第105話 いつまでも続けて…🛤️4(晩餐の後に……)

「うわあああー、凄いご馳走だね!お正月の時よりいっぱいあるよ、そぅじぃぃ~」


「いよいよ明日が卒業式だ、ベルにとっても大切な日だから…………最高のご馳走を作ったぞ!」


「ありがとうね、そぅじぃぃ。じゃあ、今夜はずーーと食べて入れるように、先にお風呂を済ませちゃおうか?」


「おう、そーだな!じゃあ、早速、べるぅぅから入ってこいよ。僕は、その間に最後の仕上げをしておくからさ」



「うん、分かった!」








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 2人ともパジャマに着替えて、テーブルに向かい合って座った。


 何度、このような食事をしたんだろう?たくさん、食べたなあ。どれも楽しい思い出だ~



「ねえ、そぅじぃぃ…………これからさあーこのソファーベッドはそぅじぃぃが使ってね!」


「え?……なに?」



「だからさ~あたしの代わりに、使ってよ~」


 ベルは、決して『あたしが居なくなってから』とは、言わなかった。ただ、僕に使ってくれと……



「……だからさ~今晩から練習してみない?」


「え?べるぅぅ?何だって?」


「あ、あははは……冗談だよ、冗談!」


「あははは…………ははは…………冗談か😞」




「でも、そぅじぃぃ!絶対だからね、絶対明日から、使ってよ!」


「ああ、はいはい、分かりましたよ!…………さあ、食べようか」


「うん、いただきまああーーす!」




 今晩は、殊更時間をかけてゆっくり食事をした。言葉にはしなかったけど、今までの思い出を噛みしめながら食べた。


 僕は、お酒をたくさん用意した。特にベルの大好きな甘いお酒をたくさん注いだ。僕も飲んだが、一向に酔わなかった。

 ベルさえ、酔って寝てもらえば良かったんだ。僕は、一晩ぐらいなら寂しさを我慢できる。

 

 でも、ベルには、……最後の夜まで寂しい思いをさせたくなかった。





「べるぅぅ……べるぅぅ……………ゆっくりお休み……」


 僕は、彼女を抱き抱えてソファーベッドに寝かせた。すぐにその場を離れようと思った。でも、ベルの寝顔はとても寂しそうに見えた。


 僕は、ソファーベッドの背もたれを起こして、そこに腰掛けた。


 それから、ゆっくりベルの頭を持ち上げて、僕の膝の上に乗せ、僕とベルは、一緒に布団に包まった。

 ベルの寝顔が幾分和らぎ、僕は安心した。

 その夜は、いつまでもベルの寝顔を見ながら頭を撫ででいることにした。最後の晩ぐらい…………。



■□■□

楽しい夕食の風景もベルのこんな想いを乗せていました。

https://kakuyomu.jp/works/16817330668420483875/episodes/16817330669455037734

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る