巻末歌

癒えることのない記憶は彼女を傷つけ、

癒えることのない寂しさは彼女を苦しませ、

癒えることのない貧しさは彼女に憎しみを抱かせ、

癒えることのない悲しみは彼女を閉じ込めた。


人よ、彼女を見捨てることなかれ、

人よ、彼女を憐れむことなかれ、

人よ、彼女を救済することなかれ、

人よ、ただ彼女のために祈り給え。


風切羽が癒えるその時まで、

透き通る空に怯えなくなるその時まで、

鳥籠に息苦しさを覚えるその時まで、

善意の行く末にある幸福を掴むその時まで。

















*******


おわり


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善意の行く末にて、過去に傷を持つ人間は今をどのように生きるか。 鍋谷葵 @dondon8989

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