ボーイズ・スクール・レクイエム

@11f_allance

第1話 性癖開示請求

オレはタクヤ。中学3年間必死に勉強し、県下一位の中高一貫の進学校に途中編入で合格することができた。そして今日が初授業日。三年間の努力が叶って本当にうれしい。これからの俺の人生はバラ色だ!

しかし勉強漬けだった代償に、彼女どころか女友達もいない。俺にあるのは中学一の頭脳と、行き場のない性欲の変換先である筋肉、変換しきれなかった性欲の産物である性知識だけだ。

だけどそんな暗黒時代はもう終わり。この学校に入ることで俺は学歴バイアスで木村拓哉になり、女からもモテモテになれるはずだ。


期待を胸に抱き、教室の扉を開ける。張り切ってちょっと早く来過ぎたカナ?そう思ったがそんなことはなく、すでに教室には一人メガネをかけた生徒が読書をしていた。

インテリ陰キャっぽいこいつなら、コミュ障の俺でも仲良くなれそうだ。

何か話しかけたいと思いつつ、適切な言葉が思いつかずに立っていると彼が一言。


「……彼女はいるか?」


いやいないが。

「いないけど……」

そして畳みかけるように


「性癖は?」


え?性癖って、ケモミミとか陵虐とか?でも性癖って性的趣向だけじゃなくてもっと広く”生まれつきの性質”って意味もあるんだよな。そっちかな?


「お前、性癖もわからんのか?言い換えるなら、タイプ、好きな属性とかだぞ」


いややっぱそれかよ。何で言わねばならんのだ。

「何でそれを……?」


「性癖開示請求だ。早くしろ」


えぇ。てか、性癖開示請求ってなんだよ気持ち悪い。家に届くのか、裁判所から”何月何日何時何分のオカズを開示しなさい”って。キモすぎだろ。

でも、しかたがない。これも親和への一歩だ。

「オレの性癖は……ロリっ娘監禁レイプからのAV作成快楽堕ち……だっ!」


「……」


おいなんか言えよ。一人で性癖公開した変態みたいになるだろうが。


「素晴らしいよ!素晴らしい!君は来るべくしてここに来たんだ!我が校へようこそ!俺たちは君を、愛を持って受け入れるよ」


なんだこいつさっきと態度変わりすぎだろ。もうなるべくこの人とは関わらないようにしよう。

でもさっき何読んでたのか気になるな。読書趣味次第で多少は仲良くなれるかな?

「ところでさ……さっき何読んでたの?」


「三河ごーすとの『友達の妹が俺にだけウザい』だが」


やっぱ無理!!

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