第1話

 今回来た見に来た場所はどこにでもある小さい古本屋だ、内装も諸々含めてどこもおかしいところは無い、だがしかしこの店の本には不思議な力があるらしく異様に目を引く本が1冊あるらしい、聞くに本が人を選んでるらしい、不思議な力はそれだけではなく幸運をもたらしたりとかお金持ちに成れたりとかではなく本当にただ不思議な力としか書いていない、今回はその本の不思議な力が本当か調べに来た。

「一通り本は見たけど特に目を引くのは無いな……」

 手前から棚にある本をズラーっと見ていくが特に変わった現象も無いし目を引く本も無い、本は私を選んではくれないのだろうか。

「この本とかどうだろ」

目を引く訳では無かったが試しに取ってみると随分昔の本なのだろうか、若干被った埃がその本を更に古く見せてる、埃を払いつつ1枚づつページを捲っていく、内容はよく分からずだんだんページを捲る手が止まってくいき次第に読む気が失せてきた。

「お客さん立ち読みはあまりオススメしないですよ……本達が見てますからね」

急に店主らしき人物に話しかけられ少し動揺する

「すいません!」

 反射的に少し大きな声が出てしまう。

「そんなに驚かなくても……まぁいいか、とにかく立ち読みはオススメしませんよ」

「つい噂を試すために読んでみたくなって 、本が見ているというのは?」

 本を戻しつつそんな事を聞いてみる。

「あの噂を聞いてですか?珍しい人もいるものですね」

「そんな酷い噂でしたっけ?」

 私の調査不足なのかそんなに噂が酷いものとは思えないので聞いてみる。

「そりゃあこの辺にたった一軒の古本屋なのに誰も寄り付かないくらいには」

 少し濁すように言うので言及しようか少し迷ったが仕事に関わるし腹を括って聞くことにした。

「私の調べじゃ本が人を選ぶとか不思議な力を持ってる本があるとかしか分からなかったんですがその他にもなにかあるんですか?」

「本に関する噂はその2つだけですがね、店主である私の噂がかなり多いんですよ、どこからか出てきて一人歩きしてるんです」

「まぁ古本屋の店員さんってあんまりイメージしにくいですからね 」

「アハハ……」

「本っ当にごめんなさい!」

  すぐに自分のした間違いに気付いて謝った

「まぁ気にしてませんから安心してください、それよりも噂ですよ噂」

「あ、完全に忘れてました」

「私の噂は不老不死とか本と会話できるとか摩訶不思議なものばかりで面白いんですよね、でも店に人が来ないのは困ります」

「随分と自分の噂に寛容なんですね」

 この人は話してても人柄がよく理解できない

「まぁいくら気にして行動しても地道にしか結果は変えられませんからねぇ、わざわざ行動を起こさなくても増えたり減ったりするし、噂ってのはそういうもんですから寛容になってないとやってられないですよ」

 会話していて気付いたが意外と思慮深い人なのか?

「そんな事より噂の検証しなくていいんですか?」

 またいつの間にか話が脱線していた事に気づいた

「忘れてました!ありがとうございます!」

「そうだ、それじゃあ貴方に興味がある本何冊か見繕いますか?」

「え?本当に本と会話出来るんですか?」

 予想外すぎて少し混乱する

「ええまあ、全部が嘘の噂とは言ってませんからね」

「それで思い出したんですけど本が見てるっていうのは結局どういう意味だったんですか?」

「それは文字通りです、といっても本に目が付いて見える訳ではなく本達の話し声が聞こえるんです、ただ聞こえるけど相性が合わない本とはほとんど会話すらできません」

「それだけでも常人を逸した力ですけどね、私にはそういう霊的な括りの類のものは一切感じませんから」

「まぁこんな力あっても変な噂が流れるだけですからお勧めはしませんよ、それじゃあ本を選ぶので少しの間あそこの店で座って休憩でもしててください」

 指を刺された方向を見てみると小さめの古風な喫茶店があった

「分かりました、選んだら何かしらアクションお願いします」

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異界の門 @iiiit

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