締めながら、黒髪の女性が叫んでいた。
身体を動かそうとするが、段々と糸が肉体に食い込んでいた。
「一人は残して置かなければ、相手の組織が何処に居るか、分からないではありませんか」
銀髪の女性がそう言うと、指を動かして糸が動く。
すると、黒髪の女性を縛る糸が動き出して、黒髪の女性が後退した。
「ふざけんなァ!全員死体だぁ!琴世が決めた、今きめたのにィ!」
叫びながら、黒髪の女性がそれでも下がっている。
相変わらずの姉妹仲と言った所だろうか。
「久し振りだな…」
銀髪の女性の方を見た。
彼女の名前は
先程の糸は、彼女の所持している禍遺物、『
その腰元に携えているくまのぬいぐるみは、呪詛の影響から身を守る為の禍遺物である。
俺が声を掛けると、二人は俺の方を見た。
「仁郎さん」
音調津鳴世が俺の名前を口にしたと同時に、透明な糸を解除した。
すると、自由になる黒髪の女性は、大鎌を構えた状態で敵を見据える。
「敵、敵ッ…ヴあッ!?」
既に、周辺に居た者たちは地面に転がっている。
どうやら、拘束されていた隙に倒されてしまったらしい。
足技を使い、敵を蹴り殺す、セミロングの少女によって、だ。
「よう」
俺は、三姉妹に挨拶を行った。
長女、黒髪に紫メッシュを入れた女性の音調津
次女、銀色の髪を纏め、シニヨンにした女性の音調津
そして三女、全身が人形の様な姿に変貌した女性、音調津
葬儀屋・蝶弔の三姉妹であった。
ダンジョンで現地妻を組織ごとに作っていた主人公はヒロインたちの修羅場でも興奮を禁じ得ない。 三流木青二斎無一門 @itisyou
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