私の気持ち

かいとも

叶わない恋

「エイラン、カナサエ村に行きます。

着いてきてくれますよね?」


<カナミ·マリン

 カナミ国の王女

 エイランの主人>


「マリン様勿論です。

私は貴女様の命を遂行します」


<カナン·エイラン

 カナミ·マリンの奴隷>


「そうですね」


 私のこの気持ち…分かって欲しいな。


<エイランとマリンは、王宮からでていった>


「マリン、エイランおはよう」


<カナミ·カリラン

 カナミ国の王>


「パパ!?おはよう。

寝ていなくて良いの?」

「カリラン様おはようございます」

「2人がカナサエ村に行くって聞いたからな。

お出迎えがしたいんだよ!」

「そうだったんだ。

それじゃあ行ってくるね!」

「え!?速すぎないかい?もうちょっと話さない?」

「別にいいじゃん。

それじゃあ行ってくるからね」

「分かったよ…

エイラン、マリンの事は頼むぞ?」

「カリラン様勿論です!

マリン様は必ずお守りします」

「うん。

じゃあ行ってらっしゃい」

「行ってきます!」


<エイランとマリンが見えなくなった時>


「行っちゃったね」


<カナミ

 カナミ国の神>


「カナミ様!?おはようございます!」

「カリランおはよう。

どうだった?行ってきます!ではなく、お辞儀された感想は」

「悲しいですね。

奴隷にした日に「奴隷と思わないでくれ。

家族だと思って欲しい」と言ったんですけどね…奴隷と思ってしまっている」

「王家には、王家の血が入っていない、子供を引き取ってはいけない、そう変なルールが国に広まった…

ワシはそう思ってないのにな」

「そういえば。

2人に挨拶しなくて大丈夫だったんですか?」

「大丈夫だよ。

上から見ておくからな」

「ズルいです!俺だってみていたい!」

「カリランは駄目だ!まず寝なさい!

王なんだぞ?王が1日も寝てなかったら駄目だろ!」

「嫌です!心配です!」

「カナサエ村は大丈夫だろ!

歩きでも1時間だし。

村長はお前の師匠だろ?師匠を信じないのか?」

「信じてますよ…無事に帰ってきてくれよ!2人とも!」


 心配性だな。

 だが、心配するのも分かる。

 王女の命を奪おうとする闇ギルド…

 向かっているのはカナサエ村だ…

 心配しなくてはいいんだが…


<2人が国を出て1時間後>


「カナサエさん、おはようございます!」

「カナサエ様、おはようございます」

「おはよう!姫が付き添い1人出来ていいのか?」

「パパから許可されています」

「それなら…いいか。

そして、何か用があるのかい?」

「村の回りを見て、今後生きていけるかどうか確認させていただきます」

「それはアイツに伝えたはずだぜ?」

「パパに心配されないために、嘘の報告をした前例が沢山あります。

ですので確認させていただきます」

「そうだったな。

他の奴等も森を巡回している。

何かあったら頼ってくれよな」

「分かりました!」


 お前は繋げたいのか?

 俺にはお前の気持ちは分からねえ。

 俺には2人の気持ちが分からねえ。

 繋がったらいいな。


<離れた所から爆発音が聞こえた>


「爆発音!?

2人は村の中に入ってろ!」

「そうはさせねえ!」


<上から男の声が聞こえた>


「お前らは…アイナンとナイアン!」


<アイナン

 闇ギルド員 序列5位

 ナイアンの兄>


<ナイアン

 闇ギルド員 序列8位

 アイナンの弟>


「ヒャヒャヒャ。

上から奇襲したってのに、俺らの剣を防ぐとはな!」

「キャキャキャ。

流石は元、王の右腕だな!」


 2人の奇襲を防いだが、前と後ろに囲まれている…

 2人を逃がしたくても逃がせねえ。

 後ろのナイアンは、2人に任せるか?

 だが…ナイアンは序列8位…勝てるかどうか…


「キャキャキャ。

兄ちゃん兄ちゃん!」

「ヒャヒャヒャ。

ナイアンどうした?」

「キャキャキャ。

ギルド長から好きにしていいって言われたよね?」

「ヒャヒャヒャ。

言われたぞ!」


<2人は目が変わった>


「獣が!マリン様に指一本も触らせない!」

「一様聞いておくが、お前らの目的はなんだ?」

「ヒャヒャヒャ。

王女を狙った組員が帰ってこなくてな。

やっとギルド長から許可を貰ったんだよ!

王女を目の前にしたら…絶対に欲しくなったぜ!」

「変態どもが!エイラン、ナイアンの序列知ってるよな?」

「知ってます!マリン様を狙う者は殺します」

「そうか…ナイアンは任せる!王女様は村に入って、村人に伝えてくれ!

昨日パーティーしたばっかりで、中に居る奴等は爆睡中だ!

ぶん殴ってもいいから起こしてくれ!」

「分かりました!」

「キャキャキャ。

話し終わったみたいだな、それじゃあ王女様は頂くぜ!」


<ナイアンは、王女の所に飛び付いた>


「王女様に触らせないと行っただろ!」

「キャキャキャ。

邪魔なんだよ!邪魔すんじゃねえー!」


 今の内に村の中に入らないと!


 ち。

 こいつのせいで、王女が村の中に入った!

 こいつを速く殺さねえとな!

 速く殺せば間に合う!村人は爆睡してるって言ってたからな。


「ヒャヒャヒャ。

流石は元右腕だな!70のくせに殺せないとはな!」

「歳を取ったからって、修行をしないと思っていたか!

お前を気絶させて、エイランの援護をさせて貰う!」


 くそ!舐めやがって!

 だがそれぐらい強い!

 こっちは本気だってのに!全然かなわない!

 自分を守る事しか出来ない!


 流石は闇ギルド員序列5位か。

 これ以上魔法使ったら、体に負担がかかりすぎる。

 まだ仲間が居ないとは決まっていない!

 マリン頼むぞ!


 こいつ強い。

 王女のミッションは、序列200位~序列100位の組員しか、ギルド長から許可を貰えない。

 こいつが組員達を殺したのか?

 疑問はおかしな…殺していないと、俺がこんなに苦戦するわけがない!

 兄ちゃんも相手が相手だ…もう本気を出している!

 こっちも本気を出させて貰う!


 俺は…王女様を守る!

 誰が来ようとも!誰だろうとも!

 王女様の平穏の生活の為に!

 王女様は俺の主だ!

 王女様は俺の命の恩地だ!


 こいつ…力が強くなってきた!

 魔法の精度も上がっている!

 戦いで力を付けやがって!

 このままじゃ負ける!

 俺だって本気を出してやるよ!


<ナイアンが本気を出した時。

 1人の人間の心臓を貫き…死んだ。

 戦いで覚醒したとしても、勝つとは決まっていない>


「キャキャキャ。

兄ちゃん!援護はいる?」


 は?!援護だと…

 エイランが死んだのか?


 弟が勝ったって事か?

 相手は覚醒したように感じたが。

 てことは…本気を出したんだな!


<カナサエはアイナンの側を離れ、ナイアンの方をみた。

 その光景は…心臓を貫かれ、血が大量に出ている、エイランの光景だった>


 俺が…自分の心配をしたから…

 エイランは死んだ…俺の…俺のせいだ…


「あー!」


<その叫びは、自分への怒り。

 その叫びは、2人への怒り。

 カナサエが本気を出そうとした時、2人は心臓を貫かれた>


「本気を出そうとするな、カナサエ」


<アイナンとナイアンの心臓を貫いたのが、元カナミ国騎士団長ナエランだった。

 そして…少し離れた所に、涙を流し、立っていた王女がいた。

 一歩また一歩と少しずつ、倒れているエイランに近付いた。

 エイランの側に近付いたマリンは、エイランの死体に抱き付き、泣き叫んだ。

 その泣き叫びは、人を呼ぶのが遅かった、自分への怒り。

 その泣き叫びは、愛する人を亡くした悲しみ。

 森で聞こえるのは、1人の泣き叫んでいる声だけだった。

 誰も何も言えない。

 本気を出せなかった者。

 今まで寝ていた者。

 他の闇ギルド員と戦っていた者。

 何も言う事が出来ない。

 もっと力を付けていれば。

 酒に溺れなければ。

 速く倒していれば。

 誰か1人でも居たら救えたのだから>


 すまんな…エイラン…ワシには何も出来ん。

 天界から人間界に降りた神は、自分の力を使ってはいけない。

 それが我等神の親が決めた事。

 でも…人間界に降りなかった神の力は使える!


 (お父様!)

 (どうした?カナミ)

 (エイランを生き返らせてください!)

 (死んだ人間か。

 叶わない恋だったようだな。

 そして、生き返らせる意味がある人間か?)

 (何て事を言うんですか!)

 (それが真実だが?)

 (ですが!王女の為に、何度も何度も死ぬ道を歩んで来ました!)

 (それは当然だろ?奴隷が主人を守るのが普通だ。

 その普通に従って、死ぬ道を歩んだ。

 そして今日、死ぬ道が心臓を囲んだ。

 エイランを生き返らせるなら、他の人間を生き返らせる。

 息子の頼みだろうと、生き返らせる事は出来ない)

 (それは…)

 (何も言えんか。

 それはそうだ、カナミにだって分かる事だ。

 だが、親としてあってはならん事だが、カナミに貸が沢山あったな。

 その貸数個を返した事にしてもいいなら、生き返らせてもいい)

 (本当ですか!?)

 (本当だ)

 (ありがとうございます!)


 甘すぎるかな。

 エイランに聞きたい事もある。

 生き返らせる前に、魂をこっちに呼ぶか。


「初めましてエイラン」

「貴方は誰ですか?」

「名を教える事は出来ない。

そして、好きな人は居るか?」

「好きな人…それは勿論居ます!」

「結婚したいと思うか?」

「それは…叶わない恋です…

結婚何て必ず叶いません」

「そうか。

ありがとう」


<そして、エイランの周りが真白に輝き、目を閉じた。

 目を開いたその光景は…>


「マリン、エイランの体を離してください」

「嫌です!私はずっとエイランと居るんです!」

「そうか…」


<エイランとマリンを、無理矢理に引き離したカナミ>


「カナミ様!辞めてください!離してください!」


<ある程度、エイランの死体と離れたカナミ。

 そして、1筋の光がエイランを刺した>


「カナミ様…何をしたんですか!」

「いいから観ていなさい」


<1筋の光は消え、エイランの体が動き出した>


「マリン、行ってきなさい」

「え?」

「生き返ったんだよ。

エイランが」

「ありがとうございます!」


 ありがとうございます!か。

 ワシじゃないんだけどね。

 ありがとうございます!お父様。


「エイランー!」

「王女…様…」


<マリンはエイランを抱き、2人は泣き叫んだ。

 もう会えないと確定した、好きな人が目の前に居る。

 そして、周りに居る者も泣いた。

 泣くのを辞めて、マリンはエイランに言った>


「ねえエイラン」

「なんですか?王女様」

「私と結婚してください!」


 <マリンの気持ちに沢山ある、エイランが好きという感情。

 やっと伝えられた>


「ごめんなさい…」

「何で?私と結婚したら楽な生活なんだよ!」

「私より、王女様を幸せにする人間は沢山居ます。

それに、私は奴隷。

奴隷が王家の人と結婚してはいけない」

「なんでよ!それは誰が決めたのよ!」


<マリンはまた泣いた。

 好きだった人に振られたから。

 そして、その答えを聞いて、怒った者もいる。

 カナミは、エイランの事を殴った>


「なんで殴るんですかカナミ様!」

「お前の答えを聞いて、イライラするからだよ!

お前はマリンの事が好きだろ!」

「好きですよ!だけど俺は奴隷です!

奴隷がマリン様を好きになってはいけない!

王家に泥を付けてしまう!」

「王家と奴隷が結婚したら駄目なんて誰が決めた!

我等神や、この世界を作ったお父様か?違う!

誰かも知らない人間がいい、世界にそれが広まっただけだ!

この世界を作ったお父様は言った!

両思いなら、世界を気にしなくていい!結婚していいと!

同性婚が駄目?知らん!

犯罪者と結婚が駄目?知らん!

歳の差結婚駄目?両方成人してたら知らん!

王家と奴隷が結婚駄目?知らん!

そう言われているだけで、結婚が駄目というルールはない!

お前の気持ちをマリンにしっかり伝えろ!」

「王女様…いや…マリン!」

「何?」

「結婚を前提に付き合ってください!」

「付き合わない!すぐ結婚するの!」


<周りからの歓声が、森じゅうに聞こえた。

 結婚したら駄目というルールはない。

 世界の目なんて気にしなければいい。

 結婚は人間の自由なのだから>

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私の気持ち かいとも @kaitomo

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