大神書法改

大神書法の問題点があった。


<例文>

背中が痒い。


トントンと響く音が寒さを感じさせる六限目。教師は相変わらず、わけのわからない方程式を黒板に刻んでいる。

真面目に授業を聞くメガネや、構うことなく眠っている陽キャ、外を眺めている坊主など、それぞれこの長い時間を過ごしていた。

授業というのは黙って座っていればいい。それが究極的な答えだ。出席日数と赤点を回避さえできれば卒業できる。

だからわざわざ眠っている人を起こしたり、ましてや起こすために背中をシャーペンで突いていくなんてことは――――――――しなくていいはずだ。


ただ俺の後ろの席にいるソレはその意味がよくわかっていないらしい。


ああ背中が痒い。凄く痒い。

もう起きているのにまだまだ突いてくる。てかそもそも最近は起きていても関係なしに刺してくる。


授業が始まり俺は眠り、天音は俺を突き、俺はしばらく耐え、天音はさらに強く刺し、俺は目を覚ます。そしたら刺すのはやめる。

そういう約束じゃなかったのかよ。なんでまだ刺すんだ。これじゃ起きた意味ないだろ。


ただ俺はそのことを天音に言わない。もしもこの痒みがただの悪ふざけだと知らされたら抑えきれない怒りに天音を思い切り罵ってしまう気がしたからだ。

そう、その末にはそのゴリラ拳に吹き飛ばされるという理不尽が待っている。命の危険があるから俺は言い出せない。


が最近、どうせ俺は天音に殴り飛ばされるしかないということに気が付いた。

何してもボコボコにされる。それならもう言いたいことを言う。

天音に逆らってやる――――――――俺は震える拳を握りしめて後ろを振り返った。

「……あれ?」

「どうかしたの?」

ピンク色のシャーペンはノートに方程式を書いていた。

天音は何ともない顔で俺を覗いている。

そんな馬鹿な。

「天音って超能力使えるのか?」

「なんでそうなるの?」

「いや、そうでもなければ――――ん?」

天音の手にはシャーペンが握られている。あの握力に耐える頑丈なシャーペンが握られている。なのにどうしてだろう。

「痒い」

背中が痒い。とても痒い。前の席の人が何かした様子もないし、目の前にいる天音が俺の背中を突けるわけもない。

「痒い? さっきからどうしたの?」

天音は犯人だと疑うような目つきで俺を見ている。むしろ容疑者は天音なのだが。

俺はその視線をそっくりそのまま返した。すると天音はさらに顔を顰めていく。

ヤバい、怒ってる。いや、逆切れだろ。

―――――


地の文の間にできる空白は一個の区切り、段落的役割をする。

しかし会話文が含まれるとその空白が目立ち、読みにくい。読むスピードが変わる。

この手法では会話文と地の文が統一できず、分離されてしまう。


元々私は地の文の間に会話を入れることでその空白を消していた。

よくそのときは「……」を使って間を入れた。


<例、元々の>

ただ俺はそのことを天音に言わない。もしもこの痒みがただの悪ふざけだと知らされたら抑えきれない怒りに天音を思い切り罵ってしまう気がしたからだ。

そう、その末にはそのゴリラ拳に吹き飛ばされるという理不尽が待っている。命の危険があるから俺は言い出せない。

「……」

が最近、どうせ俺は天音に殴り飛ばされるしかないということに気が付いた。

何してもボコボコにされる。それならもう言いたいことを言う。

天音に逆らってやる――――――――俺は震える拳を握りしめて後ろを振り返った。

「……あれ?」

「どうかしたの?」

ピンク色のシャーペンはノートに方程式を書いていた。

天音は何ともない顔で俺を覗いている。

―――――


<大神書法>

ただ俺はそのことを天音に言わない。もしもこの痒みがただの悪ふざけだと知らされたら抑えきれない怒りに天音を思い切り罵ってしまう気がしたからだ。

そう、その末にはそのゴリラ拳に吹き飛ばされるという理不尽が待っている。命の危険があるから俺は言い出せない。


が最近、どうせ俺は天音に殴り飛ばされるしかないということに気が付いた。

何してもボコボコにされる。それならもう言いたいことを言う。

天音に逆らってやる――――――――俺は震える拳を握りしめて後ろを振り返った。

「……あれ?」

「どうかしたの?」

ピンク色のシャーペンはノートに方程式を書いていた。

天音は何ともない顔で俺を覗いている。

―――――


やはり空白の部分と会話文が入る部分は同じに見える。

会話文を省略した結果、空白を用いたのが大神書法。そのような感じ。


しかし結果として空白がただ目立つ。地の文の集合と会話文が分離している。


<改善案>

背中が痒い。


トントンと響く音が寒さを感じさせる六限目。教師は相変わらず、わけのわからない方程式を黒板に刻んでいる。

真面目に授業を聞くメガネや、構うことなく眠っている陽キャ、外を眺めている坊主など、それぞれこの長い時間を過ごしていた。

授業というのは黙って座っていればいい。それが究極的な答えだ。出席日数と赤点を回避さえできれば卒業できる。


だからわざわざ眠っている人を起こしたり、ましてや起こすために背中をシャーペンで突いていくなんてことは――――――――しなくていいはずだ。



ただ俺の後ろの席にいるソレはその意味がよくわかっていないらしい。



ああ背中が痒い。凄く痒い。

もう起きているのにまだまだ突いてくる。てかそもそも最近は起きていても関係なしに刺してくる。


授業が始まり俺は眠り、天音は俺を突き、俺はしばらく耐え、天音はさらに強く刺し、俺は目を覚ます。そしたら刺すのはやめる。

そういう約束じゃなかったのかよ。なんでまだ刺すんだ。これじゃ起きた意味ないだろ。


ただ俺はそのことを天音に言わない。もしもこの痒みがただの悪ふざけだと知らされたら抑えきれない怒りに天音を思い切り罵ってしまう気がしたからだ。

そう、その末にはそのゴリラ拳に吹き飛ばされるという理不尽が待っている。命の危険があるから俺は言い出せない。


が最近、どうせ俺は天音に殴り飛ばされるしかないということに気が付いた。

何してもボコボコにされる。それならもう言いたいことを言う。

天音に逆らってやる――――――――俺は震える拳を握りしめて後ろを振り返った。


「……あれ?」

「どうかしたの?」


ピンク色のシャーペンはノートに方程式を書いていた。

天音は何ともない顔で俺を覗いている。

そんな馬鹿な。


「天音って超能力使えるのか?」

「なんでそうなるの?」

「いや、そうでもなければ――――ん?」


天音の手にはシャーペンが握られている。あの握力に耐える頑丈なシャーペンが握られている。なのにどうしてだろう。


「痒い」


背中が痒い。とても痒い。前の席の人が何かした様子もないし、目の前にいる天音が俺の背中を突けるわけもない。


「痒い? さっきからどうしたの?」


天音は犯人だと疑うような目つきで俺を見ている。むしろ容疑者は天音なのだが。

俺はその視線をそっくりそのまま返した。すると天音はさらに顔を顰めていく。

ヤバい、怒ってる。いや、逆切れだろ。



―――――――


会話文と地の文の間にも空白を入れる。(あんまりやりたくなかった)

だけど見やすいし、わかりやすい。

もはやここまで行くと多くの人が使っている書き方の文の前にスペース置かないで改行しているバージョン。


<大神書法改>

1.段落は改行して空白でやる。段落とは話の区切り。

2.会話文と地の文の間にも空白をいれる。

3.空白二行は場面の区切り。


欠点は地の文一行だけで話を区切ると目立つ。

逆に言えばそこで強調表現ができる。(改善案では二行で空白を置いて目立たせているが、一行でもいいと思われる)


ただ地の文を一行で済ますなんてなかなか起こらないし、起こったとしても強調するほどの内容だろう。そうじゃなかったら使いにくいが。


いわば段落をスペースでやるか改行でやるかどうか。

ただやはりスペースだと


 あああああああああああああああああああああ

 ああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああ


二行連続で文頭が空くのが気に食わない。(個人の好み)

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